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株式相場の天井は近い?

個人的な会社四季報との向き合い方。

 待ちに待った9/15。会社四季報秋号の発売日である。内容そのものはネット証券で口座を持っていれば閲覧可能だが、前号比増額か否か、会社予想比強気か否かは欄外に掲載される。

 そのため、私は保有ないしウォッチ銘柄はネット証券でその日のうちに確認し、発売された後の休日を使って、四季報が置いてある図書館や書店で立ち読みして欄外や、冒頭にある相場全体の動向まとめ、巻末の重要事象等を確認している。

 発売当日(金曜日)に図書館でスタンバイしても、いつ入れ替えられるか定かではなく、翌日(土曜日)は争奪戦となることから、このタイミングで熟読したい銘柄はネット証券で読み込む。

 そして、熱心な購読者が一通り手に取ったり、読み漁り、ある程度ほとぼりが覚めた日曜日に、図書館や書店でネット証券のサービスでは読めない部分だけ読み込むことで、お金を掛けずに同程度の情報を得て、週明けの相場に臨める。

 そこまでして読むくらいなら、金払って買ったら?と友人に笑われたが、年4回、1冊2400円、月換算で800円はAmazon Primeよりもコストが掛かる。それを知恵を絞って工夫すれば、同じ内容をタダ同然で読めるなら、私はコストの掛からないほうを選ぶ。

 その上、身軽さを大事にする身としては、自宅にあの分厚い紙媒体を、図書館のように1年分とか常時ストックして、いつでも読める利便性をコストを掛けて得るくらいなら、読みたくなった都度、図書館に行けば良いと考える。その方が共有社会的な生き方だし、SDGsにも沿っている。

 そんな投資家バイブル本とも言える四季報の通読だが、そのために外出した際に、これまでとは様子が違う肌感覚があった。

靴磨きの少年を彷彿とさせる。

 いつものように、図書館で四季報が置いてある場所に直行したところ、誰かに読まれていた。仕方なく横に置いてあったプロ500の方を読んでいたが、読み終わる頃になっても、会社四季報は戻ってこなかった。

 仕方なく大型ショッピングモールに入っている、全国チェーンの某書店で立ち読みをする羽目になったが、時刻表しかり、あの手の1000ページ超の本は立ち読みには向かない。

 重量的に長時間もの間、手で持ち続けると腕がプルプルしてくる。なにより紙がペラいから片手ではページが捲りづらいし、書店は売り物、図書館は公共施設の共有物故に雑に扱う訳にもいかない。だからこそ金払って買ったら?と友人に笑われるのだが…

 そんなこんなで、腕をプルプルさせながら立ち読みしていたが、その横でどう見ても年金暮らしの高齢者が、日本株の株主優待特集的なマネー雑誌を立ち読みしていたことに衝撃を受けた。

 私のように変わり者でなければ、マネー雑誌の類は通常、定期購読者であればさっさと買って、家とか電車移動の際にゆっくり読むため、肌感覚として雑誌の中でも、ビジネスコーナーで立ち読みする人はあまり居ない。

 おそらく今年に入ってから日本株が上昇していることや、物価高で預金一辺倒であることのリスクに、薄々気づき始めているから、手っ取り早く投資で稼ごう的な考えの層が、ビジネス雑誌がどんなものか立ち読みし始めているのだろう。

 それに驚いたことに、山積みされている会社四季報も、雑誌テイストなプロ500も、金〜土で熱心な購読者の手には、既に行き届いているはずなのに、私が立ち読みしている横でビジネスマンに見えない層も手に取り、飛ぶように売れていき、私が読み終える頃には山がなくなっていた。

 これは都内の話ではなく、地方の県庁所在地レベルでの出来事であることが、私の中での衝撃の度合いを大きくしている。

 青二才とはいえ、少なくとも2019年〜2021年の米国株式一強時代に、日本株なんてオワコンだと馬鹿にされていた頃から、日本株を触っている身としては初めて見る光景である。

 ケネディ大統領のお父さんである、ジョセフ・P・ケネディ氏の靴磨きの少年の話は有名だが、大衆が日本株に興味を持ち始める現状は、それに近いものを感じる。

自分の資産を守れるのは自分だけ。

 日経平均株価(日経225)も、東証株価指数(TOPIX)も、9/15の終値時点では、年初来でどちらも+30%程度のパフォーマンスとなっている。

 経済的独立と早期退職を意味するFIREとセットで挙げられる4%ルールは、長期での米国株式と米国債券1:1の成長率が6〜7%、インフレ率が2〜3%という前提である。

 差分の4%が実質的な金融資産所得となるため、4/100の逆数である25倍の生活費を、資産運用することで理論上は不労所得だけで生活できるという、トリニティスタディが元となっている。

 成長率で見たら一強と持て囃される米国株式+債券の組み合わせですら、長期で見たら年率6〜7%程度に収束するのだから、今の日本株のパフォーマンスが、実体経済の成長によるものではない可能性が高いことは、我々の生活は今年に入ってから3割豊かになっていないことからも、想像に難くないだろう。

 インフレ率の指標となるCPI(消費者物価指数)も、6月時点で年率3.3%、先に公表される都内も8月時点で年率3.2%だが、食糧インフレが年率8.8%の方がパンピーの肌感覚として近い。

 株価も物価も、長期で均した時のパーセンテージを大幅に上回っているのが現状で、経済学や統計学の知見では、長期の数値に収束するのが常だから、上がり過ぎた分のブレーキが、近い将来に何かの拍子で掛かってもおかしくない時期に差し掛かっているように思う。

 スイングトレードで月利10%で運用してます的な、SNS上で声の大きい人間に惑わされて、銘柄をガチャガチャ弄るのは得策ではない。神様のようなバフェットですら、長期で均すと年率20%程度である。

 だからこそ、たとえ目先のパフォーマンスが低くても、リーマンショック級の暴落が起きても爆死しないような運用を心掛けるのが賢明ではないだろうか。自分の資産を守れるのは、紛れもなく自分だけなのだから。


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