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企業で働く人の意見反映し、人材開発支援助成金に新コース|気ままに労働雑感

厚生労働省は、従業員に実施した職業訓練の経費や訓練中の賃金を助成する人材開発支援助成金の新コースとして、「人への投資促進コース」を創設しました。企業で働いている人のアイデアを支援メニューに反映させた点が特徴で、オンラインの定額型訓練(サブスクリプション型の研修サービス)を助成対象に加えたほか、長期教育訓練休暇制度の賃金助成における人数制限を撤廃しています。
さらに、労働者が自発的に受講した訓練費用を企業が負担した場合も助成対象としました。

同コースの支援内容や助成率・助成額などの詳細は今後紙面でお伝えする予定ですので、本コラムでは、支援メニュー決定の経緯に注目したいと思います。

「人への投資」の強化を重点課題に掲げる政府は、3年間で4000億円を投入する施策パッケージを講じるに当たり、昨年12月~今年1月に厚労省のホームページなどを通じて、人材育成などに関するアイデアを国民から集めました。
その意見・アイデアを同助成金制度に生かしています。

たとえば、民間シンクタンクの男性従業員からは、「オンライン研修の活用による中小企業の効率的な人材開発、教育投資を促進すべき」との提案がありました。定額制オンライン研修は、費用が低額で受講のための移動時間も少なく、職業・職種に合わせた多様なコンテンツがそろっていると指摘しています。また、人材サービス会社の男性従業員からも、「終業後の夜間時間帯で自宅から参加できるオンライン教育訓練が理想的」といった意見がありました。

こうした声を受けて、従来は「対面」を原則としていた受講スタイルを見直し、同助成金に関連するすべての訓練でオンライン研修を対象に加えました。
さらに、労働者が多様な訓練を選択・受講できるよう、オンラインの定額受け放題研修サービスの利用も支援します。

このほか、「企業における学び直しのための休職制度導入を早急に促進すべき」(製造業・男性従業員)との意見を踏まえ、従来は1企業当たり最大2人としていた休暇中の労働者に賃金助成の人数制限を撤廃しました。

企業による教育訓練を活性化し、従業員における自律的・主体的な学びを促進するうえで、実際に受講する立場にある従業員の意見を支援内容に反映させたことは非常に有意義だと思います。
「人への投資促進コース」は令和6年度までの期間限定ですが、同コースの活用により、人材の能力・スキルの底上げが大きく前進することを期待しています。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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