狛江市長選

【狛江市長選挙2018】前市長がセクハラ辞職!共産「聖地」で与野党対決!【情勢調査を行います】

東京都狛江市の高橋都彦市長がセクハラをめぐる疑惑で辞職する意向を表明しました。高橋氏の辞職に伴う狛江市長選挙では公開による情勢調査を行います。ご賛同いただける方は「サポートをする」ボタンからサポートをお願いします。

昨日5月22日夕方、複数の女性職員へのセクシュアル・ハラスメント疑惑が浮上している東京都狛江市の高橋都彦市長が、辞職の意向を示したことが報道されました。NHKによると、支持者らと相談した上で、6月4日に議会に辞意を伝える意向とのことで、高橋氏の辞職に伴う狛江市長選挙が実施される運びとなりました。公職選挙法には、辞職を通知した日から50日以内に市長選を行うことが規定されており、7月の投開票が有力となります。

以下、狛江市長選挙の過去の選挙結果と想定される構図や争点を整理しています。サポートをいただいた売上は情勢調査の調査費・交通費・印刷費・調査員さんへの手当に利用させていただきます。

市長失踪と共産市政の誕生

狛江と言えば、4期16年に及んだ共産党員の矢野裕前市長による市政です。矢野氏は狛江市議を6期務めたのち、1996年の市長選に出馬を表明。その直後、当時現職だった石井三雄元市長が突如として不出馬を表明し、その後失踪する事件が起こりました。石井氏は韓国のカジノでバカラ賭博を行うなどし、その負債が30億円にも上っており、暴力団関係者から身を逃れるためとその後釈明しています。

石井氏が失踪した後に行われた市長選では、保守系の一本化が不調に終わり、「市政刷新」を訴えた矢野氏が10,238票を獲得して初当選。以後16年にわたる共産市政が誕生します。

矢野氏は議会で多数を占める自民党に歩み寄って自民党の賛成を得ながら予算を通過させていく一方、議会からの問責決議や減俸など、攻防を繰り返しながらの市政運営を余儀なくされています。00年、04年、08年と再選を続けますが、04年の市長選では自民・民主などが推薦する民主党元都議に136票差まで詰め寄られ、薄氷の勝利を経験しています。

16年ぶりの「政権交代」。高橋市政の6年間

2012年の市長選で矢野氏は5選不出馬を表明。長きにわたった矢野氏による共産市政を打倒するため、周囲から懇請されて民主・自民などの相乗りで出馬を表明したのが高橋氏でした。高橋氏は都庁職員や東京都公園協会理事長などを経て、市長選に出馬。16,377票を獲得し、矢野市政の継承を掲げた共産推薦候補を2,822票差で破って初当選を果たしました。

安心・安全のまちづくりを掲げて市政運営に臨んだ高橋氏。16年の市長選でも再選され、任期中には防犯カメラの設置による犯罪発生数の減少など一定の成果を上げますが、一方で人口増加に伴って待機児童が発生するなど、対策が急がれる状況を生み出しています。小田急は今年のダイヤ改正で狛江駅への準急停車を発表。都心へのアクセス利便性が増す中で、人口増が生み出すさまざまな問題には積み残しの部分も多いのが実状です。

高橋氏のセクハラ辞職

そんな中、2018年3月には高橋氏のセクハラ疑惑が浮上しました。市議の請求により公開された市の内部資料には、2014年4月の歓送迎会で「口をつけたコップで何度も飲むことを強要された」「『大きい体してるんだから飲めるだろ』と言われ、非常に不愉快だった」との相談が女性側から市職員課にあったと記されており、黒塗りにされた加害者の部分が市長ではないかと議会から追及を受けます。

高橋氏は否定したものの、「自分が口をつけたコップで酒を勧めることはあるが(中略)家父長的な意識でやっている。強要はしない」といった弁解により、問題はさらに波紋を呼びます。

5月18日に非公開で開かれた臨時会議では、水野穣副市長が「立場を利用して卑劣な行為を行った」と述べ高橋氏に進退を迫ります。事実上ナンバー3の石森準一参与は、高橋氏が初当選した1期目からセクハラを注意してきたと発言。「もう職員は誰もあなたを信用していない」と辞職を求めたといいます。

高橋氏は18日の時点で「信頼は回復できる」、21日の記者会見でも「身に覚えがない」などとしていましたが、22日、4人の女性職員が実名で高橋氏へ抗議文を突きつけると態度を一変、セクハラを認め辞職の意向を固めるに至りました。

市長選は一騎打ちか。野党共闘の成否は?

23日現在、市長選への立候補を表明している人はいませんが、自民党や共産党などが候補者の選定に動き出す段階にあると考えられます。狛江市では2000年以降、5回の市長選で共産系と非共産系による一騎打ちとなっており、今回も一騎打ちの公算が高いと考えられます。

動向が注目されるのが立憲民主党。立憲民主党結党前の2016年の市長選では、民進党都連が高橋氏への推薦を決めたものの、狛江市支部は高橋市政への不満や野党共闘への配慮などにより、自主投票を決めていたとの報道があります。

民進党は前原執行部による希望の党への合流騒動などを経て、地元東京22区の山花郁夫氏は立憲民主党に合流。昨年の総選挙で衆院議員に返り咲いた山花氏は、共産系をバックとする市民団体の集会に頻繁に顔を出すなど野党共闘の進展に余念がなく、「共産系vs非共産系」の構図から立憲民主党が野党共闘を指向し「与野党対決」となるのかに注目が集まります。

終盤を迎えた国会では、森友・加計学園をめぐる疑惑やカジノ実施法案、働き方改革などの重要課題をめぐり与野党の駆け引きが激しくなっています。こうした動きが「非共産系」の不祥事によって施行される狛江市長選にどのように影響してくるのか、動向が注目されます。皆様のサポートをよろしくお願いいたします。

Twitter : る*た / 出口調査の人@rutaq_



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