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社会人を経て、海外留学しようと思った理由、学びたいこと

この秋からスロベニアのUniversity of LjubljanaAcademy of Fine Arts and Design, Industrial Design Course(リュブリャナ大学 美術デザインアカデミー インダストリアルデザインコース)の大学院に留学に来ている。基本的には自分のために、加えてスロベニアやリュブリャナ大学に興味のある人のために、考えたことや情報を残しておこうと思い、noteを始めてみます。

簡単に経歴だけ紹介しておくと、京都に生まれ、東京と金沢で育ち、金沢美術工芸大学で空間デザインを学び、三菱電機のデザイナーとして1年半働き、留学に来るまでは、ロフトワークというクリエイティブカンパニーで約4年ほどクリエイティブディレクターのお仕事をしていました。

ロフトワークの仕事は自分にとっても天職ではないか?と思えるほど、どこでやるか/なにをやるか/誰とやるか、が揃っていた会社だったし、やりがいもあって自分でもカルチャーフィットしていると思う。その環境を手放してまで、留学しようと思った理由と学びたいと思っていること(≠スロベニアやリュブリャナ大学を選んだ理由)から、まずは書いてみます。


そもそも、海外に長く住む経験をしたかった

これが何より一番大きい。母が昔海外で仕事をしていたことから海外経験を以前から勧めてくれていたのもあったり、親戚は国際結婚してる人もいるし、こんなに地球が広いのに日本にしかいないのももったいないし、日本以外の環境にどっぷり浸るのはいつかしたいな〜と思っていた。

本当は学生のときにトビタテや交換留学の制度を使ってやれば良かったものの、学生のときはできるだけ早く社会に出たい思いが強く、あまり真剣に検討せず一目散に大学を卒業してしまった。社会人になってから留学しようとするのは、制度的な意味だと全然社会から応援してもらえない。結果的に働いてから留学することに意義は感じているけれど、学生のころにも使えるものは使って短期でも留学しておいても良かったなとは思っている。

転職もして、よーし働くぞと意気込んでいた社会人2年目、COVID-19でロングスパンの考え事をする時間ができてみたら、そういえば海外行きたかったよな…?と思い出し、もう20代も残り少ないし行くなら今かも、せっかくならワーホリするより興味のあることを学びに行くか〜!と思って大学院を調べ始めたのが発端だった。海外への興味や期待していることをもうちょっと詳細化してみると、

  • 美しい街並み、審美眼が自然と身につくような風土、国としてクリエイティブが(おそらく日本より)大切にされているであろうヨーロッパの空気を体感したい

  • 全く自分と異なる考え方や価値観の文化に出会ったら、もっと柔軟になれるんじゃないか

  • 自分がマイノリティである状況を経験しないとこれから仕事が行き詰まる気がしてきた

  • 日本は好きだけど外から見てどう見えるのかを知りたい

  • 円安が進みすぎてて不安。海外の仕事もできるようになりたい

くらいに分けられる。このあと、まずIELTSのスコアが最低でも6.5はないとほとんどの大学にアプライさえできないとわかり、COVID-19の外出自粛によって爆誕した時間は英語の勉強にフルベットすることになる。

ここから以下は留学する理由というより、研究したいことに近いかも。


人が成長過程でクリエイティブコンフィデンス
(創造性への自信)を持てるようになるには?

自分が大学でデザイン教育を受けてよかったことの一つとして、課題を通して、自分の主観を信じる力、そこを起点に創造したりアクションする力が身についたことがある。もちろんそこからリサーチ、フィードバックなど客観的な視点を含めて最終的にアウトプットしていくことも、クリエイションを通して社会と接点をもつのであれば大事ではあるけれど。そういう自分のなかの創造性に対する自信をクリエイティブコンフィデンスと呼ぶらしい。

自分の視点とか感受性を大切にして、表現したり行動してもいいと思えると(倫理観とのセットが必要だとは思う)、まず個人として生活や仕事がよりおもしろみのあるものになると思うし、そんな人が増えたら、ひいては社会ももっと予定調和じゃないアイデアフルな世界になっていくんじゃないかな??と思っている。自分はデザイン教育を通して獲得できた気がするけど、もっと多くの人に若いうちから共有できたらいいし、実際に2020年のAdobeのリサーチでも、クリエイティブコンフィデンスの獲得は小4〜中3がカギという結果が出ている。

もう少し詳しくは以下のnoteに書いているのでぜひ(「デザインのとびら」はこの実践として、2019年に仲間2人と立ち上げたデザイン教育の事業)

主観とか創造というとちょっと仰々しいけど、実際はそんな大それたことではなくて、前職の先輩があげていた例を借りると、まちで目の前で財布を落とした人がいたときに、その人に「落としましたよ」と声をかけられるかどうか、つまり、自分が状況に介入して良い方向に持っていくことができると思える自信、ともいえるらしい。個人的にはもう少し広くとって、良いと思ったものを良いと言うとか、自分なりに表現してみるくらいのことでもいいと思う。

それって子どもたちとどうやって育んでいけるんだろうか。たぶん、今の「教育」として私たちが考えているような、誰かが作ったプログラムとして提供するというような形でもない気がする。

ヨーロッパにおける(特に中小企業の)デザイン経営への興味

前職のロフトワークで関わらせてもらった、地域のものづくり中小企業のデザイン経営にはとても可能性を感じていて、本当に日本の活路の一つなんじゃないかなと思っている。ヨーロッパは人口あたりの「Hidden Champions」(ドイツの経済学者ハーマン・サイモンが提唱した定義で、強い中小企業の意味)の数が非常に多くて(ちなみに日本も企業の数でいえば世界3位)、そういった企業のデザインの浸透具合や取り組み方を実際に現地でリサーチしてみたいという思いもあった。

中小企業のデザイン経営については以下が定義からケーススタディまでわかりやすく書いてあると思います。

そもそものデザイン経営については、2018年に経産省と特許庁が出したデザイン経営宣言と、

https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20180523001_01.pdf

知財専門家の土生さんの以下のnoteもとてもわかりやすい。

根本では、クリエイティブの視点やマインドセットを多くの人に共有するという点では上の項目と自分のなかではつながっている気がしている。

自分の手で作る力ももうちょっと付けたい

もともと、金沢美術工芸大学というゴリゴリの美大で空間デザインを学んで、学んでいるうちに上流のデザインに興味を持って、社会に出てからはサービスデザインやデザイン経営、プロジェクトデザインの文脈で働いていて、それは自分にはめちゃくちゃ向いているんだけど、手を動かすのも好きだし、その力ももっと腰を据えて高めたい気持ちもあった。この部分は、全然カリキュラムに含まれていない大学にも受かっていて、最終的にどうするかは結構悩んだところでもある。


こんな思いで受けたのは以下の4つの大学院。ただ、大学院の選び方としては上記の学びたいことを網羅しているわけではなくて偏りがあったり、たくさんの大学を調べた上で、予算的な観点や、直感で惹かれるところも含めて受けていたので、方向性にばらつきがある。

  • University of Ljubljana 🇸🇮|Indusrtial Design

  • Aalto University 🇫🇮|International Design Business Management

  • KABK(ハーグ王立美術学院)🇳🇱|Non Linear Narrative

  • Service Design Strategies and Innovations 🇱🇻 🇪🇪 🇫🇮
    ※これはラトビア大学、エストニア芸術アカデミー、ラップランド大学の3つの大学が合同で運営するジョイントマスターという仕組みのコース

受験記はまた別の投稿で書く予定。最近会った人たちには話しているけど、卒業後はどうするか、日本にすぐ帰るとも決めていないし絶対帰らないとも決めていない。結構自分でも何をやっていこうかは考えあぐねていて、ここと決めればなんでもできちゃう気もするし、うっすら見えている気もするけど、この2年で何に出会ってどう感じて考えて、どんな縁があるかもわからないので、ポジティブな意味であまり決めきらず、まずは目の前の学びに向き合ってみようと思います!

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