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思うこと351

 今回は、いつも本選びの参考にさせて頂いている百句鳥さんの読書レビューに載っている本を読んだので、勝手ながら該当の記事も載せておきます。本当に本のチョイスが素敵で、百句鳥さんの読んだ本を全て追い駆けたいとすら思う、そんなお人です(無茶)。いつもありがとうございます。

 というわけで、『七つの空っぽな家』(河出書房新社/2019年)を読んだ。上記のレビューを読んでから「絶対読むぞ!」という意気込みと共に図書館で借りたため、読む前の期待がやたらと大きかったが、その期待を遥かに上回る良い本だった。
 作者のサマンタ・シュウェブリンはアルゼンチン生まれ。この時点で「ヒュ~南米文学ゥ~!」と小躍りしてしまうが、読んでみると母が勝手に人んちに上がり込んでみたり、両親が素っ裸だったり、老女が今にも死にそうだけどひたむきに(?)生きてたり、少女が父にパンツを取られたり、シャワーを浴びたまま外に出て初対面の男と散歩したり…。極めて分かりやすい言葉であらゆる物事が描かれているが、話が進めば進むほどなんかこう「謎」な現実に引っ張りこまれていく。でも支離滅裂ってわけではない。
 読みながら再度「ヒュ~南米文学ゥ~!!」と、どの短編を読むにも大喜びしてしまった。一方でいつにも増して新鮮な気持ちで読めた気がする。おそらく今までマルケスだのコルタサルだのボラーニョだのを漁っていたのに比べれば、作者が1978年生まれとかなり若いことと、女性であることが要因だろう。良い意味で作品の中に「オジサン書きました」感が全くなく(悪口じゃありませんよ!)、娘と母とのどうしようもなく捻れた関係性や、少女の見るつまらない世界とふとした遊び心…、なんだかそんなものに「女性として生きている」感が滲み出ていて、なんか分かるなぁ、とふいに共感さえしてしまうのである。
 そんなわけで次も色々読んでみたい!と思ったはいいものの、翻訳されている本は、あと『口のなかの小鳥たち』(東宜出版/2014)だけのようだ。短編を得意とする彼女が書いた長編『救える距離』という話がもの凄く面白そう。ぜひ読みたい(念)。

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