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Xデザイン学校公開講座「融けるデザイン+つなぐデザイン」に参加しました

8月27日、武蔵野美術大学デザイン・ラウンジで開催された "Xデザイン学校公開講座「融けるデザイン+つなぐデザイン」" に参加してきました。

この講座では、明治大学の渡邊恵太先生が「融けるデザイン」というテーマで、有名な本「融けるデザイン」の内容と、最近考えられていることについて、その後、富士フイルムの小島健嗣さんが、「つなぐデザイン」というテーマで、富士フイルムのイノベーション手法について話されました。

わたしは、渡邊先生の融けるデザインは読んでいたので、その内容は、「ああ聞いたことがあるな」という程度だったのですが、最近考えられていることがとても面白く、興味深い内容でした。今日は、その部分について書きたいと思います。

exUI - external UI

今、家電などのハードウェアで、UIはハードと一体になっています。この考えを変えて、ハードからUIを切り離し、UIはスマートフォンで実現するという考えがexUIです。

現在の家電UIは、コストをかけられずスマホUIと比べると貧弱なものが多いと思います。それをスマートフォンに任せることで、身体の一部と感じるような自然な操作感(融けるデザインの中で、自己帰属感と言われている感覚)を提供することができるという利点が得られます。

さらに、
・ハードウェアのコストを下げることができる
・ハードウェアのデザインをシンプルに美しくできる
・UIがスマホなのでパーソナライズが容易になる
・機能、サービスの入り口がスマホなので、アップデートが容易に行える
・UIのA-Bテストのようなweb的な発想を取り入れることができる
という利点もあります。ただ、これだけだと、どこかで聞いたことがあるような話だなあと思う程度だったのですが、この次に話された点が私にはヒットしました。

企業はプラットフォーマーを目指すべき

今、様々な企業がデザイン思考を取り入れて、ユーザーの本質的要求を探っているのですが、それでわかったことは、結局多様なニーズがあることがわかっただけではないか?
そして、それを企業が自分達でどうやって解決すれば良いかという問題に、結局、答えはないのではないか?

もしそうならば、ハードウェア企業はプラットフォーマーになって、ディベロッパーに多様なユーザーニーズの探索と解決をしてもらえば良いのではないか?という話です。

そして、プラットフォーマーはユーザーフレンドリーよりも、ディベロッパーフレンドリーを目指すべき。そしてディベロッパーはユーザーフレンドリーであるべきというポイントも話されていました。
これは、今、iPhoneやAndroidで取られている戦略を家電業界でも実施するということですが、UIを切り離すことでそれが容易になるというのは非常に大きなポイントだと思いました。

まとめ

UXデザイン、UI開発に携わる身としては、スマートフォン時代、ボイスUI時代にどのように価値をユーザーに提供するか、その時にどうユーザビリティを確保するかということを考えてきました。その中で、ユーザーを見るのではなく、ディベロッパーを見て、プラットフォームを作るという発想は衝撃的でした。これによってあらゆるユーザーに向けた価値提供が可能になる理想的な世界が生まれることになります。

一方で、いろんな企業が独自プラットフォームを作る世界になると分断と淘汰が進むという課題が生まれます。わかりやすい例としては、スマホOSです。iPhone, Androidという2強の陰で、SAMSUNGが押していたTizenはいまいち流行らず、ほぼ消え去ったように、プラットフォーマーとしての戦いが必要で、それは各メーカーいままでに経験したことのない分野だとも思います。またディベロッパーも、分断が進めばそれぞれのプラットフォームに向けて、アプリ、サービス設計と、開発が必要になるという課題があり、混沌とした状況になることが想像されます。そうなると、ユーザーが着いてくるんだろうか?という課題が生まれるとも思い、いろいろなことを考え、戦略を練っていく必要がありそうです。

この講座では、企業からユーザーに価値を提供する方法を、根本から考えさせられるという、とても良い機会を得ることができました。最後になりましたが、企画された浅野先生、山崎先生ありがとうございました。

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