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青いスケッチブック

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心の中のパリを描いた青いスケッチブックです。
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マリーとリリー Marie et Lily

マリーとリリー Marie et Lily

この絵のモデルは、バラのように美しく、可憐なパリの女性です。

パリの女性と言っても、実際にパリに住む女性でもなければ、日本に住むパリの女性でもなく、とどのつまりは、要するに、僕の心の中に住む、パリジェンヌに他なりません。

ですから彼女は、この世の中には存在しない、幻の女性なんですが、この絵を描いているうちに、ぼんやりしていた彼女の輪郭が少しずつ、はっきりして来たような気がします。

それゆえ今

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ミッシェルの夢 Le rêve de Michelle

ミッシェルの夢 Le rêve de Michelle

彼の名前は、ミッシェルです。パリの裏街に住んでいる、新進気鋭の作家です。と言っても、まだ駆け出しの新人で、お金もなければ、人脈もなく、名誉もなければ、名声もなく、人の評価もまちまちで、興味を持って読んでくれる人もいれば、そっぽを向いて鼻で笑う人もいて、ここ最近は、自信を失い、スランプに陥り、何度も何度も書き直し、いっそ書くのを辞めようかとも思いましたが、彼には書くべき理由があって、書きたいことも山

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マリアンヌの現実 La réalité de Marianne

マリアンヌの現実 La réalité de Marianne

彼女の名前は、マリアンヌです。とても優れたタイピストです。しかも彼女は、うら若く、見目麗しきマドモアゼルに他なりません。にもかかわらず、彼女はいつも、淋しそうに、タイプライターを打っています。なぜなら彼女は、ミッシェルの部屋のポスターの中に住んでいて、自由のない、囚われの身だったのです。それはあたかも、籠の中の鳥のような生活で、彼女は今日も、薄っぺらいポスターの中から、自由を夢見ていたのです。

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チョコレートと少年

チョコレートと少年

子供の頃から、甘いものが大好きです。中でも、とりわけ、チョコレートが大好きです。

チョコレートを食べていると、幸せな気持ちになりますし、第一、すこぶる美味しいし。

何があっても、チョコレートさえあれば、生きてゆけるような気がします。とまでは言いませんが、

チョコレートのあの甘い成分は、人の空腹はもちろん、人の心の空洞さえも、充たしてくれるような気がします。

もちろん、チョコレートだけでは埋

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チョコレートと赤ずきん

チョコレートと赤ずきん

子供の頃によく読んだのが、赤ずきんちゃんの絵本です。

絵本の角が丸くなってしまうまで、読み返した記憶があります。

赤ずきんちゃんのお話は、あらためてご説明するまでもありませんが、

可愛さと残酷さが混在する、そんなシュールなお話で、なぜだか妙に好きでした。

と、話が過去形になっていますが、今もまだ、そんなシュールなお話が、実は結構好きでして、

僕もいつかは、赤ずきんちゃんのような、あんなシ

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絵描きと猫と幸せと

絵描きと猫と幸せと

ここ数日は、落書きのようなエスキースをUPしましたが、

今日は、落書きのようなスケッチを、UPさせていただきます。

と言っても、エスキースとスケッチに、大した違いはないのですが、

あえて違いを語るとすれば、それはきっと、画家と絵描きの違いでしょうか。

とどのつまりが、要するに、どちらにしても、絵を描くことには、全く変わりないのです。

そんな話はさて置きまして、今日ご紹介する男性は、ベレー

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猫と作家と妄想と

猫と作家と妄想と

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓(とん)と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪(どうあく)な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕(つかま)えて煮て食うという話である。しかしその当時は何という考(かんがえ)もなかったから別段恐しいと

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