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魅惑の中華、尽きない食欲

中国はグルメの宝庫だ。美味しいものが多すぎる。巨大な国土を持つ中国だ。北方や南方、料理にはそれぞれ異なる特徴がある。新疆やチベットなど、少数民族の料理も美味しい。中華を年中食べても飽きないほど、種類は豊富だ。私を訪ねて北京に遊びにきた母は、旅行中に朝昼晩で1度も同じものを食べなかったと、中華の底なしの魅力にハマっていた。

旨いな麻辣

北京で過ごしていて、一番好きな料理は何だったかと振り返れば、「麻辣香鍋」(マーラーシャンゴー)だろう。健康的、安い、旨いの三拍子が揃った、学生にとって最高の料理だ。

好きな野菜や肉など、自分の好きな材料を好きなだけ選んで調理人に渡すと、その場で中華鍋を使いガガっと炒めてくれる。ただ、それだけなのだが、料理の名前にもあるように、麻辣味が旨い。花椒(ホアジャオ、中華山椒)と唐辛子のブレンドがたまらない。

日本人に敬遠されがちなのは、麻辣味があまりに辛いからだ。特に花椒を間違えてガリッと食べてしまった時には、辛さのあまりに舌ベロが麻痺して味の感覚がわからなくなる。

ミソは注文法

そこで重要なのは、炒めてもらう時に「微微微微辣!」(ウェイウェイウェイウェイラー)と、辛さを抑えてもらうよう念を押すことだ。目の前で炒めてくれるので、その人に直接言えばいい。

通常、辛さを抑えたければ「微辣」(ウェイラー)というのだが、中国人の「辛くない」は当てにならない。彼らにとって辛くないものは大抵、十分すぎるほどに辛い。だから、「微微微微」を連発することで、日本人にとってちょうどよい辛さの「麻辣香鍋」が出来上がる。

そんな「微微微微辣」がいいなら、辛味を一切抜くよ?と調理人に言われることがあるが、ここで引き下がってはいけない。この麻辣味が美味しいのであって、辛くなければただの野菜炒めだ。

このように、作り手によって毎回味が違うので、注文するときはいつもドキドキする。ちょうどいい辛さに仕上がった時は最高だ。食べるとエネルギーが湧いてくるパワーフード。辛すぎるときは、翌日トイレでうづくまる羽目になる。

北部と南部の違い

ざっくり分けて、中国北部の料理は辛く、油っぽい。南部は、甘みが多く、味もマイルドな印象。味の好みは人格にも影響するだろうか。北部の人は粋が良くでエネルギッシュだ。一方の南部の人は、おっとりと優しい人が多い気がする。

例えば、みんな大好き豆浆(ドウジアン)(豆乳)だが、北京などの北部では甘みが一切ないものがよく売られている。一方の南部に行くと、甘みが加えられている。

この他、家庭料理の定番、西红柿鸡蛋(シーホンシージーダン)というトマトと卵炒め料理も、北部では砂糖は使わず塩で味付けをするが、南部では甘い味付けになる。

何でも黒酢

このように北京を含む中国北方の料理は総じて油っぽい。私は中国に行ってから、何でも料理に黒酢を入れる癖がついた。油っぽい料理に黒酢を入れると、味がさっぱりし引き締まる。黒酢は体にも良い。

黒酢は日本やシンガポールでも、1本200円以下で手に入る。自宅にはいつでも黒酢をストックしておき、何かと料理に並々と注いで食べている。今住んでいるシンガポールは、福建省など中国南部から移民してきた華人が多いため、中華といえば南部の料理が多く、黒酢も甘いものが多く流通している。

ただ、私はやはり甘さが一切ない北京の黒酢が一番好きだ。もうこれなしでは生きていけない。



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