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【投球動作をスムーズにする肩関節・肩甲骨の働き】

今回は「投球動作をスムーズにする肩関節の働き」について解説をしていきます。

投球動作というと、野球・やり投げ・バレーボールなど多くのスポーツに必要な動きになります。
主に「肩関節と肩甲骨の動き」をメインとしていきますが、そこに関わる関節や筋肉は多くのものが存在しています。

全てがバランス良く機能をしなければなく、どこかに機能低下があると怪我やパフォーマンスの低下に繋がってしまいます。
逆に言えば、この部分の状態を整えておくことがパフォーマンスの向上に繋がる為、必ず理解をしておきましょう。

〜①投球動作の動きを理解する〜

まずは投球動作とは、「どの様な関節の動き」をしているのか?という点をしっかり理解しておくことが大切です。
肩関節と肩甲骨の動きには、以下の6つの機能があります。

〈肩関節の機能〉

・屈曲
・伸展
・外転
・内転
・外旋
・内転

〈肩甲骨の機能〉

・外転
・内転
・挙上
・下制御
・上方回旋
・下方回旋

上記のどれか1つに機能不全があると、パフォーマンスの低下・怪我に繋がります。
特に投球動作に関わってきて、肩関節と肩甲骨の機能不全に陥りやすいのは、バンザイの動作と外に捻る(外旋)動きになってきます。

この動作ができなくなって、インピンジメントという怪我に悩まされている選手は多いのではないのでしょうか。
次は上記の動きに関わってくる筋肉の機能に目を向けて、解説をしていきます。


〜②バンザイ動作(腕を上げる)と外旋に関わる筋肉とは〜

スポーツの動作で、悪くなりがちな動きになっている関節の機能ですが、アウター・インナー含めて多くの筋肉が関わってくる動作となっています。
この中でも機能不全の原因となりやすい筋肉について解説をしていきたいと思います。

〈バンザイ(腕を上げる動作)の流れと関わる筋肉〉

腕を上に上げる(バンザイ)動作は、以下の肩関節と肩甲骨の動きが必要になってきます。

1、肩甲骨の上方回旋
2、肩関節の外旋
3、肩甲骨の内転

この中のどれかが機能しなくてもパフォーマンスは落ちてしまうので、関わっている筋肉を理解していくことが大切なので、1つずつ解説をしていきます。

〈肩甲骨の上方回旋〉

作用するメインの筋肉:僧帽筋(上部繊維、下部繊維)、前鋸筋

僧帽筋(上部・下部)と前鋸筋がメインとなるので、この部分の筋力強化は重要ですが、それ以上にアスリートに多い問題点は「僧帽筋上部の緊張」となります。

試合や練習をしている時は交感神経優位になるので、自然と上半身に力が入ってきてしまいます。
それによって、背骨と肩甲骨を跨いでいる「僧帽筋上部」が緊張状態になり易くなります。

対処法は肩甲骨をほぐしていく事になるので、腕を上げた際につまり感がある場合はリリースやストレッチを行なって対応をしていきましょう。

〈肩関節の外旋〉

作用するメインの筋肉:棘上筋、棘下筋

腕を挙げていく際に、掌は自然と耳側(外旋)を向いていると思います。外旋筋といえば回旋筋鍵盤の「棘上筋」「棘下筋」になってくるでしょう。
この部位のトレーニングを行うことでも機能は向上していきますが、逆の「肩関節の内旋筋」の機能を向上してあげることが大切になります。

機能の向上と言っても収縮に特化するのではなく、あくまでも筋肉が「伸張」していくかが重要です。
内旋筋がうまく伸張しなければ、外旋筋は収縮しづらくなるので、ケアをしていく必要があります。

この肩関節の内旋筋に当たるのが、「肩甲下筋・広背筋・大円筋」になってきます。
特に肩甲下筋と広背筋は関与が大きいので、しっかりとストレッチ・リリースを行なっていきましょう。

〈肩甲骨の内転〉

作用するメインの筋肉:大菱形筋、小菱形筋、僧帽筋(中部)

最後にバンザイ動作で必要になってくる機能は「肩甲骨の内転」動作となってきます。
肩甲骨が内転することによって終盤可動域で、腕を上げやすくなるのです。

内転筋の機能向上と「肩甲骨の前傾」に大きく関わっている「小胸筋」の緩みも必要になってきます。
これは内転動作と一緒に、「肩甲骨の後傾」という動きを出していきたい為です。

なので小胸筋に対してもアプローチをしていけると良いでしょう。


〜③肩の「ゼロポジション」とSSEラインが重要〜

スポーツの世界で「ゼロポジション」という言葉をよく聞くと思います。
ゼロポジションとは「肩甲棘と上腕骨が一直線」に入っている状態のことを言います。

この状態というのが、肩関節のローテーターカフが関節の求心位に保持する方向に働くので、肩関節をより安定させることができます。
関節面が求心位の状態であれば、周辺筋肉や関節の負担を減らすことができるので、肩関節の障害はかなり予防する事に繋がってきます。

投球動作が必要になってくるスポーツでは、この「ゼロポジション」は必須の要素となってくるでしょう。

また似たような言葉の表現で「SSEライン」というものがあります。
これは「S:肩関節(同側)、S:肩関節(反対側)、E:肘関節(同側)」の位置関係のことを指しています。

SSEが全て一直線になってくると自然とゼロポジションの位置関係にもなってくる為、肩関節や肘関節の障害予防に繋がってきます。
また反対側の肩関節の位置も整える必要がある為、「体幹の側屈」「胸郭の動き」も非常に重要になってきます。


〜④腱板疎部の炎症〜

またローテーターカフ(回旋筋腱盤)の障害であるのが、「腱板疎部」の炎症になります。
腱板疎部(rotator interval )とは、上関節上腕靭帯と烏口上腕靭帯,上腕二頭筋長頭腱は,棘上筋腱と肩甲下筋腱の間に位置しています。

腱板疎部は外旋時に緊張して、内旋時には弛緩していきます。またこの部分は関節内圧を緩衝する為、弾力性も持っています。
この部分を損傷してしまうと、関節内圧が高まる肢位(屈曲・外旋)で痛みが生じてきます。

多くの場合は関節包のストレッチ周辺靭帯や腱へのアプローチをして改善を狙っていきますが、改善が見られない場合には手術をすることも出てきてしまいます。


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