Sachiko Tanouchi

アーティストになるために美術史や表現について改めて勉強中。自分の読書忘備録として、また…

Sachiko Tanouchi

アーティストになるために美術史や表現について改めて勉強中。自分の読書忘備録として、また思考の言語化トレーニングとして、読んだ本の感想を書きます。

最近の記事

「日本美術を見る眼」 高階秀爾

海外の美術に関する本をだいぶ続けて読んだので、あらためて日本の美意識について考えたいと思いました。 近くの市立図書館に行くと、日本美術のコーナーは広くあるのですが、 「飛鳥時代の仏像」であるとか「小袖の文様」であるとか、 あるいは「北斎」「岡本太郎」のような個人の作家についてなど、 さすが自国のものは専門性が高く細分化していて、ゴンブリッジのような「これを読めば一通りわかるよ!」というものがあんがい見当たりません。 そんな中で目に留まったのがこの本。 裏表紙にあった「西洋とは

    • 「マルセル・デュシャン」カルヴィン・トムキンズ著

      お正月休み、何かまとまった読書をしたかったので、「なんだかカッコいいと思うけどよく分かっていない」デュシャンを選びました。 便器にサインした作品の人、ってことは知ってます。美術界は、デュシャン以前と以降に分かれるよ、という意見も読んだことがあります。 でも、意外と単純なことがどこにも書いてない。 どんな経緯で、「泉」は美術史上重要な作品になったのか。 「《泉》はデュシャンがアート作品として見せた瞬間から、アートの世界に深い影響を与え、コンセプチュアル・アートとポップアートが

      • 「なぜ脳はアートがわかるのか」(エリック・R・カンデル著)

        ”心”というものが、胸の中に存在するイメージは、昔から広く持たれていました。「リボンの騎士」に描かれていたように、ハートマークがポコっと入っているみたいな。でも実際には胸を開いてもそんな臓器は無いわけで、私たちの感じ方や思考は全て脳がやっているわけです。 最近、研究が進む脳科学から、学ばないでいる理由がありません。 わたしたちは何を美しいと感じるのか。何に感動するのか。そのことがわたしたちの思考にどのような影響を及ぼすのか。 この本には「現代美術史から学ぶ脳科学入門」という

        • 「美術の物語」(エルンスト・H・ゴンブリッジ著)を読んで

          西洋美術の大まかな流れを学ぶなら、必読の1冊!と複数のところで目にしたので、値は張りましたが購入しました。 私の学習の初めの一歩です。 真っ白の地に黒と金のシンプルな装丁、ずっしりとした厚みと重さ、美しいフルカラーの数多の図版、そしてたくさんの文字、文字… う〜本好きにはたまらん!もう持ってるだけでも嬉しい! 本棚の1番いいとこに置いちゃう! 文章も非常に読みやすく、量の割にはすらすら読めます。さすがに「美術に知識のない、若い読者を想定して書いた」だけのことはある。そして

        「日本美術を見る眼」 高階秀爾

          「アートを書く・文化を編む」(上村博・大辻都著)を読んで

          「現代に通用するアーティストになりたい」 私は人生の半ば⁈も過ぎた今になって、初めてこう思いました。 美術系の大学も出たし、創作も細々とは続けていました。でもそれは「作るのが好き」「できたら評価されたい」といった、曖昧な気持ちでやっていたこと。自分の作るものに自分でモヤモヤしたものを感じていたのは、当然かもしれません。 ある日ふと気付きました。SNSに流れてくるさまざまなアート作品を見るにつけ、自分がいいと思ったものが海外の作品が多いこと。名前から、あ、日本の人だ、と思っ

          「アートを書く・文化を編む」(上村博・大辻都著)を読んで