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おやじパンクス、恋をする。#155

「ミッションって何だよ」

「だから、マサとあたしをくっつけるってミッションよ」

 彼女は笑って言って、ポケットから裸の千円札を出して、おぼつかない手付きで自動販売機に入れると、また缶ビールを買った。

「あんたたちって、子どもみたい」

 彼女はそしてうまそうにビールを飲んだ。ごく、ごく、ごく、ごく。そしてそのアルコールの流れを味わうみたいに目を閉じて、ふう、とため息をつく。

 俺もため息をつく。

「どっちでもいいよ。どうせ、会場はうちの店だろうしよ」

 俺たちはそれから、何をするでもなく街をブラブラ歩いて、服屋に入ってみたり、サ店で一服したり、公園の芝生んとこで寝転がってみたり、よく考えりゃこないだバカにした中学生カップルより健全なおデートだ。

 まあ、酒飲みながらブラついてるわけだから、どこが健全なんだって話だけどさ。

 涼介が皆にばら撒いたんだろう、途中、入れ替わり立ち代り、奴らから「お祝い」の電話が入った。

 タカもボンも、よかったじゃねえか、頑張ってみるもんだなあ、と素直に喜んでくれ、カズも口では「俺にもハーフ顔の女を紹介しろ」とバカなこと言ってたが、嬉しそうだった。

 彼女もリラックスしてるように見えた。芝生の上、サンダルを脱いで裸足になって、冷たくて気持ちいとか言ってはしゃいでた。ババアのくせに、まったく、かわいいじゃねえか。

 まだ日が沈む前、彼女は梶さんを見舞いに行くと言って、立ち上がった。

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LOVE IS [NOT] DEAD. 目次へ

この小説について
千葉市でBARを経営する40代でモヒカン頭の「俺」と、20年来のつきあいであるおっさんパンクバンドのメンバーたちが織りなす、ゆるゆるパンクス小説です。目次はコチラ

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