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変わりつつある公園の在り方"ブルーボトルコーヒー 渋谷カフェ"

渋谷の街は駅周辺の開発が進んでいる今もなお、公園通りや明治通り、通りを入った路地にレジェンド的なアパレル店、謎の行列をなす最新店舗までまだまだ見どころが多い。しかしながら高低差があり、まあまあ歩かされる上に今年の猛暑もあり、間に休暇を挟まずに買い物が終わらない。
そこで訪れたのが、公園通りを上り渋谷公会堂跡地に程近い北谷公園だ。敷地内に2021年の4月にオープンしたブルーボトルコーヒーもあり話題になった。
建物とランドスケープの設計は日建設計、内装設計は芦沢啓治建築設計事務所だ。そして最近頻繁に耳にすることになったPark-PFI事業の渋谷区第一号案件だ。

北谷公園入り口

かっこいいデザインのカフェがある公園、だけでは終わらない、このプロジェクトに関わる人たちの思いが感じられる空間だった。


1.設計者の公園管理への思いを体現

公園と一体となった店舗外観
店舗エントランス
店舗内からの公園の眺め

渋谷駅側からアプローチすると、公園内が階段状になっていてその先にカフェがある。階段部分はベンチと中低木が植えられたプランターになっている。公園全体が見通せるように設計されているし、建物の手前には高木が植えられ、植栽越しに建物が見え隠れするのもいじらしい。
日建設計は今回建物設計に加えて、「指定管理者」となり、竣工後の地域連携業務も担っている。コロナ禍からスタートした「JINNAN MARKET」は、映画上映やアート、音楽など公園でやりたいことが叶う地域に密着したマーケットだ。日建設計も構成員である「しぶきたパートナーズが運営している。
日建設計は以前より設計業務のみでその後を見届けられないことへの消化不良を感じていたという。そこで同社を定款を変えてまで今回指定管理者に参画した。
公園維持費が潤沢に用意できない、従来の物足りない公立公園の緑量と比べると、設計者が思いを形にし見届ける覚悟を持ったランドスケープとなっている。

2.公園に建つ建築の工夫

木角材を施したファサード
2層のピロティ

ファサードは木ルーバーが柱と梁に外付けされていて、シンプル構造体に程よいリズムを与えているし、緑豊かな公園の環境内によく溶け込んでいる。
また建物の1スパンは、2層を吹き抜けにしたピロティになっている。まとまった外部の日陰は、この猛暑では心の底から嬉しい。

3.現代の渋谷にアップデートした空間

タイル貼りのカウンター
2階からの眺め

店内に入るとまず目に飛び込んでくるのが、タイル貼りが印象的なカウンターだ。ラウンドしたカウンター形状にエクスシネーレという火山灰の釉薬で微妙な色ムラがついたタイルが縦貼りされている。天板も一体的にタイルが回り込んでいてミニマルな塊感もある。
店内の家具はどこにいても公園が眺められるように計算されている。それらはカリモクによって作られ、木の風合いが公園に馴染んでいる。
そして店員のユニフォームなどはアパレルブランドヒューマンメイドとのコラボレーションによるもの。
メニューにナチュラルワインやこだわりのスイーツが楽しめるのもいつものブルーボトルとは異なり、ちょっと頑張って坂道を登ってくると楽しめる、スペシャル感がある。

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