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【簡単あらすじ】すべてがFになる(微ネタバレ)【森博嗣/講談社文庫】


『数字のなかで、7だけが孤独なのよ』


助教授・犀川創平は、ゼミ生・西之園萌絵のコネを使い、天才工学博士・真賀田四季が軟禁される孤島でレクリエーションを行った。

BBQ等を楽しんだその夜、犀川と西之園が研究所を訪ねると、様々なアクシデントが所内で発生する…



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『はじめに』
季節は春へと移り変わり、それに伴い花粉の季節が到来してきました。そうなると、当然のように休日は部屋で過ごすことが多くなり、読書量が増えていますので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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N大学の助教授・犀川創平は、一年に2回・講座として自身のゼミ生らと二・三泊して親睦を深めるレクリエーションを実施している。

普段は国内でのキャンプや温泉に行くが、今回のレクリエーションは、ゼミ生である西之園萌絵のコネクションを使い、天才工学博士・真賀田四季が軟禁されているハイテク研究所のある孤島で行うことになる。

初日はゼミ生らとBBQを行うなど平穏なスタートだったが、その夜、犀川と西之園が研究所を訪れると、研究所内で次々とアクシデントが発生する…

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名作と呼ばれていることは知っていましたし、昔の作品にも関わらずタイムライン上でいまだに読了報告があるため、どんなものかと期待半分・不安半分で読み進めましたが、結果的に大満足の作品でした。

孤島のハイテク研究所で起きた連続殺人や人間の消失のトリックは、簡単なもののようで高難易度・綿密なようでダイナミックです。

大多数が名作と言われる作品はやはり名作です。

名作と呼ばれる作品には、私が以前レビューしました容疑者Xの献身も当てはまりますが、



両作品ともトリックや物語の展開が優秀なのは当然として、容疑者Xの献身は「いつの時代も変わらない(本質的な)人情・男女関係」、本作は「21世紀の現在でも、まだまだ完全には実現していない近未来的世界観」も備えているため、これからも名作と呼ばれ続け、将来的にさらに新しい読者を増やし続けるでしょう。

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ロボットやAI、VR(ヴァーチャルリアリティ空間)などが作品を彩っているため、今から25年以上昔の1998年12月に発表されている作品ですが、まるで古くささを感じませんし、その結果80刷以上されているほど読者に支持されています。

1998年というと、私はサッカー日本代表が初出場したフランスW杯に大興奮していた学生時代ですが、その頃に発表された作品が、25年以上も後の時代でも読者を魅了する内容になっているのは大変素晴らしいとしか言えません。

作品中で唯一昔を感じるのは、主人公・犀川創平がヘビースモーカーであり、いつでもどこでもスパスパ吸っているというところぐらいです。

本作は、読者(私)の想像(思い込み)を利用したトリック等を、様々な場面に散りばめているところが大変読み応えがありました。
※本作では二か所ほど、私の思い込みを完璧に利用されていた部分があり、(絶対に出来ませんが、)その点については大声でネタバレしたい作品です笑

そして、ラスボス(黒幕)の圧倒的強者感

最後まで読み進めると、犀川と西之園はラスボスの掌で踊らされていたということがはっきりと理解出来ます。

私は基本的に、ゲームや小説などのラスボスには主人公たちがどうやっても勝つことが出来ない・異次元の強さを求めていまして、それに本作はぴったり当てはまっています。

全11章、500ページ超えの大作ですが、まったく中だるみすることなく一気読みしてしまうこと間違い無しです。

この犀川&西之園(S&M)シリーズは、全10作あるということで、以降の9作中にラスボスのレベルまでたどり着けるかどうか、大変期待させてくれる作品です。

理系ミステリと言われていますが、バリバリの文系である私も夢中になれましたので、理系アレルギーの方にもおススメです。

次作以降も読み進めたいシリーズです。



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