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細川 重男 / 執権 〜北条氏と鎌倉幕府〜

22年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は近年稀に見る傑作で、毎週日曜日の夜は、子供が寝てから1人で集中して録画を見るのが楽しみでした。本当に素晴らしかった。
その興奮が冷めやらぬ中始まった『どうする家康』
うーん、どうでしょうか。どうなんだい?1話で結論を出すのはいささか早い気がするのでもう少し様子見ですが、鎌倉殿の後は誰だって辛いわな。
とりあえず違和感バリバリのCGで「どうしたNHK」状態ではありますが、私の心はまだ鎌倉時代におります。

ガイドブックもビジュアルブックも買い思い出に浸っていましたが、遂に「あー鎌倉幕府の本が読みてぇなぁ」となり、鎌倉幕府の本ってなんだよって話ですが、やはり吾妻鏡は読んでみたいですよね。読んでみたいのですが、いきなりはなかなかハードルが高そうなので、まずはTwitterでオススメされていたこちらの本を。鎌倉時代の考証をまるで坂東武者のごとく荒々しい意訳でぶん回す素敵な本です。

細川 重男 / 執権 〜北条氏と鎌倉幕府〜

北条氏はなぜ将軍にならなかったのか。なぜ鎌倉武士たちは果てなく抗争を繰り返したのか。執権政治、得宗専制を成立せしめた論理と政治構造とは。幕府草創期を支え、承久の乱を制し、執権への権力集中を成し遂げた義時と、一三世紀後半の蒙古侵攻という危機のなか得宗独裁体制を築いた時宗。二人を軸に、明快に鎌倉幕府の政治史を見通す画期的論考!

巻末あらすじ

あらすじにもある通り、本書のメインは2人の執権、北条義時と北条時宗。

まず義時の項。
伊豆の小さな豪族の次男坊が、いかにして武士の頂に立ち、戦神の生まれ変わりと呼ばれるようになったか。過去の文献から独自の解釈で綴られるその軌跡はまさに『鎌倉殿の13人』そのもの。
義時は出世や権力には興味がなかった。でも降りかかる火の粉を振り払っているうちに、いつの間にか頂点に上り詰めてしまったんですね。
もう鎌倉殿の世界から全く抜けられていないので、登場人物が全て鎌倉殿キャストで脳内再生されてヤバかったですね。細川氏が描く坂東武者のヤンキーっぷりがまたたまらない。

そして畠山重忠の乱のあと、時政と対峙する義時のセリフの意訳が特に最高でした。

「クソ親父!オレたちを騙して、ダチを殺させたな!」

”第二章 江間小四郎義時の軌跡”より

完全に小栗旬で再生。
でも実際本当に、こんな感じだったんだろうなと思う。
その他にも最高な意訳満載で読んでてニヤニヤでした。

そしてもう1人の主人公、北条時宗。
元寇で有名というか、元寇でしか知らないというのが正直なところだったんですが、まぁ時宗も実兄やら親戚やら側近やらを殺しまくり、まぁ内輪でゴタゴタしてるわけです。
もうこの時代、ずっと内輪で殺し合ってんな笑
でもそれは全て元寇のために。
本書を読んで時宗の時代にも俄然興味が湧いてきたので、大河『北条時宗』も見てみたいですね。どうするNHK。再放送いける?
それか、是非また三谷幸喜脚本で見てみたいです。。心から。

さて、本書を読んでいて改めて思ったことは、大河ドラマの力って凄いなと。
だって鎌倉時代なんて、源頼朝と義経くらいしかパッと浮かばない人が多かったと思うのよ。それが今おそらく、和田義盛、畠山重忠、源仲章、etc..
それぞれの武将のことをイメージできる人が絶対的に増えたと思う。自分もそう。この時代の武将なんて大して知らなかったわけで。
さらにその時代のことを知りたくなって、本書を手に取る人間は、自分以外にもたくさんいるはず。

『どうする家康』もなんだかんだ言って期待してます。
主人公があまりにも知られすぎた徳川家康というのは高いハードルですが、『鎌倉殿の13人』のように、その時代への知識欲を刺激してくれる作品になっていってほしいですね。

にしても本当に楽しかったな。中学高校の日本史の教科書もこんな感じだったらサクサク知識が頭に入ってくるのにね。
どうする文科省。


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