Sachiko Tanouchi

アーティストになるために美術史や表現について改めて勉強中。自分の読書忘備録として、また…

Sachiko Tanouchi

アーティストになるために美術史や表現について改めて勉強中。自分の読書忘備録として、また思考の言語化トレーニングとして、読んだ本の感想を書きます。

記事一覧

「どこからそう思う?」フィリップ・ヤノウィン

「学力をのばす美術鑑賞」というサブタイトルがついています。惹かれますね! 鑑賞するということを考えなければいけないと思いました。作り手でありたいとすれば、同時に…

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「日本美術を見る眼」 高階秀爾

海外の美術に関する本をだいぶ続けて読んだので、あらためて日本の美意識について考えたいと思いました。 近くの市立図書館に行くと、日本美術のコーナーは広くあるのです…

Sachiko Tanouchi
2か月前
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「マルセル・デュシャン」カルヴィン・トムキンズ著

お正月休み、何かまとまった読書をしたかったので、「なんだかカッコいいと思うけどよく分かっていない」デュシャンを選びました。 便器にサインした作品の人、ってことは…

Sachiko Tanouchi
3か月前
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「なぜ脳はアートがわかるのか」(エリック・R・カンデル著)

”心”というものが、胸の中に存在するイメージは、昔から広く持たれていました。「リボンの騎士」に描かれていたように、ハートマークがポコっと入っているみたいな。でも…

Sachiko Tanouchi
3か月前
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「美術の物語」(エルンスト・H・ゴンブリッジ著)を読んで

西洋美術の大まかな流れを学ぶなら、必読の1冊!と複数のところで目にしたので、値は張りましたが購入しました。 私の学習の初めの一歩です。 真っ白の地に黒と金のシンプ…

Sachiko Tanouchi
4か月前
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「アートを書く・文化を編む」(上村博・大辻都著)を読んで

「現代に通用するアーティストになりたい」 私は人生の半ば⁈も過ぎた今になって、初めてこう思いました。 美術系の大学も出たし、創作も細々とは続けていました。でもそ…

Sachiko Tanouchi
5か月前
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「どこからそう思う?」フィリップ・ヤノウィン

「どこからそう思う?」フィリップ・ヤノウィン

「学力をのばす美術鑑賞」というサブタイトルがついています。惹かれますね!
鑑賞するということを考えなければいけないと思いました。作り手でありたいとすれば、同時に自分自身もある程度すぐれた鑑賞者でないといけません。そして鑑賞者にどう訴えるかということを考える。日本のアーティストは、鑑賞者に向けて訴える努力は充分にできているでのしょうか。他の国では何をしているのでしょうか。それを知りたくて手に取った本

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「日本美術を見る眼」 高階秀爾

「日本美術を見る眼」 高階秀爾

海外の美術に関する本をだいぶ続けて読んだので、あらためて日本の美意識について考えたいと思いました。
近くの市立図書館に行くと、日本美術のコーナーは広くあるのですが、
「飛鳥時代の仏像」であるとか「小袖の文様」であるとか、
あるいは「北斎」「岡本太郎」のような個人の作家についてなど、
さすが自国のものは専門性が高く細分化していて、ゴンブリッジのような「これを読めば一通りわかるよ!」というものがあんが

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「マルセル・デュシャン」カルヴィン・トムキンズ著

「マルセル・デュシャン」カルヴィン・トムキンズ著

お正月休み、何かまとまった読書をしたかったので、「なんだかカッコいいと思うけどよく分かっていない」デュシャンを選びました。
便器にサインした作品の人、ってことは知ってます。美術界は、デュシャン以前と以降に分かれるよ、という意見も読んだことがあります。
でも、意外と単純なことがどこにも書いてない。
どんな経緯で、「泉」は美術史上重要な作品になったのか。

「《泉》はデュシャンがアート作品として見せた

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「なぜ脳はアートがわかるのか」(エリック・R・カンデル著)

「なぜ脳はアートがわかるのか」(エリック・R・カンデル著)

”心”というものが、胸の中に存在するイメージは、昔から広く持たれていました。「リボンの騎士」に描かれていたように、ハートマークがポコっと入っているみたいな。でも実際には胸を開いてもそんな臓器は無いわけで、私たちの感じ方や思考は全て脳がやっているわけです。
最近、研究が進む脳科学から、学ばないでいる理由がありません。
わたしたちは何を美しいと感じるのか。何に感動するのか。そのことがわたしたちの思考に

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「美術の物語」(エルンスト・H・ゴンブリッジ著)を読んで

「美術の物語」(エルンスト・H・ゴンブリッジ著)を読んで

西洋美術の大まかな流れを学ぶなら、必読の1冊!と複数のところで目にしたので、値は張りましたが購入しました。
私の学習の初めの一歩です。

真っ白の地に黒と金のシンプルな装丁、ずっしりとした厚みと重さ、美しいフルカラーの数多の図版、そしてたくさんの文字、文字…
う〜本好きにはたまらん!もう持ってるだけでも嬉しい!
本棚の1番いいとこに置いちゃう!

文章も非常に読みやすく、量の割にはすらすら読めます

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「アートを書く・文化を編む」(上村博・大辻都著)を読んで

「アートを書く・文化を編む」(上村博・大辻都著)を読んで

「現代に通用するアーティストになりたい」

私は人生の半ば⁈も過ぎた今になって、初めてこう思いました。
美術系の大学も出たし、創作も細々とは続けていました。でもそれは「作るのが好き」「できたら評価されたい」といった、曖昧な気持ちでやっていたこと。自分の作るものに自分でモヤモヤしたものを感じていたのは、当然かもしれません。

ある日ふと気付きました。SNSに流れてくるさまざまなアート作品を見るにつけ

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