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鳥居れなの色鉛筆01~10

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シンガーソングライター。静岡県出身、高校時代から多数の音楽番組に出演 (日テレ「歌唱王」テレ朝「音楽チャンプ」テレ東「カラオケバトル」) ライブハウス、YouTube、TikTo… もっと読む
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01.鳥居れな

01.鳥居れな

はじめまして
このノートを開いてくださり
ありがとうございます

名前は 鳥居れな といいます。
人間の形で息を吸ったり吐いたりしています
大きく吸って吐ける時間といえば
音楽をしている時です。

https://youtu.be/uORBYPLP-jw

知ってもらうには言葉で伝えるより
音を聴いてもらうのがよい。

誕生日 1998年3月26日(木)くもり
血液型 A型

すき  ・線の細かい

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02.泥棒

02.泥棒

子供時代に大切にしていたことといえば。

家から子供の足で歩いて15分程のところにある
いつもちょっと薄暗い駄菓子屋。
大津製菓。
お菓子が山のように陳列された夢の空間だ。

おばちゃんは話し方が雑であまり優しくない、
おまけにちょっと太っている。
おじちゃんは滅多にお店には出て来ないから
顔も覚えていない。ただ稀に顔を出す時はいつも
長いコック帽を自慢げにかぶっていたのを覚えている。

大津製菓

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03.よーちゃん

03.よーちゃん

鳥居れなには、ふたつ年上の兄がいる。

本当に鳥居れなの兄なのか?
と疑う程に綺麗で、山のように高い鼻が
シュッとした輪郭の顔の中央にくっついている。
しっかりと。

みんなに(よーちゃん)と呼ばれていた。

兄は小学5年生までは
ふっくらとしていた。
まゆげが濃くて、くせっ毛。

うっすらお髭なんかも生え始めていて、
芋っぽい、という印象だ。

それがある時、突然。
「おれは今日から、お母さんと

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04.最後は自分だけ

04.最後は自分だけ

今でも鮮明にあの恐ろしい情景を覚えている。

5歳当時住んでいた
ガラス戸の玄関の平家で、大人抜き
子供4人だけでお留守番をするという
わくわくな日だった。

子供4人というのも、
私、兄、ご近所に住む兄と同い年の幼なじみ2人
ふうちゃん と たつやくん、だった。

母が出て行き、いよいよ子供達だけの
どこか秘密基地のような冒険気分な空間に。
私たちは6畳の和室に布団を敷いて「かくれんぼ」や「家族

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05.お団子きんちゃんくうちゃん

05.お団子きんちゃんくうちゃん

兄がまだ、髪をツンツンしていなくて
眉毛もぼうぼうとしていた頃
2人でよく泥だんごを作った。

幼少期に住んでいた平家の縁側からは
大家さんの畑が見えていた。

私が覚えている大家さんは
頭の毛が綺麗な真っ白で、
とても姿勢がいいお爺ちゃん。

兄と私が家の裏で遊んでいた時、
大家さんが畑仕事をしに来ていて
「畑に入るな!」と
大きな声で叱られたことがあった。

だが、お天気が良ければ
子供という

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06. カメレオンになるまで

06. カメレオンになるまで

鳥居れなはカメレオンです
ふだん曲を書いたり、歌を歌っています。

私の歌を聴いてくれる方々にはよく、
「曲によって人が変わるよね」と言われる。

本気で音楽の道に進みたいと決心した
高校2年生当時の鳥居れなは、コピー機だった。

その当時はよく
「本家に声似てるよね」と言われた。

コピー機からカメレオンに至るまで。
鳥居れなの歌はただのモノマネだったのだと思う

人生で初めて受けた
テレビ番組

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07.ミモザ

07.ミモザ

平成10年3月26日、木曜日。 天気:くもり
鳥居れなが人間のカタチをして、この世に嬉々として誕生した。
いや、わからない。
うまれた時の涙が嬉しみの涙か、はたして絶望の涙だったか。
どちらにせよ、泣きながらうまれたのだ。

鳥居れなはよく泣く。

感情のメーターを振る針がきっと敏感なのだと思う。

小学校低学年の頃に母親の膝の上で
突然にボロボロと泣き出す演技をしたことがあった。

母に「どうや

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08.ステージ

08.ステージ

noteを書くようになってから
鳥居れなの5歳頃には
大切なものが色々と詰まっていることを知った。

5歳当時は、環境が色々と変化していたようだが
母親はそれでも私と兄に習い事をさせてくれた

英会話教室
親戚が先生をしていたこともあり、通っていた。
記憶に残っているのは、
イラストカードを見て名詞を英語で答えるものと
クリスマスのイベントで、甘い香りのする毛糸のたてがみをつけた馬のぬいぐるみを貰

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09.ナマモノ

09.ナマモノ

何かが生まれようとする瞬間は
いつも突然で、振り回されることもよくある
それは電車の中でも、眠りから覚めた瞬間でも、
熱したフライパンに卵を落とした瞬間にも。

(たまごが、)と思いながらも…

慌ててスマートフォンのメモアプリを開いて
たったいま浮かびあがったばかりの、
まだ輪郭のないぼんやりとしたものを
一生懸命、文字に置き換える。

慌ててスマートフォンのボイスメモを開いて
体の中で鳴ったメ

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10.こめじい。こめばあ。

10.こめじい。こめばあ。

父と一緒に暮らさなくなってからは、
月に1度だけ、
父親と兄と私で会う約束があった。
父が車で迎えに来ると、
まずは抱っこで体重測定。
父は丁寧に毎月違う感想を述べてくれた。

そして今日の旅のお供を
近所にあった駄菓子屋の、
大津製菓へ調達しに行った。
父は大津製菓のことを
「ジャモージさんのところ」と言っていた。
アンパンマンに出てくる
〝ジャムおじさん〟のことを言っていたのだろうけど、
そこ

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