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どんなリサーチでも気をつけておきたい認知バイアスの話

どんなリサーチも定量であろうと定性であろうと、最終的にまとめる時にはチームメンバー個人の経験から来る「解釈」が存在しています。ですがこの解釈の多くは認知バイアスがついています。これが厄介なのよ。

特に気をつけたいのは「根本的な帰属の誤り」です。平たく言えば、人は個人の行動を評価する時、状況や文脈を軽視して人の性格や資質を重視して判断する傾向があります。

「いやいや、そんなことはない。自分は人を公平に判断しているよ」と思う方に向けて実感してもらうために有名な小話を日本風にしました。登場する男性にどんな印象を持つでしょうか。

金曜日。由紀恵は部下のミスをカバーしたのにも関わらず上司に怒られ、いつもよりイライラしていた。仕事が終わり、渋谷駅から川崎駅へ向かう電車に乗った。

目黒に着いた時、1人の中年男性と小学生ぐらいの子供2人が乗ってきた。おそらく親子であろう。しばらくすると子供が騒ぎ出した。しかし、男性は何もせずぼーっとしている。

由紀恵は仕事でイライラしていた事もあって、いつもなら気にもとめないが今日は違っていた。「親として恥ずかしくないのか」そんな思いが募る。

よく見ると来ているスーツはシワシワで髪もだらしない。顔はうつむき、やつれていかにも死んだ目をしたサラリーマン。きっと仕事もできないのに違いない。結婚指輪をしているがこの男性の様子では結婚生活も子育てもうまく言っているようには見えない。

由紀恵がそう思っている間も子供たちはずっと騒ぎ続けている。周りの乗客も迷惑している顔をしている。

昔から気の強かった由紀恵は思い切って注意することにした。男性の近くに歩み寄り、「ちょっとあなた親として恥ずかしくないんですか?自分の子供がずっと騒いでいて注意もしないで!周りの人も迷惑していますよ!」

すると男性は力なくこう答えた。「あぁ、すみません、妻が先程亡くなりまして子供たちも混乱しているんだと思います。私自身も混乱していますから。すみません、次の駅ですぐ降りますので」

ユーザーインタビューもGoogle Analyticsで見る定量データも、ユーザーテストの際のユーザーの動きもどこか人の性格や資質を元に解釈をしてしませんでしょうか?

僕自身がそうだったと思うし、なんならそこが「強み」なんじゃないかと勘違いしていました。

根本的な帰属の誤り」は認知バイアスの一種であるため脳が無意識下で働いてしまいます。仮説ですが、状況や文脈を完全に理解し、その上で考えることは時間もエネルギーもかかるため、今までの経験から簡単に思いつく人の性格や資質に紐づけてとりあえず、答えだしちゃお!と脳が判断しているのかなと。

回避方法

リサーチ設計の際に、もっとその人が置かれている状況や文脈に目を向ける設計をしておくと吉です。たとえば

・ユーザーがサービスに触れている時はいつなのか?
(幼稚園のお迎えで忙しくしていない?)

・身体的な制限はない?
(料理しながらタイピングできるの?)

・ネットスピードは早いのかな?
(表示速度が遅いから実は離脱しちゃっている?)

状況や文脈の様子が分かるデータを視覚的に大きくした上で解釈するようにするなども良いかもしれません。


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