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第1期footcaregiver BASIC講座を終えて

今年からひときたしゃべるのfootcare事業として開講しております『footcaregiverフットケアギバー』BASIC講座。第1期は6日間に渡りオンラインでの講義。そして仙台・福島・群馬・熊本の介護事業所様及びコミュニティスペースを会場に2日間の実技演習を開講することができました。
 北海道から熊本までの受講生は全員介護事業所で現役の介護士、看護師、機能訓練指導員。個人の申し込み、そして事業所様での研修の一環としてのお申し込みをいただきました。

 この講座では高齢者へのフットケア(足部並びに足の爪、身体の機能の悪化を防ぐこと・整容を目的)、そして子どものうちから適切な足の爪の切り方の習慣化を普及するための備えとしての(予防)フットケアを学ぶことで、今困っている足の爪や足部の困りごとの解消。そして今後、足の爪や足部の困りごとを自ら起こさないように備えられる人を各地に増えていくことを目的とした講座になります。

フットケアは人に対して行うケアになります。フットケアの技術だけを学び、手法を身につけてもその人自体には目や気を向け合うことなく自己満足のフットケアで終わってしまう可能性が非常に高くなると私は考えています。footcaregiver BASIC講座では、人と関わる上で欠かすことができないコミュニケーション。そして高齢者の終末期においてもフットケアで携わることもあることと思います。実際に高齢者の終末期に携わったことのない受講生もいることを考えると終末期への理解を深める講義も必要不可欠なのだと考えるのです。そして直接、医師から足に纏わる糖尿病足、足白癬、浮腫などについて家庭医学の観点より学ぶことができる、質問ができるカリキュラム構成。今後も各専門の講師を招きながら形は少し変えながらこのスタイルは継続していく方向です。人口減少、単身世帯の増加、高齢者が一時的に今後増加する中で認知症当事者や糖尿病疾患等のある高齢者も増加するといわれています。やはりどう考えてもカリキュラムの中に入門となる部分だけでも取り入れるべきだと私は思うのです。


ここからは受講生の声をご紹介させていただきます。

■今まで足に関連する研修等を職場(介護事業所・病院)で開催したことはありますか?
   全員ない と回答

今回受講を決めた理由を教えてください。
・知識、技術を仕事で活かせると思ったので。

・ご利用者の足のトラブル、特に爪をどうにかしたいと思ったため。

・自分自身が脚のトラブルで通院することがありますがデイサービス利用者さんは通院することが難しいため役立ちたいと思い、正しいフットケアを学びたかったからです。

・自分にあまりにもフットケアの知識がないのを痛感した為。SNSで見た印象と先生のお人柄や方針に引かれました。丹野さんの講義が受けられるのも感謝です。

・看護士ではない、同じ介護福祉士(阿邊先生はケアマネの資格もお持ちですが)で活躍してらっしゃるところ。心からフットケアの大切さを拡めたいと尽力されてるので、阿邊先生に教えていただきたいと思いました。

・足のトラブルが多い利用者様に対して何かヒントになるとこがあるのではと思って参加しました。

・会社司令



1日目の講義を終えてどのようなことを知ることができましたか?
・足に注目することはとても大切。

・足のトラブルは身体全体に影響すること。

・足先まで観察することの重要性。

・ケアプランを作るには素足を見る(footへの視点が薄かった)、3点アーチ、メカノレセプター、履き物がいかに重要か知れた。

・介護士ができるフットケアを具体的に知れたことは良かった。

・足の役割を考えた事がなかったので改めて考える機会になった。

・爪や足の役割

・フットケアの技術には解剖生理の知識が必要





講義2日目
医療法人社団悠翔会ココロまち診療所 総合診療医の片岡院長より家庭医学の領域からの《糖尿病・糖尿病足・足白癬・爪白癬・浮腫》についての講義をご担当していただきました。


家庭医学の講義について
 全員が『分かりやすかった』と回答

・片岡先生のお話…お医者さまとしてのお話がとても面白かったです。具体的な薬の名前など、とても参考になります!

・先生の足病変についての話はすぐに実践にいかせそうです。

・足の病気、症状について水虫や浮腫の注意することや薬の情報を知ることができてよかったです。

などと日頃、お年寄りの主治医、医師と話す機会のない介護士さんは特に片岡先生に質問をされていました。

今回の受講生は全員が介護事業所に勤務しているということで入浴の方法や入浴介助をする人数。爪切りや足を観るタイミングはいつかなどの情報交換もオンライン上で取り入れながら講義を進めていきました。また、逆に受講生の看護師さんに質問をするといった場面もありました。

2日目の講義全体について
・糖尿病、浮腫、白癬の知識が深まりました。
 高い確率で白癬や爪の変形がある現状に居りますが、『何の為に治療するのか』を考えていきたいです。

・入浴からの爪切りの時間配分を検討し直したいと思います。

・足の状態がフレイルや転倒につながることを意識して日々の介護をしたいと思いました。

・足部のトラブルはその方の人生を左右する

・コミュニケーションをとって関係性を築く大切さ

・改めて老化のことや疾患のことを含めて足の大切さを学びました。ありがとうございます。


▷定期的に爪切りが行うことができていないという声もありました。

・足の爪は入浴後に行いたいが、実施する人や時間を決めていないため。手ほど足に着目していないため。

・関われる人がいない。爪切りを優先されない。爪切りができない(時間的に、状態的に)がそのまま過ぎてしまう。



講義3日目
NPO法人里・つむぎ八幡平の高橋和人さんにご家族の『看取り』。そして事業所での『看取り』についての講義をお願いいたしました。


■看取りの講義で学んだことや普段高齢者の終末期のフットケアで困っていることなどがあれば教えてください。

・看取りに関わらせてもらったのがきっかけで、人はとにかく長生きするのが、果たしていいことなのだろうか、と考えるようになりました。人がその人らしく生きるには、また、この仕事をしていることでそのお手伝いができるときに、どんなふうに関わったらいいか考えることがあります。今回のお話を聞いて、それは引き続きやっていこうと思いました。

・映像からは終末期で入所されていても、日常生活を送っているように見えました。

・その地域、その人が生きて来た環境によって色々な関わりや寄り添い方がある事がわかりました。終末期になると浮腫みが出て来たりする事がありマッサージなど行ってきましたが他にできる事があれば知りたいです。

・生きることは魂の世話をすること…という言葉がとても心に残りました。この言葉を大切にして皆さんに接したいと思いました。

・若い頃、毎日どなたかを看取るような病棟で術後や呼吸器の患者さんも同時に看護していて疲れ果ててしまい、その後は見取りが少ない病院や病棟で働いてきました。里つむぎ八幡平さんのような施設で最期を過ごせたら、自分自身も幸せだろうなと思いました。

高齢者の終末期においてどのようなフットケアを心掛けていましたか?或いは困っていたことはありますか?
・病院に勤めていた頃は清潔保持、褥瘡予防・ケアに努めるのが精一杯でした。
・浮腫み時の対応
・浮腫や保温



<フットケア編>
■足の爪の切り方、整え方は今まで行っていたことと違っていたことはありましたか?
半数以上が「ある」と回答
・切り方を間違っていました。
・切る長さ、巻爪にならないような切り方など
・ヤスリを使ったことがありませんでした。
・ヤスリを用いて角の処理をしていませんでした。

■職場でフットケアをする際にあたり悩んでいること、困っていることはありますか?
・時間的な余裕がないこと。爪切りと思っても優先順位が低く、後回しになってしまっている。

・巻き爪、肥厚爪、胼胝、魚の目などがあり普通の爪切りをできる方が少ないです。

・巻き爪のある方に対しての爪切りやケア

・爪に問題のある方が多い。ナースでも手が出せない。


■今回の講義で学んだこと質問等
・とにかく、足に対して意識が低いことを認識させられます。

・足の観察はあまりしっかりしていなかったので、気づきを頂きました。

・フットケア…爪切りだけでなく、足浴からのマッサージのことは自分も経験して効果的と感じていたので、それも実践したい。

・観察項目、浮きゆびからの巻き爪、足浴の方法、爪の役割、靴の機能

・すべて学びになりました。

・アセスメントのポイントや靴選びなどなど、実技でしっかり学びたいです。





全講習を終えて
・阿邊先生に教えていただけて、ほんとに良かったです。しかも第一期生として9人の仲間もできて嬉しいです。介護士ももっと深いフットケアができる日がくることを願います。先生、本当にありがとうございました!一緒に学んだ一期生のその後…職場でのフットケア体験などの話を、zoomミーティングで聞けたらいいなと思います。仕方ないですけれども、先生がいらっしゃるところであと1日実習ができたらなと思います。ヤスリがけが不安です。動画を撮っていただいたので、エアーヤスリがけに励みたいと思います。あと家人での練習!家族で練習します。慣れたら、直属の上司であるケアマネに相談して、ご利用者にボランティアとしてフットケア実施したいです。できれば法人内に仲間を増やしたいです。(介護士)


・自分のも含めて足に注目したことはなかったし、ケアすることが歩行やその方の生活に繋がるのも考えていなかった。大切な内容が勉強できるこの講座を受けられてありがたかったです。先生やゲストの講師の皆さんのお話も興味深く聞かせていただきました。(介護士)


・実技をしたことで正しい爪切りがわかりました。一般の方々に協力していただいたおかげで、さらに課題がはっきりしました。6日間の講座でしたが、終わってみると講義でも実技でも学びがたくさんあり、受講してよかったです。準備などは大変だったと想像できますが、basic講座を開講していただき、ありがとうございました。(看護師)

・正面からニッパーを使っての爪切りは始めてだったのでとても緊張しました。モデルさんの足の爪を切らせて頂く事で沢山の疑問や気付きがありましたが、すぐ教えて頂き実技は必要だと感じました。Zoomから実技への流れや内容も分かりやすく、一緒に実技をした受講生にも助けて頂きました。少人数で恵まれた講座でした。(管理者・介護支援専門員)

・器具の使い方や、持ち方など実際にしてみると迷う時もあったがやってくうちに慣れてきました。(介護士)

・道具の使い方、手の動きは基礎がわからないとできないことなので聞けてよかったです。切りすぎたり、道具の誤った使い方で傷つけるようなことがあってはならないと思います。切りすぎないよう、ヤスリをうまく使えたらと思いました。(介護士)

・初めてニッパーを使いました。予想に反して、家庭用の爪切りよりずっと切りやすかったです。それにニッパーの方がずっと衝撃が少なくて驚きでした。(介護士)


・足部のトラブルはその方の人生を左右する。実際に爪を切る事が大変でととても時間がかかり難しかった。爪の見方、靴の見方、切れる爪、やめた方がいい爪など、実際に見る事でよく学べた。利用者さんの足トラブルの軽減や心理的ケアに活かしていきたい。フットケア爪や足の観察の大切さをよく理解する事が出来ました。実技では細かく丁寧にご指導頂きありがとうございました。(機能訓練指導員)

・爪の長さや切り方で歩行困難になるという事を学びました。上司と相談しないと実践できるかわからないが毎日行いたいと思います。フットケアに関して沢山学ばせていただきました。職場、私生活でも活かしていきたいと思います。(介護士)

・フットケアの大切さを改めて実感しています。今回ニッパーを使用しての爪切りやゾンデ、ヤスリの使い方を学ぶことが出来ました。BASICの技術の研鑽をしながら、ステップアップを目指したいです。フットケアの技術を活かして、普段のケアの中に取り入れ、認知症の方の歩行が継続してできるようにしたい。(看護師)


・フットケアの目的や、ニッパーややすりを使用したケアの方法などを学ぶことができたので現場でしっかり活かしていきたいと思った。(介護士)

・一通りケアした後、自分の目で確かめるのはもちろん、指で確認も忘れずに行う。普段の介護の中でフットケアを取り入れられるよう、働きかけをしたい。(介護士)

・足をケアする大切さを痛感しました。受講だけで終わるのではなく、ご利用者の還元できるようにしたいです。受講生2人で策を考えます。ありがとうございました。爪のケアをして、ご利用者の足を綺麗にしたい。靴選びに役立てたい。爪は個人差があるので、切り方も様々であり、実際のやすりをかける際に気をつけて行わないといけない。随分と練習が必要だと実感しました。道のりは長いと感じました。(看護師)


■職場で活かすことができそうなフットケアはありましたか?

・日頃のフットケア、入浴後の爪切りのあとのヤスリなど。
・ニッパーを使用した爪切りと、やすりの使い方。
・フットケアの時間確保/爪の観察/バスマットの個別化
・正常な爪のケアとやすりを使った爪の整え方
・爪切りはナースがすることとなってるようなのですが、法人内でさせてもらえるか相談するつもりです。特養とかでボランティアさせてもらえる
か…などの相談です。


▶︎各会場からの声
【10本とも足の爪が普通爪の高齢者が少な過ぎる】ということ。巻爪や肥厚爪、そして爪白癬と診断を受けた爪が大半。足を貸してくださった方も10本中10本普通爪ではないということを受講生も目の当たりしていました。(仙台会場除く)
 
子どものうちから爪白癬や巻爪、肥厚爪にならないように備えること。そして、現法律内で認められている異常のない肥厚爪や巻き爪の爪切りができるようになりたいといった次のステップアップへの意欲も受講生より聞こえてきました。

footcaregiver第1期ご受講いただきましてありがとうございました。一人で何から何まで行い失敗や反省ももちろんありましたし、気付きも学びもありました。受講生や事業所様の管理者、責任者の皆さまに助けられながら第1期を修了することができました。有難いことにステップアップ講座を受講したいという声も聞こえてきました。一緒にこの講座を走らせることができる受講生、講師ができたら嬉しいですね。

受講生の声より1期生だけのライングループを作り今後も事業所でのフットケアの導入等の情報交換の場を作らせていただきました。今後も何かの繋がりになれば。


今後


次回のBASIC講座は少し形を変えて開講していきます。2024年上半期は毎月開講いたします。現在、実技演習会場は仙台会場(ひときたしゃべるコミュニティスペース&コミュニティフットケアサロン・仙台駅近郊レンタルサロン)となっております。また5〜6月頃は札幌市内の介護事業所様をお借りする予定で準備を進めております。

東北、関東、関西圏(他、仙台から直行便のある地区)の介護事業所様等にて会場、並びに足を貸してくださる方を募集しております。もちろん場所代、光熱費等はお支払いいたします。
家庭医学、終末期ケア、コミュニケーション等についても引き続きフットケア以外の講師の方もお招きしながら講義を進めていきます。

どこに暮らしていても足の爪や足部の困りごとが解消できるように。そして足の爪や足部の困りごとを自分で起こさないように。フットケア+αのケアや見守り、サポートができるfootcaregiverを各地に養成していくことを目指していきます。
また巻爪や肥厚爪のケア(法の一部改正)の範囲が広がるようにアクションは起こし続けていきたいとおもいます。
皆さんも今後介護施設や高齢者住宅等に入居することになっても巻爪や肥厚爪の爪切りは介護士さんや看護師さんはケアができずに、そのままとなって歩行や立ち上がりへの支障。身体機能の悪化。そして見た目の悪さに気落ちする老後となる可能性も無きにしも非ずなのです。そうなる人が1人でも減るように各都道府県、市町村、介護事業所においてフットケアができる人を増やしていきたいと想います。




最後になりますが今回ご協力いただきました

・有限会社ネットワーク調剤様(福島県)
・NPO法人あやの里様(熊本県)
・株式会社アイ・ウィッシュ様(群馬県) 
・NPO法人里・つむぎ八幡平高橋和人様(岩手県)
・医療法人社団悠翔会ココロまち診療所片岡侑史様(神奈川県)
・ネッツトヨタ仙台 丹野智文様(宮城県)

 誠にありがとうございました。


▪️footcaregiver講座 ホームページ



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