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Visual Thinking Strategies 018

ひさびさのVTS!今回はZOOMを使って6人でやりました。同じアートを観ても見え方感じ方は人それぞれ。自分以外の人がどう見えているのかを知るって面白いですね。アートって奥が深いです(語彙力)。

アート × 筋トレ × エンタメ

実は初めて顔を合わせる人とVTSをやるのが初めての経験。備忘録的に残しておきたいのと、せっかくなのでVTSの面白さをシェアしたいと思い、書いてます。まず、僕がVTSに向いていると思う人はこんな人たち。

アートが好きな人

題材がアートなので、少なからずアートに興味がある人。でも美術史とか構図とか陰影とかそういうのに詳しくなくても全然OK。むしろ変に知識がない方が直感的に絵を観れるからいいかも。直感>理論。

筋トレしたい人

VTSで鍛えられるといわれている代表的な10種類の「筋肉」はこちら。これらの筋肉を一気に鍛えられるんだから筋トレでいうとバービートレーニングみたいなもんでしょうか。VTS=バービー。

①知的探究心の刺激
②集中と目的意識のある観察力
③体系的かつ論理的な見方
④創造的解釈
⑤問題解決能力
⑥言語化能力
⑦基礎的コミュニケーション
⑧多様性の受容
⑨協働で行う作品の解釈と再解釈
⑩自己対話力

出典:対話型鑑賞で鍛える「みる」力

エンタメしたい人

能動的に楽しめるという意味合いで。ただ時間を浪費するだけのSNSやゲームよりも楽しいと思います。スキルを高めるというと苦痛みたいな感じもありますが、VTSは楽しみながらやれるのが良い。VTS=エンタメ。

大雑把に一言でまとめるなら、アートが好きで、汎用性高いスキルを楽しみながら向上させたい人にVTSはオススメです。ここまで読んでみて、VTSに1ミリでも興味を持ったという人は是非こちらの記事もどうぞ。

抜粋すると、下記3つの視点で絵を観察して、観えているものを自分の言葉で表現して、他の人と対話していくのがVTSです。海外ではこどもの教育現場や、経営層への研修の一環などに取り入れられているそうです。

① この作品の中で、どんな出来事が起きているでしょうか?
② どこからそう思いましたか?
③ もっと発見はありますか?

今回のお題

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作者・題名は後ほど公開

今回のお題はこちら。僕の方で3枚を事前に選んでおいて、当日みんなに1枚選んでもらうようにしました。対話が活性化しそうな大喜利要素を感じる絵を選びました。作者などの絵の情報はこの時点では一切開示しません。

絵が決まったらまずは1分間各自で観察。その後15分で対話。その後お題の種明かし(作者や絵の解説)をし、アフタートークという流れ。合計1時間があっという間に過ぎ去りました。さて皆さんもご一緒に。

まずは1分間じっくり観察

① この作品の中で、どんな出来事が起きているでしょうか?
② どこからそう思いましたか?
③ もっと発見はありますか?

この作品の中で、どんな出来事が起きているでしょうか?

今回は僕がファシリを務めました。まずは「何が見えている?」「どんな絵?」などという質問を投げかけ。最初は各々見えているものを直感的に言葉にしてもらいたかったので、テンポよく、次々と指名していきます。

・王様がいる
・場所は洞窟?
・真ん中の台は食卓に見えたけど、剣があるから違うかな
・11人いる
・テーマは「誓い」
・王様の横にいるのは司祭?
・手前の人は剣ではなくて盃みたいなものを持っていて、その後ろの人が止めようとしている
・場所はヨーロッパ?
・決起会みたいなものをしている
・身分が高い人たち

どこからそう思いましたか?

何が見えているか発言があったら、かかさず「どうしてそう見えた?」を確認。例えば、どこから「王様」って見えたかなど。違う意見も出やすいように違う見え方はできるかの対話も促しつつ。視点が細部になってくきます。

・帽子と髭、髪型や着ているものから(王様に見えた理由)
・色や壁画、光の当たり方や暗さ(洞窟に見えた理由)
・王様横の司祭が鼻が高い/彫りの深さ/髪型(場所がヨーロッパだとした理由)
・耳にピアスのような宝石ぽいものが見える(身分を高いとした理由)

もっと発見はありますか?

ここからはちょっとテンポをおとしつつ、よりオープンクエスチョンを多めに。見えているものを抽象化して、対話を飛躍させたり、深めたりすることを期待して対話を促していきました。点と点がつながり出し、線に、面に。

・全体的にシリアスな雰囲気だが右の人だけ笑っている
・緊張と緩和のような対比関係を表現している
・一人だけ違う方向を向いて王様に剣を向けているように見える
・大国に攻め込まれる小国が洞窟で戦いの戦略を練っている絵

種明かし

レンブラント・ファン・レイン 『クラウディウス・キウィリスの謀議』1661-1662年

この王様は何者?台が光ってみえるのは何で?いつの時代のどこの場面?作者は何を伝えたかった?この15分間で高まった観察眼と絵への好奇心が回収されていく時間。これを愉しむ。サウナの後の水風呂のように。

実際にやってみてどうだった?

種明かし後のアフタートークでは、それぞれの感想をうかがいつつ、「違和感への感度」「アートとデザイン」、「ロシアとウクライナ」、「医療業界でのVTS」、「服の素材と性格」と様々なテーマに飛躍。

共同主催のシモヤナさんが「アフタートークがいちばんよかったかも」というように、僕もこの時間がとてもよかったです。(語彙力)この時点ではもう初めて会ったという感じは完全抜けてて、昔からの友達に近い感覚。

VTS(サウナ)で観察眼と感性の毛穴をぶっ開いて、種明かし(水風呂)で一気に同じ「事実」に触れ、アフタートーク(外気浴)でテーマ決めずに雑談することで「ととのう」。とても良質なコミュニケーションでした。

コミュニケーションでは、「一般化」、「省略」、「歪曲」が起きやすいといわれています。簡単にいうと、思い込みによる認識違いみたいな。例えば僕がいるリノベ業界でいうと「築古=悪」みたいなお客様にたくさん会う。

なんで築古ダメなの?と聞いていくと背景には「省略」があったりします。大地震で倒壊した古い建物の写真を見て「築古=全部地震に弱い」みたいな。切り取られた一部で、全体を観ずに判断してしまうというようなこと。

なんで「築古=悪」になったのかなと興味をもって丁寧に聴いていくと、相手も心を開いてくれ、納得にかわる。これをしないで無理やりいくと説得に終わる。説得と納得、どっちが行動に繋がりやすいかというと答えは明白。

VTSの「どこからそう思いましたか?」という質問はまさにコミュニケーションで生まれやすい「一般化」「省略」「歪曲」に気づきを与え、短時間で相互理解を深められるものだと改めて感じました。

コミュニケーションはうまくいかないとストレスが溜まる一方で、良質なコミュニケーションはこうも心地よいものなんだと、なんか自分の見え方が変わってしまうような体験でした。VTS、続けていこ。


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