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「預金60兆円 東京圏が吸引」
(要約)
地方金融の地殻変動が進んでいる。三井住友銀行によると今後30年の間で、約60兆円の家庭の金融資産が東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)へ流入すると見込んでいる。東京圏からの流出を考慮しても38兆円の流入となる見通しだ。地方で親が亡くなった際、その相続が都市部に住む子供へ流出される流れだ。また信金中央金庫によると全国の信金預金残高は24年2月で162兆円、前年比0.1ポイントに伸び悩んでいる。既にJAバンクは前年割が発生しており、高齢化が進む地域での金融機関の先行きが不透明だ。こうした中でメガバンクは預金金利を0.02%へ引き上げ、またポイント還元制や高い金利という武器を持つネット銀行の存在も大きく、楽天銀行は1年間で預金1兆4,700万、口座数も1,400万を超えている。銀行や信金にとって預金はビジネスの元手である。預金が増える時代の終わりは地域金融の地殻変動の導火線となる可能性がある。

(考察)
人口減少・都市集中がもたらす影響は大きい。これは金融業界に限ったことではなく、製造業でも同様にいえる。これまで国内で売りを構築してきた企業が内需減により販売が落ち、新規事業/ターゲットの模索を余儀なくされるが、その元手となるキャッシュが準備できず、大手メーカーに買収される。中小企業の技術が大手に吸引される流れである。人口減少・都市集中は中小企業、特に地域に根差した企業にとっては瀬戸際となる。

「スノーピーク TOB成立」
(要約)
キャンプ用品を手掛けるスノーピークはベインキャピタルとのTOB成立を発表。買付予定数が下限値を上回り、早ければ7月にも上場廃止となる。株式の割合はベインが55%、創業家が45%。経営は、引き続き山井太社長が司る。スノーピークは2015年に東証1部へ上場。新潟に本社を構え、コロナ禍での売上も好調だったが、2023年度はピークが過ぎ売上鈍化。

(考察)
TOB成立報道したスノーピークだが、キャンプ業界にもたらした影響は大きい。キャンプ用品の中でもデザインや機能性など、群を抜いた信頼・ブランド力があった。コロナ禍以降、売上不調の背景にはブーム沈静化だけでなく、低価格ブランドの参入や競合のラインナップ拡充も考えられる。一定以上のキャンプ需要は今後も見込まれる中で、高価格帯のスノーピークの動きはまだまだ気になる。

(メモ)
TOBとはなに?
TOBとは株式公開買付と言い、企業買収の1つの手段である。買収したい企業の株にプレミアム価格を付けて公開し、株主からの売りを図る方法である。例えば、A社買収を企むB社がA社の株(1,000円)を1,300円で買付すると公開する。その公開により株主が株式を売却し、B社が一定の保有率を達する事で経営権を得る事を表す。この方式には2パターンあり、買収される側が合意している場合は友好的TOB、反対している場合は敵対的TOBという。

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