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錆猫本舗/別館/星川孝
2019年8月6日 11:00
この絵のモデルは、バラのように美しく、可憐なパリの女性です。パリの女性と言っても、実際にパリに住む女性でもなければ、日本に住むパリの女性でもなく、とどのつまりは、要するに、僕の心の中に住む、パリジェンヌに他なりません。ですから彼女は、この世の中には存在しない、幻の女性なんですが、この絵を描いているうちに、ぼんやりしていた彼女の輪郭が少しずつ、はっきりして来たような気がします。それゆえ今
2019年8月14日 06:00
彼の名前は、ミッシェルです。パリの裏街に住んでいる、新進気鋭の作家です。と言っても、まだ駆け出しの新人で、お金もなければ、人脈もなく、名誉もなければ、名声もなく、人の評価もまちまちで、興味を持って読んでくれる人もいれば、そっぽを向いて鼻で笑う人もいて、ここ最近は、自信を失い、スランプに陥り、何度も何度も書き直し、いっそ書くのを辞めようかとも思いましたが、彼には書くべき理由があって、書きたいことも山
2019年8月14日 16:00
彼女の名前は、マリアンヌです。とても優れたタイピストです。しかも彼女は、うら若く、見目麗しきマドモアゼルに他なりません。にもかかわらず、彼女はいつも、淋しそうに、タイプライターを打っています。なぜなら彼女は、ミッシェルの部屋のポスターの中に住んでいて、自由のない、囚われの身だったのです。それはあたかも、籠の中の鳥のような生活で、彼女は今日も、薄っぺらいポスターの中から、自由を夢見ていたのです。
2019年8月21日 11:00
子供の頃から、甘いものが大好きです。中でも、とりわけ、チョコレートが大好きです。チョコレートを食べていると、幸せな気持ちになりますし、第一、すこぶる美味しいし。何があっても、チョコレートさえあれば、生きてゆけるような気がします。とまでは言いませんが、チョコレートのあの甘い成分は、人の空腹はもちろん、人の心の空洞さえも、充たしてくれるような気がします。もちろん、チョコレートだけでは埋
2019年8月22日 07:00
子供の頃によく読んだのが、赤ずきんちゃんの絵本です。絵本の角が丸くなってしまうまで、読み返した記憶があります。赤ずきんちゃんのお話は、あらためてご説明するまでもありませんが、可愛さと残酷さが混在する、そんなシュールなお話で、なぜだか妙に好きでした。と、話が過去形になっていますが、今もまだ、そんなシュールなお話が、実は結構好きでして、僕もいつかは、赤ずきんちゃんのような、あんなシ
2019年9月19日 08:00
ここ数日は、落書きのようなエスキースをUPしましたが、今日は、落書きのようなスケッチを、UPさせていただきます。と言っても、エスキースとスケッチに、大した違いはないのですが、あえて違いを語るとすれば、それはきっと、画家と絵描きの違いでしょうか。とどのつまりが、要するに、どちらにしても、絵を描くことには、全く変わりないのです。そんな話はさて置きまして、今日ご紹介する男性は、ベレー
2019年9月20日 09:00
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓(とん)と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪(どうあく)な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕(つかま)えて煮て食うという話である。しかしその当時は何という考(かんがえ)もなかったから別段恐しいと