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個人的な雑記③(「NOISE」から見る就職面接とその後の活躍の相関関係)

今回は個人的な雑記です。就職活動と関係があるようなないような記事です。いつものごとくつらつら書いていくので、気軽にお読みください。


①ダニエル・カーネマンの「NOISE」を読んで・・・

先日ダニエル・カーネマンの「NOISE」の上下巻を読み終えて思ったのが、

これはnoteに書きたい!

そもそも「ダニエル・カーネマン」って誰???って話ですよね。
ダニエル・カーネマンは、行動経済学者であり、認知科学と経済学を融合してプロスペクト理論を確立した一人です。ノーベル経済学賞も受賞しています。詳しくはWikipediaなど調べてみてください。
最近行動経済学流行ってますよね。自分もそれに関する本をいくつか読みましたが、人がどう考えて行動するのか、実に興味深かったです。特に「ファスト&スロー」はお勧めです。
さて、そんな彼の今回の作品、「NOISE」では、人々や組織の選択の誤りがなぜ起こるのか、これに焦点を当てて述べています。その中にあったのが、就職における採用面接とその後の活躍の関係性について述べられていました。これは読んでいてnoteに書きたくなり、今回私は記事を書くことにしました。
(「読書メーター」というアプリには既に所感は書いていますが、今回いろいろ思うことがあったので、noteで長々書いていきます)


②人々はなぜ判断を誤るのか

それではまず、著書の本筋である人々はなぜ判断を誤るのか、ここを軽く押さえておきましょう。
判断ミスには2種類あります。一つ目は判断に一定の偏りが見られる「バイアス」。これは予算を常に安く(or高く)見積もってしまい、実態とは偏りがでてしまう場合や、待ち合わせの時間に常に遅刻してしまうような(本人はそれでいつも間に合うと思っている)、そんな場合です。
二つ目はその時々で違う判断を下してしまう「ノイズ」。これは、その時の気分によって判断が変わってしまったり、特定のケース(女性には優しいとか、若い人には厳しいなど)の際に判断が変わる、そんな場合です。
「NOISE」の中では、この二つのうち特に「ノイズ」に注目してその種類から原因、どうすれば防げるのか、といったことを述べています。さらに、就職の際の採用面接とその後の活躍の関係にも注目し、はたして面接は優秀な人材を確保するための適切な手段となっているのか、これを検証しています。
それでは今度はそちらに注目していきましょう。

③面接は優秀な人材確保をするための手段とは言えない?

本書では結構面接についてズタボロに書いていました(笑) ちゃんとした調査やデータを元に記載しているので嘘ではないんでしょうが・・・
まず面接では第一印象が果たす役割が大きい、ということです。第一印象をアンカリングとして、そこから辻褄の合った人物像を描いていく、本書ではまさに面接は心理バイアスの地雷原、と称していました。
そしてそうした人物像を描きながら、採用されやすい人材の傾向として企業文化の同質性の高い人が採用されやすい、そんな調査結果が出ていました。
つまり、第一印象を良くして、問題の無い印象通りの筋書きを描き、企業文化にあっていれば、優秀かどうかは差し置いてかなり採用されやすい、ということです。
その後その人材が優秀だったかどうか、面接時の評価との相関性を調べた結果、相関係数は”0.20~0.33”という数字になりました。相関係数にあまり馴染みがない人に伝えるならば、面接時の評価はその後の働きぶりが優秀かどうかとは少しだけ関係がある、という結果になりました。逆に言えば少ししか関係がない、ということです。

④どうすれば優秀な人材が確保できるのか

では、どのようにすれば企業側は優秀な人材を確保できるのでしょうか。とは言えど採用面接からその後の働きぶりは不確定要素が多いため、現状の採用システムよりはマシ、くらいに思ってください。
まずは面接偏重をやめて、実績や推薦状、試験結果など総合的に判断するべきです。
また、面接後の評価はまず各人がそれぞれ評価を下してから他の評価者と話し合う。こうしないと他の評価者の意見が自分の下す評価に影響を与えてしまうため、まずはそれぞれの評価者が評価を下してから評価を統合するのが良いです。最初の人の意見に同調して新しい意見が出ない、なんてことは容易に想像できますね。
そして容姿や話術、趣味などといった面接官の注意を奪うような項目は、採点項目に含まない。あくまで能力だったり実績だったり、そういったことを採点項目として取り入れる。
Googleでは、採用面接を4回以下にして、上記のように面接官が各人評価を下してから他の面接官と意見を交わしています。面接は4回より多くやっても予測精度は上がらないデータが出ています。

⑤日本の採用システムについて

本書はアメリカでのことを言っていると思いますが、では果たして日本ではどうでしょうか?
読んでてそこまで日本と採用システムに違いは感じなかったですし、日本でもやっぱり面接での印象がすべてなところもあるなーっと思います。出身大学を足切り(俗にいう学歴フィルター)にして、あとは面接の印象がすべて、そんなイメージです。
この人と一緒に働いていけるか、そんなことを考えながら採用側は面接していると思いますが、やはり成果を上げるかどうかよりも一緒に働いていけるか、そこが採用基準になっています。
新卒ではよくポテンシャル採用と言われて実績がなくとも面接の中での論理性や整合性を重視して多くの企業が採用活動をしています。それでは果たしてそのポテンシャルを開花させるための人材育成制度は整っているのでしょうか。そこまで調べる気はありませんが、やはり人を育てるってとても大変なことだと思います。
実際に調査はしませんが、日本でも本書のような採用面接時の評価とその後の職務における成果の相関関係を調べてみると、なかなか面白そうですね。


まとめ・おわりに

いかがでしょうか?
今回はダニエル・カーネマンの著書「NOISE」から、採用面接とその後の職務での成果の相関関係を見てきました。
やはり読書は良いですね。いつも新しい発見がある。
日本の採用システムを変える気は全くないですし、そんな力私にはありません。ですので、逆にそうした行動経済学から見た面接を理解して、内定獲得への戦略に利用するのもよいと思います。
今回の記事があなたのお役に少しでも立てれば幸いです。

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