アルバムが戸棚の奥に 開かれもせず眠る日が どれほど満ちていた事か あの人がくれた些細なメモや 母が名前を入れたノートを 捨てられるようになった日に 私は“こども”…
指先に触れた春 眦で光る夏 歪み、綻びが見えぬよう 嘘と紅を塗り重ね 悩み、喜びが漏れぬよう 染まる頬を塗り潰し 誰が為に咲く花を 私の為と思うこと 皆の物で在る月を…
家間 碧
2024年4月18日 21:21
アルバムが戸棚の奥に開かれもせず眠る日がどれほど満ちていた事かあの人がくれた些細なメモや母が名前を入れたノートを捨てられるようになった日に私は“こども”を辞めました夜を目指して静まる空に月を追いかけ続ける星に液晶の前で溺れる闇に何も成せずに迎える朝に見知った影が西日に揺れる古びたポットを火にかけながら私好みの味を知ってる見知った影が西日を揺らす暗いバルコニーで船
2024年4月17日 23:27
指先に触れた春眦で光る夏歪み、綻びが見えぬよう嘘と紅を塗り重ね悩み、喜びが漏れぬよう染まる頬を塗り潰し誰が為に咲く花を私の為と思うこと皆の物で在る月を私の物と思うこと口先で実る秋面影もなく溶けた冬私の為にした善を君の為と思うこと私の物である罪を彼女の物と思うことこの窓際に散る花を私の命と思うこと夜が明けたら刺す熱を私の明日と思うこと瞬きする間に