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ヘイ・ジュード / ザ・ビートルズ Hey Jude / The Beatles

ウチの中学は掃除の時間中、校内放送でビートルズの「ヘイ・ジュード」が流れていた。
ヘイ・ジュードといってもビートルズのオリジナルの音源ではなく、どこかのストリングスオーケストラによるインストのイージーリスニングバージョンだ。
掃除の時間が何分あったのか記憶が定かではないが、2〜30分間エンドレスでリピートされるのだ。
ウチの中学は「ボーカルの入った曲を流してはいけない」という意味不明の謎ルールがあった。
放送委員なるものがいて、お昼時に校内放送で音楽を掛けてくれるのだが、全部インストだった。

あのルール何だったんだろ。

田舎だからか。

まったくの余談だけど、ウチの中学の時間割は午前中に4時限、昼食を挟んで午後は2時限、合計6時限あった。
ある日、放送委員のA岡君(アースアンドファイアのアルバムを買ったあのA岡君だ)が3時限目が終わって姿が見えなくなった。4時限目になっても姿を現さず、座席は空いたままだ。さすがに先生もクラスのみんなも心配になってきた。すると突然教室のスピーカーからA岡君の声。

「今からお昼の放送を始めます」

放送が流れ始めた。
放送開始を1時限間違えたんだな。
全校生徒が「おいおい、今から4時限目だよ!」と総ツッコミを入れ、爆笑を誘う大事件を引き起こしたことがある。
先生が笑いながら「おい、誰か放送室に行ってA岡の放送を止めて来い」
誰かが連れ戻してきた。
本人も1時限間違えたことに気づき、決まりが悪そうに教室に戻ってきて4時限目の授業を受けて一件落着。
4時限目が終わって昼食の時に再度A岡君の「今からお昼の放送を始めます」の放送にまたしても全校生徒大爆笑となった。

なかなかのエピソードの持ち主だ。

さて、話を掃除の時間に戻す。
俺は小学校の先生から引き継ぎ事項として中学に情報が伝わっていたのかどうか知らないが、とにかく「やることがズルい」という評価だったようで、中学の3年間、担任がすべて女の先生だった。

細かいことをいちいちキチンと指摘して俺のズルさを矯正していこうという意図なのか。

掃除なんかもちろん嫌いだったのだが、一応優等生なのでそれなりに掃除の時間には掃除的な事をしていた。

ある時、掃除時間に雑巾掛けをしていた。
汚れた雑巾を水道ですすいでいたら先生が見回りに来て
「俺君は立ってサボってないでちゃんと雑巾掛けをしなさい」
と俺を𠮟りつけて、また他の場所の見回りに行った。
俺は不本意ながら「はーい」と素直に従ってその後も雑巾掛けを続けたが、何度か雑巾がけをして雑巾が汚れたので水道ですすいでいると先生がタイミング良く(悪く?)また見廻りにやってきて
「また俺君は立って水道でサボっている。ちゃんと掃除しなさい」
「ほんとに俺君はズルいから」

ええええええええええ?
ちゃんとやってたっつーの。

心の声は叫んでいた。

今でもヘイ、ジュードを聴くと、あの忌まわしい中学時代の掃除の時間と女の担任の顔が蘇ってくる。

そんなこともあって俺は掃除も女の先生も嫌いだが「ヘイ・ジュード」を嫌いにならなくてよかった。


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