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p.17【研究】ペナン島の多文化共生のヒントや理由

今回は、ペナン島での現地調査を終えて私が考える「ペナン島の多文化共生の理由やヒント」に関する見解を書きます。

現地では、公的機関や研究者の方へのインタビュー調査、街歩き、視察による学習を行いました。それらの調査を終えて私が見つけたペナン島の多文化共生の理由やヒントは全部で4つ。



01.歴史とその継承方法

私は、プラナカンマンションというプラナカン文化を学ぶことができる博物館を訪れました。ここでは、そのプラナカン文化が持つ歴史とその継承方法についてお話しします。
プラナカンというのは東西貿易によってペナン島に移り住んだ中華系移民の男性とマレー人の女性のミックスの子孫のことを言い、このことから、当時のペナン島では移民を排除するのではなく共に生活をする共生の道を選んできたことがわかりました。また、建築様式や家具には双方の民族のスタイル(+当時イギリスによる植民地支配を受けていたのでイギリスのスタイル)が取り入れられており、どちらかの価値観や文化を押し付けるのではなく、プラナカンという新たな文化を形成していったのだと感じました。
このプラナカン文化の継承方法として、プラナカンマンションという元邸宅兼オフィスをプラナカン文化を学ぶことができる博物館として一般公開し、英語や中国語による無料解説ツアーが随時開催されていました。このことから、先人たちが選んできた多文化共生という道を積極的に継承しようとする姿勢が見えました。

プラナカンマンション



02.ある程度の住み分けと共有

実際に公共交通機関などを利用してみて、複数の民族の方が共に利用し共生していると感じましたが、現地で生活する中で、ある程度民族によって住んでいる地域が分かれていることに気づきました。現地に渡航する前は、民族によって居住地域を分けることは差別につながるのではないかと考えていましたが、絶妙なバランスで、ある程度の住み分けと共有を重ねることがペナン島の多文化共生のヒントなのではないかと考えました。


中華系の方が多く住む水上集落



03.観光資源(ストリートアート、宗教施設)

<ストリートアート>
ストリートアートはペナン島の歴史や文化を可視化しているもの、そして、それぞれの民族の暮らしを表現しているものが多くありました。このことから、ストリートアートは歴史や文化の風化防止、理解促進、他者理解、自己表現もの役割を担う、多文化共生には欠かせない重要なツールなのではないかと考えました。
また、私はたくさんのストリートアートを巡ってみて、猫がモチーフのものが多いことに気づきました。ペナン島で長年アートの研究に携わられている研究者の方にこのことを聞いてみたところろ「アーティストによると思うが、ムハンマドが猫を愛していたことや、イスラム教には犬を不浄のものとして扱う教えあることから、より多くの人に愛される動物が猫だったのではないか」という見解を教えて下さいました。このより多くの人に愛されるモチーフ選びという点からも様々な背景や宗教、価値観を持つ人々に配慮したペナン島の人々の多文化共生の考えが表れていると感じました。

ストリートアート①



ストリートアート②



<宗教施設>
ここではクーコンシーを取り上げます。クーコンシーは、19世紀ごろにペナン島に移り住んだクー一族が集う場所として建設され、現在は一族の歴史などを知ることができる観光地として一般公開されています。
クーコンシーは外国の要素を取り入れた建築様式が採用されていて、その理由の一つとして、当時のペナン島の多様性あふれる社会を反映したことが挙げられます。この歴史的に価値があり、一族にとってとても重要な建物に外国の要素を取り入れる様子から、多文化共生には欠かせない他者理解、相互に尊敬し合い、認め合う様子が表れていると感じました。

外国の要素があらわれたクーコンシーの屋根と白い柵



04.多様性や変化に寛容的という街の性質

ペナン島は街並みや景観を簡単に変えてしまう性質を持つストリートアートの存在を認め、ストリートアートを描くことを推奨しています。
また、ジョージタウンは街全体が世界遺産に認定されている場所です。世界遺産に認定されている場所や建物は、その建物や地域の景観を変えずに維持していく立場をとることが多いと思いますが、ペナン島は逆の立場をとっており、劣化もするし、簡単に描き換えも可能で、景観の維持や保存には適していないストリートアートを認めています。このことから、物理的に建物や街の景観を保存し、維持し続けることよりも、このような景観の変化やそれらを認める多様性という性質を維持することの方がペナン島にとっては重要で、それがペナン島の多文化共生のヒントだと感じました。

劣化が進んだストリートアート




以上が私の見解です。
ペナン島(ジョージタウン)は町中にストリートアートが溢れていて、道を歩く人々もさまざまな民族の方で、日本にはあまりない、あまり認められていない”多様性”が認められており、特に可視化されている場所だと感じました。
私がこう感じたのは、日本で生まれ、日本で育ち固定化された「普通」の概念を持ち、その概念から逸脱してはいけないものだという認識を少なからず持っていたからなのではないかと思います。
これからは積極的に国外に出向き、さまざまな価値観に触れ、固定化された普通や偏見、先入観を壊していきたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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