見出し画像

香りを楽しむ


アーユルヴェーダでは自分の体調やライフスタイルに合った食物を選ぶことを推奨していますが、


私の師は、より進化したアーユルヴェーダの食事学として香りの好き嫌いで食物を選ぶことも大切であるとおっしゃいました。


実際、嗅覚に関する遺伝子は味覚のそれよりも数がかなり多いと言われます。

私たち人間の場合、日常生活で最も関心が高いのは視覚だが、ほ乳類のゲノムには外界の光を感知する光受容体遺伝子はせいぜい数種類しかない。

一方、味覚の中でも苦味を感じとる苦味受容体遺伝子は数十個あり、嗅覚では数百から千数百個もの受容体遺伝子を揃えている。
これはゲノムが抱える全遺伝子の数パーセントにもなる莫大な数である。
https://www.brh.co.jp/publication/journal/060/research_11

私たちには本能的に好きな香りを嗅ぎ分ける力があり、その匂いは過去の記憶として脳に刻み込まれているということも言われます。

ふとした匂いを感じた瞬間、あたかも今起こっていることであるかのように過去の情景が鮮明に蘇ってきた、といった経験はないでしょうか。 

これはフランスの作家、マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」という本の中で、主人公がマドレーヌの香りに触れ、幼少期を思い出した、という描写から「プルースト効果」として知られている現象です。

なぜ匂いによって、過去の記憶が呼び覚まされるのでしょう。それは、脳内での嗅覚の処理経路に関連するとされています。

脳には、感情・本能を司る「大脳辺縁系」と、理性的な思考を司る「大脳新皮質」の二つがありますが、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の中で唯一、匂いだけが感情・本能に関わる「大脳辺縁系」に直接伝達されます。

また、「大脳辺縁系」には記憶に関連する「海馬」という器官があります。

そのため、匂いはリアルな感情を伴った追体験を想起させるきっかけとなるのです。
https://www.tourism.jp/tourism-database/figures/2019/07/fives-senses-smell/


つまり香りを楽しむという行為は私たちの脳に記憶され、その香りを嗅いだ瞬間に楽しかった記憶が呼び覚まされるということです。


私の場合は目を閉じて木々の香りを感じている瞬間に懐かしい故郷の記憶が蘇ってきます。


ノーベル賞受賞者である分子生物学者の本庶佑は著書「ゲノムが語る生命像」でこのように言っていました。

ヒトの脳では感覚器から知覚中枢に情報がくる。

おいしいものが見えたら、食べようという反射的な行動に入る。

しかし脳にはさらに上位の高次制御中枢があり、学習や記憶のフィードバック制御により行動や感情を制御する。

感覚器から入った知覚の強さが中枢で制御されわれわれの行動や感情に表れるのであろうということに関しては、いくつかの証拠がある。

視覚と聴覚の両方を完全に失った患者の面談によると、嗅覚がものすごく強くなるという。

したがって、そうなった患者は、化粧の香りで相手が誰だかすぐわかるそうだ。


一度食事をいただく前に目を閉じてゆっくりと呼吸をしてみてください。


そのときあなたはどんな香りを感じるでしょうか?


たったこれだけのことで、いつもの食事がより美味しく感じられるかもしれません🌝

この記事が参加している募集

新生活をたのしく

QOLあげてみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?