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日本でアルバイトの時給が「2500円」になったら面白いことが起きそうです

最近街中を歩くと「アルバイト募集」のポスターがよく目に入ります。

今まではあまり気にしていなかったのですが、ある時都心のマクドナルドの募集時給が1300円になっているのを見てちょっとびっくりしました。

というのも私が30年前にマクドナルドでアルバイトを始めたときの時給が750円(高校生は700円)でしたので、当時を思い出すと「よくあんな安い給料で働いていたな・・・」と思ってしまいます。

ちなみに法律で定めた最低賃金はこんな感じで上がっています。

(東京都の最低賃金)
1991年 575円 ※私が初めてアルバイトした年
2002年 708円
2012年 850円
2022年 1072年 ※最新

これを見るとマクドナルドの募集時給は法定の最低賃金よりちょっと高いぐらいですが、都心の飲食店(元々アルバイトの確保が難しいエリア)に至っては1500円以上という店も見たことがあります。

裏を返せばそれだけ人手不足が深刻ということでしょうが、考えてみると日本の人口(特に若者の数)は年々減っているのでこの先アルバイトの争奪戦は一層激化することになりそうです。

そうなると経営者にとっては有り難くない話ですが、アルバイトの時給相場も法定の最低賃金を大きく超えていく可能性もあります。

この先アルバイトの時給相場がどこまで上がっていくかはわかりませんが、個人的には「2500円」を超えてくると日本の社会に面白い変化が起きるのではないかと考えています。
(前提として「2500円」を超える可能性は限りなくゼロに近いというのを承知のうえで)

それは何かというと「辛い思いをしてまで正社員にしがみつく必要がなくなる」ということです。

今の日本は一旦「正社員」という身分から外れた人が再び「正社員」になるのは容易ではありません。

例えば「新卒で入った会社を3年でやめて、その後は居酒屋で5年間アルバイトしていました」という人が再び正社員として採用される可能性は極めて低く、それこそ「来るもの拒まず」のブラック企業ぐらいしか正社員で採用してくれるところはないかもしれません。

そうなると多くの人は「正社員」としての身分を何としても守ろうと考えてしまい、いい転職先が見つからなければ自分に合わない組織であっても、自分に合わない仕事であっても我慢して働き続けることを選んでしまいます。

その結果として多くの「正社員」が仕事への熱意が持てず、ただ疲弊していくという不幸な状態になってしまっています。

それがコンビニでも飲食店でもいいのでアルバイトで1時間2500円稼げるようになると、計算上は年間2000時間働けば500万円の収入が得られます。

そうなると今の職場が合わない、今の仕事が合わない、という人は会社を辞めてアルバイトをしながら自分に合う職場、自分に合う仕事を探すことができるようになります。

世の中にはたくさんの仕事があり、何が自分にとっての「天職」なのかはやってみないとわかりません。

「就活」をしたぐらいで自分の天職に巡り合えるのはむしろ奇跡的なことなので、「いつでも気軽に職を変えられる」という意味で時給2500円の世界も悪くないと思っています。

もちろん世の中バラ色のことばかりではないので、仮にアルバイトの時給相場が2500円になるとその分必ず犠牲になるものも出てきます。

誰が犠牲になるかというと、個人的には「高い給料をもらっているホワイトカラー」ではないかと考えています。

ホワイトカラーでも給料に見合う付加価値を生み出している人は良いのですが、そうでない人にとっては給料がアルバイトより安くなるという時代になるかもしれません。
(「正社員」が「利権」ではなくなるので)

もっとも「正社員」というだけでそこそこの給料をもらえ、社会を支えているエッセンシャルワーカーが不当に安い給料でこき使われるほうが歪な構造なので、そこを是正するという意味でもアルバイトの時給相場がもっと上がったほうが日本の社会にとってはプラスではないかと思います。

ということで実現の可能性は極めて低いのですが、アルバイトの時給相場が2500円になる日が来ることを結構真面目に願っています。

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