朝活に振り回される朝

朝活に憧れて色々とやろうとするたびに、やりたいことがありすぎて逆に何がしたいのか分からなくなったり、無理な目標を掲げて続けられず凹んだり、没頭しているうちに時間を忘れていたりと、ぽんこつ具合を発揮してきた。どうしてこうも朝活が上手にできないのか。

モーニングルーティーン動画やコラムなどを身漁っているうちに、ふと、朝活というものが「生活の一部である」という理解が浅かったのではないかという考えに至った。つまりは「朝活やりたい」という行為自体に脳が支配されすぎていて、朝活の前後の生活を何ひとつ考慮していなかったのである。日々の生活にメリハリと、ほんの少しの豊かさをもたらしたいがために始めた朝活で、生活が疎かになっては本末転倒だ。

朝の習慣と、やりたいことを書き出してみる

【朝の習慣】
起きる
お香を焚く
白湯を飲む
夫の弁当を作る
身支度
出発

【やりたいこと】
朝の宅トレ15分
(できれば朝ジム30分)
語学勉強60分

今書いていてあれっと気が付いた。書き出してみると「やりたいこと」が意外と少ない。なんというかもっとこう、ふわふわっと、やりたいことが次から次に湧いてくるような感じだったはずなのに。頭の中がふわふわで満たされて何だか集中しきれない、そういう気持ち悪さがずっとあったはずなのに。あれはいったいなんだったの？

今までの自分なら、ここまで書き出せば十分だった。とにかく頭の中をシンプルにするために生活を大きく区切り、毎日くり返す習慣のみを書き出し、それさえこなせばいいという感覚で生きてきた。数少ない習慣とやらの前後に朝活の時間をもってきたらいい、シンプルなことだと満足していたにちがいない。まさにYouTubeのVLOGである。

だがこれでは根本的な部分は変わらないのだ。朝活は「生活の一部」なのだから、当然理想通りになんて進まない。生活というのは同じことの繰り返しのようで、いろんなことが少しずつ違う。シンプルというのは必要最低限に近しくて、やはりそれだけでは生活が覚束なくなる。

そもそも前日の行動も大きく影響する。共働きの我が家では、夜の脳みその動きがものすごく鈍い。全てを投げ捨ててベッドにダイブしたい衝動に駆られながらご飯を食べ、夜のルーティーン（寝支度）をこなすのである。その中で取りこぼすものは多い。洗い損ねた食器。ソファに山積みにした洗濯物。ルンバの妨げになるものが転がった床。くすみ始めた洗面台。埃が気になる照明器具。
毎日というわけではないが、何かしら取りこぼしがある。朝起きてそれらを対処しているうちに、「あれもこれもしたいことたくさんあるのに…」という焦りのようなものが沸々と湧いてきて、いつの間にか頭の中がふわふわの感情で満たされてしまうのだ。だったら、それらの取りこぼしを回収する場合の朝の行動パターンをはっきりと理解しておくべきだろう、ということですごすごと書き出してみる。

（理想込み）朝の生活の細部を書き出す

起床
スマホを眺める
布団から出てカーテンと窓を開ける
お香に火をつける
加湿器に水を足す
オイルヒーターの温度を調整する
窓を閉める
お湯を沸かす
目を洗う
顔を洗う＋保湿する
歯を磨く
洗面所を軽く掃除する
前日に洗われた食器の収納
前日洗い損ねた食器を洗う
白湯を飲む
夫の弁当を作る
ゴミチェックをする（まとめて捨てるのは彼）
夫のお見送り
自分用朝ご飯の用意
自分用弁当の用意（旦那と中身が違う）
水出しの出汁の用意
炭酸水のお水の用意（夜用に冷やしておく）
夜用のご飯を炊飯器にセットする
朝使った調理機器を洗う
洗濯を回す
布団を干す
ルンバをかけるための片付け（埃落としも）
ルンバをかける
玄関の靴を片付ける
植物に水をあげる
お花の水をかえる
前日の洗濯物を取り込む
前日の洗濯物をしまう
洗濯物を干す
着替える
髪をセットする
化粧をする
水筒を準備する
家を出る

これが多いのか少ないのかは私には判断できないが、普段こういうことを無意識の中でやっているらしい。ルーティーンでもなければ前日の行動次第でやることが増えたり減ったりするので、いつだって「何か忘れてる気がする…」と「あれもしなくちゃ（間に合うのか？）」という気づきが脳内を駆け巡る。そうこうしているうちに、気づけば朝活が疎かになっていたり、せっかく時間が確保できても何だか集中しきれずに時間が過ぎてしまう。それはきっと、ジェットコースターから降りたのにまだふわふわ足がおぼつかないような、からだの動きと頭の中がちぐはぐな状態なのだろう。

結局できることは生活を整えること

書き出してみて思ったが、これは一日やそこらで解決することではないように思える。本来であればまず朝活をする時間を決めて、そこを中心に他のプランニングをするのだろうけど、私の場合は生活を整えていくほかなさそうである。だってどれも本当に「生活」なんだもの。そこまで潔癖でも几帳面でもないが、上記のものはやっておかないと何だか落ち着かないくらいには私の生活に無理なく入り込んでいる。それらを疎かにするということは、多少なりとも生活に不便を被ったり、未来の自分の首を絞めることになりそうだ。そうなると結局、朝活はもっとままならなくなる。

夜のうちにあともう少しだけ頑張ってみる。ひとつひとつにかかる時間を少しずつ短縮できるように意識してみる。生活動線や効率的なルーティーンを整えてみる。そういう小さな試行錯誤の積み重ねで心地良いリズムが生まれていけば、なんとも落ち着かないこのちぐはぐさから少しは解放されて、何だか良い朝の時間を迎えられそうだ。
少なくとも今回朝の生活のすべてを書き出したことで、「まだ何かある気がする」というモヤモヤを解消できるきっかけを作ることができた。全体を俯瞰してみると、どうもそんなに肩肘を張らなくても良さそうだ、なんて謎の余裕も生まれてきた。

そしてきっとこうやって考えて過ごすことも「生活」というものなんじゃないかしら。自分の心地よさを求めて、たくさんの試行錯誤を繰り返しつつ、独りよがりにならないように、程良いバランスで過ごしていく。そういう絶妙な線の上を歩いて、私の「生活」は成り立っている。いつかその中に、朝活としてやりたいことが違和感なく馴染んで、またあらたな「生活」の流れが生み出されていくのだろう。地道だが、とても面白そうだ。