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【簡単あらすじ】そして僕らはいなくなる(微ネタバレ)【にかいどう青/講談社タイガ】


『そしてあたしが〇体の上を歩いているなら素敵なのに』


恵まれた家族構成の永岡宗也。

窮屈さを感じる日常に、知人の行方不明事件が発生する。
交通事故後に見る「上下左右が反転する映像」と「現実と幻想が混じりあったような夢」。

夢と事件の関係は…?



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『はじめに』
季節は春へと移り変わり、それに伴い花粉の季節が到来してきました。そうなると、当然のように休日は部屋で過ごすことが多くなり、読書量が増えていますので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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主人公・永岡宗也の父親は、劇作家であり演出家であり、そして母親は、元モデルで今はエステ会社の経営者である。

このように、他人から見ると恵まれている・羨ましいと考えられている家族構成で、家にはお手伝いさんがいたり、クラスで一番可愛い女子と付き合っていたり、テスト前などは友人たちと賑やかにテスト対策をしたり、一見すると青春を謳歌しているように見える。

しかし本人は「永岡宗也」という皮を被っての生活に窮屈さを感じ、青空を見ながら「ミサイルでも降ってくれれば良いのに」、ということを考えるような日常を過ごしている。

ある日の夜、小学生時代に同じピアノ教室に通っていた知人・穂村梨花の母親が、不安そうな顔で永岡家を訪れる。

梨花が夜まで帰ってきていない、と言う母親に対し「まだ警察に通報する段階ではない。自分も心当たりを探してみる」と言った宗也だったが、母親が帰った後、漠然とした胸騒ぎを感じ、駅周辺を探そうと自転車で夜道を走っていたところ、信号の無い交差点で車と衝突し意識を失ってしまう

翌朝に意識を取り戻した宗也は、大したケガでは無かったため心配し看病に来た父親に付き添われ退院する。

しかし、事故で頭をうったためか、その後宗也は不可思議な体験をする

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宗也は、知人である穂村梨花の行方不明事件をきっかけに、学生時代・思春期特有の、自分の心に仕舞っている・閉じ込めている、

同級生や家族へ言えないこと。
そして、同級生への憧れ。


などについて、様々な変化がおとずれます。

私にもかなり優秀な兄がいまして、学生時代は「〇〇くんの弟」「○○くん二号」とかよく言われ、その度毎にちょっとイラっとしていたことを思い出しました。

大人になって色々あり、兄にも悩みがあったり私のほうが優れている部分もあることに気づいたり、なんだかんだで今は一緒にご飯を食べるくらい仲良くなりました。

そんなことをちょっと思い出させる作品です。
読了後は、皆さんも学生時代を思い出すかもしれません。

そして、事故後に宗也が見ている「天地がひっくり返ったような映像」と、「現実と幻想が混じりあったような夢」が、事件の真相にどのように関わっていくのか。

様々な視点のシーンがテンポ良く進んでいく作品です。



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