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おやじパンクス、恋をする。#203

 だが、雄大が丸二日(厳密に言うと二日と半日)行方不明であること、そしてそのことに対して彼女がひどく動揺していることは事実で、俺はそれをどうにしかしたいと思っている。

「まあ、あいつもガキじゃねえんだからよ、もう少し様子見たらどうだ」

「うーん、まあな、そらそうなんだけどな」

 確かにカズの言うとおりだ。あいつはガキじゃない。

 ……けど、雄大なんだ。

「だいたい、見当もつかねえのに探せねえじゃねえかよ」

 イエスイエス、その通りさ。けど、いてもたってもいられねえっていうかさ。

「バカ、お前までそんな状態になってどうすんだよ。とにかく雄大を探すことより、彼女をサポートすることを考えろよ」

 仕事中で忙しいだろうに、カズは俺を励ますようにそう言ってくれ、そのいちいちもっともな意見に、少し落ち着くことができた。

 礼を言って電話を切ると、俺は涼介タカボンにメールで事情を伝え、何か分かったら知らせてくれと頼んだ。

 それから彼女に電話して、カズが俺に言ってくれたみたいに、少し様子を見よう、あいつもガキじゃねえんだと諭し、だけどできる限りのことはするからよ、俺だけじゃなくみんなもそうさ、みんなが雄大を探してくれる、だから少し落ち着けよ、みたいなことを言った。

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この小説について
千葉市でBARを経営する40代でモヒカン頭の「俺」と、20年来のつきあいであるおっさんパンクバンドのメンバーたちが織りなす、ゆるゆるパンクス小説です。目次はコチラ

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