20190628サムネ

反グローバリズムの嵐|迷想日誌

現在、政治・経済・社会が世界的に転換期に差し掛かっているようです。そのキーワードは「反グローバリズム」です。
弊紙はこれまで数十年にわたってグローバリズムの流れを正当として受け止めて紙面制作に取り組んできました。
大手企業の成果主義賃金導入なども大きく言えば、グローバリズムの一面として捉えられます。
企業がグローバル化すれば、アメリカ基準の成果主義を確立しないと対等に戦えない状況となります。

しかし、このグローバリズムが次の時代に適合しているかが問われ始めています。
アメリカのトランプ大統領の出現やイギリスのEU離脱、世界的な反グローバリズム政党(通称・極右政党)の躍進などです。
環境問題などを前面に出し「きれいごと」を主張して民衆に禁欲を強いながら、一方で巨大な富がグローバル企業やヘッジファンドに一極集中するという仕組みがグローバリズムの本質ではないかと考えられ始めました。

移民政策にも色濃く反映しています。
グローバリズムの「総本山」であるドイツをはじめとするEUは、これまで大量に移民を受け入れてきましたが、これによって大きな被害を受けたのが、各国の若者の就職でした。
トランプ大統領が難民の違法入国を阻止しているのも自国のブルーカラーの仕事の防衛と治安維持のためです。

国境障壁を低くしてグローバリズムを追求することが、民衆の富と幸福にとって必要なことと思われてきた状況が変化しつつあるのです。
これは、第二次大戦前の経済のブロック化とは異なります。行き過ぎたグローバル化に対するアンチテーゼです。
同盟などによりパワーバランスが高度に保たれている状況においては、いわゆる「世界大戦」につながることはないでしょう。
そして、日本は依然としてグローバリズムを信奉しています。

相対性理論のアインシュタインは「常識は覆されることがある」と言いました。
長年にわたり常識としてきたグローバリズムも、やはり相対的だったといえるのです。歴史は動きつつあります。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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