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海外だからと言って油断してはいけないこと。

「海外で生活する」などと言われると何だか凄いことのように感じてしまい、そう言っている輩が暗に自慢をしているように思えてしまう、という方もおられるようだが、そんなことはない。そんなことがある場合もあろうが、そんなことが無い場合だって沢山ある。ただ生活する場所が日本か、それ以外か、というだけである。

オーストラリアなんはか物価も高く、特にシドニーは家賃も高い。食べ物の選択や価格からすれば、特に一人暮らしには日本の方が絶対にいい、ということの方が多いかもしれない。

また全員がエリート駐在で優雅に生活をしているわけではない。日本に住めなくておん出てきた俺のような人間も少なくないと思う。

前にも書いたが、海外で生活するのは、特にある程度の大きさの日本人コミュニティのある場所で生活するのはそんなに敷居も壁も高くはない。日本での生活に行き詰ったのなら、自殺をしてしまうよりは海外に出てみるといいと思うのだ。自殺をしそうな友達がいれば勧めてみるのも一つの手段かもしれない。

さて、前置きばかりになってしまったが、こういう生活の中では油断も増える。日本人として日本で生活しているときにはしない油断だ。

その油断、わりと長い間していた油断が先日表面化した。

オーストラリア人は、たとえ都会のシドニーであっても、いい意味でのんびりしている。悪い意味だとクソのろいのだ。

俺がせっかちだとは思わないが、見ていてイライラするときは多い。ここでの生活が長くなって彼らのことを多少は分かっているつもりであっても腹が立つときは立つ。

この間、レジで会計する時の話になった。
俺がいつもイラっと来ることのひとつはこのレジの会計だ。

俺は並んでいる間に大体いくらくらいかを計算し、あらかじめそれに近い金額を財布から出して待っている。会計の流れをスムーズにしようと思えばそれは当然の行為だと思う。

だがオージーも(東アジア人をのぞく)そのほかの国の人もそれが一切と言って過言ではないくらいできていない。並んでいる間はボーっとしていて、自分の会計になって合計金額を聞いてから尻のポケットから財布を、もしくはバッグの中から財布を取り出す。

ALDIというストアはレジの手前にベルトコンベアがあり、客は買いたいものをそこに乗せる。順番が来るとキャッシャーの店員がスキャナーを通して値段を読み取って商品を流す仕組みだ。客はそれを自分で籠に入れたり、袋に入れたり、キャリーの載せたりしつつ、支払いを済ませるのだ。

安くて品物も悪くないので俺はよくそこを利用する。
そして会計のときにいつもイラつく。

ベルトコンベアに品物を載せて順番を待っているときに彼らのほとんどはボーっとしている。自分の番になってキャッシャーがスキャナーに通した品物を送ってくるとそれをせっせと袋に入れたりし出す。そのうちに合計金額が告げられるが、そのときになって初めて尻のポケットをまさぐりだすのだ。いやいやいやいや遅すぎるだろう。

カードで支払うつもりだったなら、ベルトコンベアの横で待っているときに出しておけばいいではないか。現金支払いの人もそこから財布を漁って金の所在を確認するので時間がかかるのだ。いい歳をした人間ばかり馬シカなんじゃないのかと毎回思ってしまう。

で、こういうときに俺は「おいっ」って言ってしまう癖がある。決して大きな声ではないが「おいおいちゃんとやってくれよ。」という意味を含んだきつめの「おい」だ。勿論視線は現場から外している。

ただ「おい」は日本語だから、聞こえるか聞こえないかぐらいの声ならば周りの誰も分からないと思っていた。「ヘイ」なら英語だから周囲も何かしら気づくとしても日本語ならわからない。

これが所謂「油断」である。
浅い知識のまま自分が日本人であることに胡坐をかいていたゆえの油断だ。

なんと、イギリス英語には人の注意を引くときに使う「Oi !」という言葉があるらしいのだ。イギリス生活の長い友人がオレンジケーキを食べながら教えてくれた。

ジワリと嫌な汗が湧いて出た。

アメリカでは"Hey" に当たるだろう場面でイギリス、いやオーストラリアやインドなどの英連邦諸国では"Oi"が日常生活の中で使われているらしいのである。オージーがそういう風に使うのを聞いたことが無かった。いや聞いたことはあったのかもしれないが気にしていなかったという方が正確に近いのか。

今まで俺の「おいっ」でピクッとしていたオージーがいると思うとぞっとする。今までそれで喧嘩にならなくて本当に良かった。これからは慎む。

こういうことがまだあるかもしれないと思うと憂鬱だ。
油断大敵とはよく言ったもの。注意して行動するに越したことはないのである。

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