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【短編小説集】幻想パントリー

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主に幻想的な短編小説です。 1つが口にあわなくても、別の1つが口に合う可能性があるかもしれません・・・・・・。
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#短編小説

【短編小説】ヴァカンス者

ピルスト
5か月前
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【短編小説】思考キャンセルの術

あれがちょうじん、と耳にして覗いた窓に見えましたのは、全身に羽根をまとった奇天烈な鳥人間…

ピルスト
1年前
5

【短編小説】プラチナのハート

前置き 一秒ごとに腐敗し、すぐれた嗅覚を持つショウジョウバエやその子孫である色白の蛆虫た…

ピルスト
1年前
5

【短編小説】仕事終わりにデモに参加して、ホテルでとなりのトトロの再放送を観て、他…

1 来る夜道、鈴虫の鳴き声がやけに大きく聞こえた。久しぶりに聞いたような気がした。 線路…

ピルスト
1年前
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【短編小説】廃園間近の遊園地でデートしたらいろいろな「エモい」に出会った話

1 母譲りのフリルつきのピンクの洋服とかハンカチ、そういう「かわいらしい」ものが私はぜん…

ピルスト
1年前
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【短編小説】覧古

覧古碧園外楼に登らなければ残櫂を得られない、そんな時代はとうに過ぎ去った。13年前に開発さ…

ピルスト
2年前
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【短編小説】「田中くん、きみは心を見つけたんだね」木陰から佐々木先生が現れた。

 佐々木先生いわく、人間はすべからく正しい道に進むことができるのだという。たとえ一度間違えたとしても、必ず正しい道に戻ってこれるのだと。典拠を示して、とぼくが言うと先生は「そんなものは必要ないわ、心に従えば良いのよ」と意味の通らないことを言った。ぼくは驚いて食べかけのブドウ飴を落としてしまい、足元に蟻が群がってきた。  解剖学の資料をひもといても、どこにも「心」という器官は見つからなかったから、考えられる可能性は二つだけだった。一つは解剖学者たちが見落としてる。もう一つは佐

【短編小説】頭骨駆動のレースにアンフェタミンはいらない

出走までもう時間がない。 ぼくは頭骨駆動の最終チェックに入る。この愛すべき頭骨駆動は4段…

ピルスト
3年前
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【短編小説】グリーンな日【エッセイ】

チャ、チャ、チャ。 おもちゃのではない。生身の人間。年老いているが。 背後の座席で、なぜ…

ピルスト
2年前
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【短編小説】哀れな天使 股ぐら淫れし陰陽相貪り

土踏まずに魚の目ができた。お風呂に入るたびに、ぼくは魚の目と目があって、やむなくあいさつ…

ピルスト
2年前
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【エッセイ】7月は旅行したいなぁ、という小説

 熱海へ行くことを考えている。  奈良の時代、岑参という漢詩人が熱海についての詩を残して…

ピルスト
3年前
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