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奈良吉野のキコリの癒し杣人飯 アルザスの自然派ワインのリズムに共鳴

駅構内の弁当コーナーで杣人飯そまびとめしを購入(1,280円)。

かつて、杣人そまびとと呼ばれた林業従事者たちが食べたお弁当をイメージしたちらし寿司。製造者は奈良県吉野郡の中谷本舗、柿の葉寿司でも知られる。
敷かれた鮨飯の上に、酢〆鯖、厚焼き玉子、椎茸煮、穴子蒲焼、鯖塩焼、味付干瓢、高野豆腐、酢〆鮭、人参煮、穂先竹の子煮が散らされた山海ちらし。これらを2、3つまんで無数の組み合わせを楽しめる。おススメは甘辛タレの穴子としゃきしゃきタケノコのコンビネーション。添えられたレモンの酸味が口内をさっぱり。

内陸の奈良の山奥で、斧一本で自然を相手にするキコリたちの癒しだったのだろうか。いや、コールドチェーンが発達する前にわざわざ傷みやすい魚介を弁当箱に詰めて山籠りをしたとは思いにくいが、暑くない時期に〆た魚がおかずに入っていたのかもしれない。静謐の森林で山海ちらしのお魚をつまむのは至福に間違いなし。日本酒が飲みたくなること間違いなし。

日曜深夜に放送中の鬼滅の刃には出自が杣人の剣士が登場する。剣士になる前は杣人飯で腹を満たして斧を振るっていたのだろうか。いや、無一郎は貧しかったので弁当に貴重なお魚は入っていなかったろう(見てない方、スミマセン)。

さて、杣人飯そまびとめしに合わせたのはワインはカリフォルニアのスパークリングワインとアルザスの自然派ワイン。

まずはカリフォルニアのスパークリングワインに。

ダックホーン・ヴィンヤーズ, デコイ, ブリュット, キュヴェ, スパークリング・ワイン, アメリカ, カリフォルニア NV, 12.5%, 2,904円
Duckhorn Vineyards, Decoy Brut Cuvee, Sparkling Wine, California

ワインについては先日のNoteに。シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵方式。 ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエ使用。香りには軽めにりんごのコンポートもあるが厚すぎず程よい、ブリオッシュ香などの奥行き。明瞭なこぎみよい酸味、充実の果実味、余韻の旨みと素晴らしいバランス。トスカニーで購入。

杣人飯にワインを合わせる。酢で〆られた鯖の酸味と落ち着いた風味に、ワインの果実味がぶつかり生臭さが立ち上がってしまう。恐るべし〆鯖(〆鯖とワインを合わせた悲劇は下記Noteに)。一方、サケは鯖ほどのワイルドな個性は控えめで、問題なく調和。総じて繊細なシャンパーニュスタイルのスパークリングワインに、山海ごちゃまぜの弁当のリズムがどこかかみ合わないか。相性: ★★☆☆☆

続いて、アルザスの自然派ワインに。

ギュスターヴロレンツ, ワインノット?, フランス, アルザス, 2021, 14%, 5,940円
Gustave Lorentz, Wine Not? Alsace, France, 2021, 14%

1836年に創設された家族経営ドメーヌ。栽培は完全ビオロジック農法、2012年に認証取得。ゲヴェルツ・トラミネール64%、ピノ・グリージョ36%。
うっすら琥珀がかった落ち着いた色調。
香りには蜜漬けの花梨、スイートポテトや焼き芋の素朴でいてはっきりとした甘い香り。アカシアの黄色い花のフレーバー、ほんの微かにハーバルなタッチとホワイトペッパー。
味わいはジューシーで滋味豊か、ゆったりと染み込むように持続的で長い余韻は癒しの塊。柔らかく素朴な甘さ、強すぎないがキュッとメリハリのある酸味。セレスタで購入。

杣人飯に。ワインの果実味の滋味とほんのりとした甘みに、甘辛いタレの穴子、シャキシャキの歯ごたえのタケノコが特によし。どこか土っぽさを感じる穴子とタケノコの風味に、自然派のワインのリズムが共鳴しやすいのか。椎茸、干瓢にも同じように調和。それでもサバの臭みは立たせてしまった。やはり恐るべし〆鯖。相性: ★★★☆☆

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