週末読書メモ116. 『百年の孤独』
(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
溢れるような、むせかえるような物語の凄み。そんな読後感のある傑作。
タイトルの印象、そして、読んだ人々からただならぬ感想から、手に取ることを拒むことが出来なかった小説『百年の孤独』。
南米が生んだ19世紀における名小説家、ガルシア・マルケスの代表作。
読後、呆然と、しかしながら、虚無ではない不思議な満足感が残る作品となっています。
この物語は、マコンドという村における開拓者一族、および、その場所の勃興から隆盛、そして混乱から衰退、消滅までの100年の軌跡。
物語の主役となる開拓者一族ブエンディア家の人々。個性溢れるこの一族が共通して抱えているのが、深い孤独。救いようのない孤独・深淵の中で、人々が織りなす濃密な歴史が1冊の中に詰められてます。
我が意を得たりというコメント。『西の魔女が死んだ』で有名な梨木香歩さんの解説の通りで。全く途方に暮れてしまいます笑
470ページある内容のうち、450ページは、ほぼ終始、暗澹とし、混乱に満ちていながら、謎のスピード感と熱量を持って流れていくブエンティア家とマコンドの歴史。どういう感情を向き合って良いか分からない中で、最後の20ページは、ジェットコースターのような怒涛の終焉。
こんな物語は、初めてでした。
シェイクスピアのようなテンポや快活さはなく。
ドストエフスキーのような緻密さと壮大さとも違い。
少し似ているのが、村上春樹さんのような(でも、村上春樹さんの登場人物の方がまだ希望を持っている)。
同じ文豪家であっても、ここまで違うテイストで、けれども、感服せざるを得ない物語があるのかと。
トルストイの作品も、ガルシアと同様にテーマは歴史と人でした。
世間で取り上げられる極一部の英傑達によってではなく、歴史以上に名も無き人々によって、歴史は折り重なっていくことが心に刻むことができるのが『戦争と平和』という名作。
『戦争と平和』を歴史のB面だとしたら、『百年の孤独』はまるでC面のような。B面以上に表には出ない、けれども、確かに存在する人と場の歴史・人間模様が、この本には凝縮しています。
人間は見たいものしか、見えているものしか見えていない、という真理を見せつけられるというか。
目の前のことに向き合うのは大切、未来もつくることも大切。その上で、未来の物語を描くためにも、無知の知を自覚し、外の世界へ踏み込む重要性。
偉大な物語は、未知なる世界への扉になること。それを再確認できるような凄み、深みのある怪作です。
P.S.
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