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タロットカード解説【21 世界『The World』】

キーワード:この「完成・約束された成功・旅」の終わりは、貴女が望んだ結末でしたか?


【解説】

月桂樹で作られた輪と、中央で踊る女性。四隅には四大元素を象徴する動物たちが取り囲んでいる。
『世界』は大アルカナの最後に当たるカードであることから、最も重要視する研究者も多く、他のカードに比べてもその解釈は研究者ごとに千差万別。「完全」「完璧」等、カードの中で一番大きく、強い意味合いを持つカードにも関わらず、毎回必ずしも良い意味だけで解釈される訳ではない。
当初、『世界』のカードは、『審判』の次のカードだけあって、ユートピアのような街並みや地上に実現した神の国が描かれていた。また、タロットカード作成依頼主である貴族の栄光を讃える為、その貴族が統治している街の様子が描かれることもあった。しかし、17世紀半ばに『世界』のカードのデザインは大きく変化。その後、現在の“中央で踊る女性”のデザインに固定化していく。
まず、17世紀にマルセイユ版『世界』のカードの中央に描かれるようになったのは、“髭を生やした男性”である。この男性は、同時期の文献、『キリストの勝利』で描かれている構図から、キリストであると推測することができる。
とある解釈として、このキリストは男女両性具有であるという。大アルカナ最後の最高位の完全体は、男・女などといった安っぽい価値観では表現できない。男女を統合することで、完全性を示したという。彼、または彼女だったのなら、其々男、または女の所有している片方の局面を欠落してしまうから。また、女性の乳房を持つキリストが描かれたタイルが18世紀には存在しており、キリストの男女両性具有性の表現はそんなに珍しいものではなかったのかもしれない。
もう一つの解釈を話そう。現在の『世界』のカードの“中央で踊る女性”、これは『運命の輪』の運命の女神“フォルトゥーナ”であるという。当初、『運命の輪』を気まぐれに廻していた彼女は、16世紀のガリレオ等の科学革命や社会情勢の影響を受け、『運命の輪』を廻すのではなく、“球体”の上に乗る裸体の女性として描かれるようになる。この“球体”は回転する天体として認識されるようになった「地球」である。絶対的王政や皇帝の在り方に大きな変化が起こった16世紀。とても廻る輪などでは運命の姿が表現出来なくなっていた。どこに行ってしまうか予想もつかない球にのる不安定な運命の女神“フォルトゥーナ”、と言ったところだろうか。実際、“フォルトゥーナ”が一気に美術作品の中で描かれるようになったのは混迷の16世紀。その中でも、“フォルトゥーナ”が船のマストとなり、片手で帆を掲げるデザインが多くみられる。現在の『世界』で踊る女性のケープは、この帆が残ったものではないかという推察も存在する。不自然な片足立ちの足元には、 “フォルトゥーナ”の“球体”があることをイメージすることも出来る。そう、運命の女神“フォルトゥーナ”は『運命の輪』から消えたのではない。『世界』に場所を移したのだ。
では何故、キリストは“フォルトゥーナ”にとって代わられてしまったのか?それは、キリスト教的な完全予定調和の運命は、もうすでに我々には相容れないものになっていたためではないか。神の救済、神の勝利…祈れば、信仰すれは、必ず救われる『世界』ではないこと位、人間はとうの昔の16世紀に気付いている。我々に出来たことと言えば、自分にどうすることも出来ない運命に見放されてしまわないよう、タロットカード最強のカードの真ん中で彼女を躍らせることだった。キリスト教神学者が、16世紀以前の人々が、真偽や善悪を見極めることが出来ない盲目な女神と忌み嫌い、目隠しをさせてまで目の敵にしてきた“フォルトゥーナ”を、だ。
“フォルトゥーナ”に祈った結末は、貴女の願ったエンディングになっただろうか?ハッピーエンドでもバットエンドでも、まだ貴女の人生は続く。今は、今の状態の貴女が願った結末が出ただけの事。万能の神が作った完全予定調和の運命を否定したのなら、何度でも『愚者』からの出発を繰り返せばいい。では、次の出発はいつにしようか?

【正位置/逆位置】

正位置:
成功、完全、完成、目標達成、完遂、諸願成就、ゴール、勝利、制覇、永久不滅、完全攻略、優勝、海外に縁がある、カリスマ性

逆位置:
失敗、未完成、挫折、衰退、乗り気になれない、墜落、低迷、崩壊、途中であきらめる、スランプ、事故にあう、個性がない

【恋愛】

正位置:
上手くいく、理想的な関係性、ひとめぼれ、運命、幸福、周囲からの祝福・応援、意気投合、内面をアピール

逆位置:
途中で終わる、ゴールまで進めない、婚約破棄、中途半端、現実的ではない、それ以上の発展はない

【片想い】

正位置:
意気投合、結婚へと向かう、新しい視点を持つ、長所を強調する、ハッピーエンド

逆位置:
理想が高い、ハッキリしない、すれ違いが多い、冷める、失恋

【相手の気持ち】

正位置:
一緒にいると嬉しい、幸福感、一体感がある、喜び、素晴らしい仲間、味方、協力者

逆位置:
無個性、これ以上の関係を求められない、感謝が無い、トラブル、理想が高すぎる

【仕事】

正位置:
成功、絶好調、脚光を浴びる、海外への転勤に吉、うまくいく、満足、充実感

逆位置:
破産、不成功、うまくいかない、スランプ、やる気がない、同じことの繰り返し、詰めが甘い

【未来】

正位置:
成功、健康、内面・長所を発揮、広い視野で見る、嬉しい結末、願いが叶う

逆位置:
疲労、失敗、スランプ、トラブル、体力不足、中途半端、先送り

*リーディングの際に注意すること*

タロット占いにおいて、各カードの意味をただ暗記するだけの学習法は意味のないものである。上記の解説はあくまでも参考である。由来や意味合いから貴女のインスピレーションを働かせ、お客様に合ったアドバイスを提示していくことが重要になる。

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