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【2019】 第11節 清水エスパルス戦 レビュー

『今回の試合もたくさんのサポーターが駆けつけてくれて、アップのときからテンションが上がった。本当にありがたかった。そのなかでチームが勝つことができて、初ゴールも決めることができた。』(脇坂泰斗)

アウェイの地で多くのサポーターが駆けつけた中で2009シーズン以来の5連勝を狙っていたフロンターレ。前半の展開としては中々難しいところはあったが、セットプレーから先制点を奪取して流れをこちらのものとし、見事リーグ戦5連勝を飾った。

ただ、『点差ほどのゲームではなかったと思う。』と前置きをしつつ、『我慢しながらしぶとく点を取るなど、チャンスをものにしたからこその結果。』と谷口が振り返るように耐えるべきところを耐えたからこその勝利だった。

次は風間前監督が率いる名古屋との上位対決。上位浮上のためにも必勝と行きたいところだ。

さて、今回のラインナップはこちら。

①『試合に出た選手がやるべきことをやった上で、自分たちのやりたいことをやるというのがうまく回っているのだと思う。』(大島僚太)
『フィニッシュにかかるクオリティが自分たちの強みだと改めて実感できたゲームだった。』(谷口彰悟)
拮抗した状況を打開したセットプレー。そして大島が強調したこと。
②『本当に良い活躍だったと思っています。』(鬼木監督)
脇坂が違いを作ったこの試合。彼がいることによって生まれる違い。

以上の2つです。では。

①『試合に出た選手がやるべきことをやった上で、自分たちのやりたいことをやるというのがうまく回っているのだと思う。』(大島僚太)
『フィニッシュにかかるクオリティが自分たちの強みだと改めて実感できたゲームだった。』(谷口彰悟)
拮抗した状況を打開したセットプレー。そして大島が強調したこと。

小林の先制点、脇坂のプロ初ゴール、大島の芸術ミドル、レアンドロダミアンの豪快バイシクル。様々な要素があるゴールが生まれたこの試合だったが、それはチームが決めきるべきところで決め切ったからこそあのようなゴールが生まれたに違いない。

冒頭で言ったようにこの試合は『点差ほどのゲームではなかった。』(谷口彰悟)。だからこそ、得点を奪わなければ簡単に勝ち点を失っていたかもしれない。

特に前半に関しては、フォーメーションやシステムのところで中々上手くいかないところがあった。

『セットプレーの形で点が取れたことで、少し自分達も余裕が出来ました。』と鬼木監督が言うように、早い時間帯かつセットプレーから先制点をあげられたことは結果的によかった。

ただそれでも押し込まれる”嫌な時間帯”があった。その中でも『選手達がしっかりと耐えてくれたこと』(鬼木監督)はチームにとって大きな収穫となった。

相手はサイドのスピードを使って、前線に配置されているドウグラスや北川の個を強く生かすようなサッカーをしていた。彼らに対して多少自由を与えてしまった場面はあったが、得点などの見える形で仕事をさせなかったのはディフェンスのが奮闘してくれたからだろう。

『相手は前半の失点が少なくて、後半の方が多いというデータはあった。前半は我慢しながらになるかなと思いながらプレーはしていた。』と大島が言うようにチームとして前半から飛ばしていくというような発想はなかったので、その中で失点の部分をどう気をつけるか。

何度かパスミスから相手にカウンターを受ける場面があった。そのカウンターの起因にもなったパスミスはこの試合多かったように感じる。特に守田に関してはいつもに比較すれば多かったように感じる。

ただ、この連戦ということもあって中々コンディションが難しいところもある。そこはミスを少なくしていくしか方法はない。

そういう意味で大島は『自分たちのボールを持つ技術で相手を押し返したというよりは、セットプレーのチャンスで点が取れたからこその流れだった。』と振り返る。そして、『それも一つだと思うが、つなぎ切ってゴールまで行ければなと思う。』と言うように本来の形から流れを一転したかった。

チームにとってセットプレーで得点を奪うというのは今季の補強からしても狙い通りであったが、それに頼っていて今節のような展開であれば中々得点を奪うのが難しくなってしまう。そこは上手く90分の中で組み合わせていかなければならない。

だが、決めきるべきところで決め、そして試合を制す。負傷などによってメンバーが激しく入れ替わっているが、それでもこうして結果が出ているのは『試合に出た選手がやるべきことをやった上で、自分たちのやりたいことをやるというのがうまく回っている』(大島僚太)からである。

チーム全体としての成熟度が増してきているのが結果として現れているのはチームが上に上がっていく上で必要なことだ。

②『本当に良い活躍だったと思っています。』(鬼木監督)脇坂が違いを作ったこの試合。彼がいることによって生まれる違い。

前節、初スタメンを飾り、堂々の2アシストを記録した脇坂だったがこの試合でも彼の存在感は大きかった。

スタートの位置は前節のトップ下ではなく右サイドハーフとしての出場だった。ただ、『右サイドだからということはあまり意識せずにやった結果、ボールも受けることが出来ていた。』と本人が言うように右サイドに張っていたというわけではなかった。

他の選手で言えば家長のように頻繁に中央にボールを受けに行ったり、時にはサイドでの勝負を仕掛けるなどしていたので相手からすれば対応が多少忙しかったはずだ。

脇坂はこの動きに関してかなりの手応えを掴んだようで、『自分が中を取ることで、カズくんが高い位置を取ったり、ユウさんが流れてきたりとか、そういうことが出来ていた。自分が真ん中に入ることが有効的な動きになったと思うし、違うポジションでもやれることは自信になった。』と振り返っていた。

前半30分ごろから4−4−2のフォーメーションを4−2−3−1と普段のベーシックな形に変えたフロンターレだったが、この意図を鬼木監督は次のように明かしている。

『2トップのところの距離、中盤の距離を感じていました。2トップの迫力をもってやり続けたかったのですが、自分達のボールを動かすというところで間に脇坂が入った方が上手くいくだろうなと思って変えました。』

間延びというほどではないが連動してボールを奪いにいくなどのタイミングで中央のエリアを使われてしまっていた。攻撃時に関しても、脇坂がスライドするとはいえ、もう少し厚みが欲しかった。

そこでの判断で小林を右サイドに、脇坂をトップ下に移動。この判断が見事にハマり、鬼木監督が言う『自分達のボールを動かす』というプレーが円滑にできるようになった。

会見で記者が脇坂のことを「潤滑油的な役割」と言っていた。

昨季までいた森谷が潤滑油と言われていたことからも脇坂のプレーは少し森谷と重なるところがあると感じている。

森谷はパスを受けて出す能力に長けていて、かつ伝家の宝刀であるミドルシュートも兼ねそなえる。中盤の狭いエリアでもパスコースに常に顔を出し、時に受けてはワンタッチで叩くなど、チームが少し行き詰まった時に目立つ選手だった。

鬼木監督はこの試合の脇坂の活躍こう振り返る。

『彼のところにボールが入ると、ボールがしっかりと収まりますし、多少相手のプレッシャーを受けて慌てていた部分もありましたけど、それを彼のところでしっかりと吸収してくれて、他の選手達にいい影響を与えてくれていました。』

確実の存在感を出した試合であって、彼がいなければ試合の展開が変わっていたかもしれないほどであった。

中村が怪我ををしてからは本職のトップ下がいないため中々難しい部分はあった。だが、脇坂がこの状況を変えてくれている。

川崎のバンディエラが復帰した時には強烈なポジション争いが待っているが、脇坂ならばその大きな壁ですら越えていけるはずだ。

(RYUJI.I)

参照:

川崎フロンターレ公式HP

DAZN

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