【簡単あらすじ】名探偵誕生(微ネタバレ)【似鳥鶏/実業之日本社文庫】
『……だから神様。どうか彼女に幸福を。』
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小学4年生の僕は、学校で話題となっていた「隣町の幽霊団地」と「その団地に巣くうシンカイ」の噂の真相を確かめるべく、クラスメイトと現地へ向かった。
現地に到着した僕たちは、シンカイが住むと思われる部屋で
「顔面 放射能 駅電 洗濯機 二時五十九分」
などと意味の分からない言葉が書いてある張り紙を見つける。
さらに、実際にシンカイが部屋から出て、「定公園」と呼ばれる場所に入ったことは確認したものの、そこからシンカイが出てくるのは確認出来ない。
そして、出入りが一か所しか無いにも関わらず、僕らがその場所に入ったときにはシンカイはいなかった。
まるで消えてしまったかのように…
幽霊団地の謎に悩んでいた僕は、隣に住む女子高校生・千歳おねえちゃんに相談する。
その相談が、物語を・そして僕の人生を思いがけない方向に進ませることになる。
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結果的に名探偵となる僕の、学生時代の物語です。
小学生・中学生・高校生・大学生という各年代において、名探偵になるために必要だった事件を、憧れであり・目標としているお姉さんとの絡みとともに書かれています。
私が考える「名探偵」とは、
1.生まれたときから・子供のときから、異能と呼ばれるような他の人には無い才能・能力をもっており、何かのきっかけで名探偵に目覚める・認められる『天才型』の名探偵
2.生まれ持ったものでは無く、学習や経験や努力によって、名探偵になるためのスキルを身に付けた『秀才型』の名探偵
の二通りがあるのですが、今作は2型の名探偵が生まれるまでの作品です。
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小学生では、クラスで流行った幽霊話。
中学生では、女子学生からのラブレター。
高校生では、文化祭の出し物。
大学生では、研究室の合宿。
各年代でのあるあるとも言える、読者が共感・話に入り込みやすいイベントが事件の舞台になっていますので、とても読みやすいと感じる方が多いと思います。
そして、今作は名探偵の誕生物語であり、名探偵の青春物語でもあります。
僕が年齢的・精神的に大人になっていくことで変化する、千歳おねえちゃんとの関係性。
個人的には、今回のラストはとても共感出来ました。
自分が同じ状況になった場合に、僕がとった行動を「私が実行出来るかは分からない」ですが、「私は心の底から実行したい」と思いました。
とても良い読了感を感じることが出来る作品です。
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