妊娠したらそんなにダメですか?

ツイッターを開いたら「妊娠中退」が話題になっていた。

高校生が妊娠した場合、退学を勧められるケースが多く、その後の就業が難しくなり、貧困に陥るケースが多い。
子どものためにも、卒業支援が必要ではないか、という話であった。

ここには
・性教育
・デートDV
・10代の孤独
・貧困の連鎖
・シングルマザーへの支援不足
・妊娠出産にまつわる社会認識
・妊娠出産への社会支援

等様々な問題が含まれるが、私としては「子どもをつくったのは自己責任」「おろせばいい」「そんな奴らを支援する必要はない」という自己責任論が多いことが気になる。

つくづくレールから外れたものを許さない社会だなと思う。

日本人は真面目で、また比較的判断力の高い人が多いから、責任をとれないなら産むな、と考える人が大多数なんだろう。
ある意味まともだ。
でも、経済基盤を持たない状況で妊娠することの是非とは別に、「既に起こってしまったこと」にどう対応するかは支援策を用意しておくべきではないか。
だって妊娠した高校生がそこに居て、その人生は今後も続くのだから。
(避妊だって、100%じゃないしねぇ)

本人が希望するならば、一時休学して復学するなどの道をつくったり、少なくとも子どもを育てることには困らない環境さえあれば、産まれた子どもは将来世のためになる可能性を秘めているのだから、支援を行ったほうが賢いのではないだろうか。

個人的には、子どもを育てるのにお金がかからなければ、どれだけ気が楽になるだろうと思う。
うっかり旦那が死んだり、離婚したりしても、少なくとも子どもを育てるのには困らない社会だったら、どんなにありがたいだろうかと思う。
我が家は共働きだが、それでも時にめちゃくちゃ不安になるくらい、養育費は重い。(もちろん、イメージだけで怖がってる可能性もあるが)

そして、子どもは産むだけでもこんなにも大変だ。
私はまだ産んでないから、正確には妊娠してるだけでも、だが。
さらに言えば、妊娠するまでも大変だ。
私の場合は、子宮筋腫をとって、卵巣嚢腫もとって、それでようやくの妊娠だった。もっと苦労してる人もいる。
若いうちに産んでおけば良かったかなと思ったこともあるが、私の場合はどう振り返ってもそのタイミングはなかった。

でもそのタイミングが早めなのはそんなに悪いことなのか?

私には大学1年生の19歳の時に妊娠結婚した友人がいる。
彼女はちょっと面白くて、出会った時から「大きいお腹で大学に通うのが夢」と言っていた。
マジで有言実行したので驚いたが、賢く、家事能力も高く、出産直前まで一人暮らしをしながら大学へ通い(相手は地元で暮らす社会人で遠距離恋愛だったのだ)、1年出産育児のため休学し、復学した。その後無事卒業し、今は働きながら二児の母をやっている。
もしかしたら、働きながら産休育休をとるより、大学を1年間休学する方がキャリアへの影響が小さく、若さもあるので良いかもしれないと社会人になってから思ったりもした。

大学生と高校生で数年の差しかないのに、こんなにも自由度が違う。
高校だって、一時休学して、復学して卒業すれば、それでいいではないか。

子どもをつくるのは、そんなに悪いことですか、とは、若年層の妊娠だけでなく、社会人の妊娠出産にまつわる話題に触れていても感じる。
先日は、議員さんの妊娠を責める声もあったっけ。
どうしろっちゅうんじゃい。

かつて私は「女であること」が嫌な女だった。
要因は色々あるけど、セックスした時の妊娠のリスク、もその1つだった。
男は最悪逃げられるのに、女は妊娠してしまったら、どういう選択をするにしろそこから逃げることはできない。なんて不公平なんだろうと思っていた。

後に、これは男性を信じない失礼な考えでもあったな、そしてお互い無い物ねだりなんだなと考えを改めるのだが(ある男性に「でも男はどんなに好きな人の子どもが欲しくても、自分では産めないんだよ」と言われはっとしたのだ)、正直、やっぱり女に優しくない世の中だと思う。

小中高とノンストップで通り抜けて、履歴書に穴がなく、働けないと、だめですか。
ちょっと人と違う道を行ったり、脇道にそれたり、うねうね歩き回ったり、そういうの、だめですか。

いろんな経験がある人が集まった方が、面白いものが生まれると思うんですが。

そういう例外を許さない息苦しさは、妊娠出産女性の生き方以外にも様々なところに潜んでいて、最近少しずつ出てきた男性論に触れていても感じる。
個人的には就職活動時に、教員免許とったのに教員にならないの?どうせすぐ会社辞めちゃうんじゃないの?とか散々面接で聞かれた時にも辟易した。
弁護士を目指して法学部に入ったけど企業就職を目指す学生にはなんにも聞かないのに、目標を立てて勉強して教育実習もやったうえで向いてないと判断し方向転換した人間には冷たかったりする。そんなもんである。

けれど、昨今のメディアの内容や、スポーツマン、クリエイター、何かで一流と呼ばれている人の取り上げ方を見ていると、レールから外れるのを許さない社会とレール外から力をつけ活躍する人々への憧れがせめぎあっているようにも感じる。

後者にどんどん舵を切っていけば、幅広い生き方を受け入れる土壌ができれば、もうちょっと気楽に生きられて、楽しくなるんじゃないだろうか。

少なくとも、誰かの人生を簡単に切り捨てるのではなく、ちょっとしたイレギュラーや困難にぶつかっても生きていける世の中になってほしい。
安心して生きていける、可能性が簡単に閉ざされない世の中を願う。

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