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📖読書記録📖できることを少しずつ 香山リカの目

読書紹介記事を書く青沼りんです📗
今回は、なにもしないよりかはやったほうがいい、まずは今できることを少しずつ大切さを伝えてくれる一冊をご紹介したいと思います。



●今回ご紹介する本『できることを少しずつ 香山リカの目』

香山リカ 著
毎日新聞社
2013年3月20日 第1発行


著者は精神科医としてクリニックで診察を続けながら新聞や雑誌への寄稿、講演など幅広く活躍する香山リカさん。

本書は著者が毎日新聞で連載されていたコラム「ココロの万華鏡」で、連載当時の2011年3月に起こった東日本大震災を背景に、患者さんとのやり取りから気付いた出来事や著者の思いが書かれたコラムを中心に、これまで書いた文章を加筆修正しまとめた一冊です。


●1  震災後のこの国を生きる

私が特に印象に残ったのは、【1  震災後のこの国を生きる】の『グリーフ•ケアの第一歩(2012年1月31日)』というコラムでした。

グリーフ•ケアとは、死別の悲しみを抱える遺族をサポートをする取り組みで、そのケアの重要性を訴える1人であった高木慶子さんにお会いした時のことを題材にされたコラムでした。
彼女は上智大学のグリーフケア研究所所長であり、カトリックのシスターでもありました。

コラム連載当時の2011年は前代未聞の大震災で被災された被災者の方々を励ますため、日本中が被災地に向けてエールを送っていました。
前を向くことを第一としていたためか、どこか悲しむことを後回しにされていた空気感もありました。

そんな中、高木慶子さんは『悲しみの乗り越え方』といった悲しみを題材にした本を多数執筆されていたことから、各出版社から執筆依頼が殺到したそうです。


傷ついた人は立ち直ってほしい。
笑っていてほしい。
辛い記憶は1日でも早く忘れてほしい。

確かに今まではそれでよかったかもしれないけど、失った大切な人やものを無くした人に痩せ我慢させることではないか。
それは直接被害を受けなかった人間の傲慢なのではないか。

悲しいことがあったら悲しんでいい。
もう会えなくなってしまった人を無理して忘れなくていい。
悲しみに浸ってもいい。

完璧じゃなくていい。
だけど何もしないよりは何かしたほうがいいから、今できることを少しずつ動いていけばいい。

あの頃から「悲しみを悲しんでいい」という悲しみの価値観が変化し始めたような気がします。

最近では「無理をしなくていい」「逃げたいときは逃げてもいい」というメッセージが込められた書籍をよく目にします。

人間って思ってるほど案外弱い生き物なのに頑張りすぎるから、「疲れた自分」を認めてあげていいし、「悲しみ」と向き合う時間を持っていい空気になってよかったなとしみじみ思いました。

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