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裁量労働制対象業務拡大と労働政策審議会(厚生労働省)

これからの労働時間制度に関する検討会 報告書

2022年7月15日に「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書を厚生労働省が公表したが、報告書には裁量労働制対象業務の検討などが記載されている。

そして、7月27日に開催された労働政策審議会(労働条件分科会)では「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書について説明され、使用者側委員および労働者側委員が意見を述べている。

その後、第177回(2022年8月30日)、第179回(2022年9月27日)、第181回(2022年10月26日)労働政策審議会(労働条件分科会)では「労働時間制度について」が議題となり議論されたが、現時点(2022年11月3日時点)では、議事録はまだ公開されていない。

*追記:公開された最後(第16回)の「これからの労働時間制度に関する検討会」(2022年7月15日開催)議事録が2022年8月26日に公開されたが、この検討会で堤明純構成員(北里大学医学部教授)は「裁量労働制の適用労働者は非適用労働者に比べて平均的には労働時間は長くはないという結果ではありますが、長時間労働の割合は若干多いという点や、個々の労働者に関しては長時間労働になりやすい、それから専門型では深夜・休日労働も多いといったような事実もありますので、課題にも書かれているようなITを活用した健康確保の在り方や、働き方に対する労働時間の状況の把握、それから労働者自身が健康管理を行っていけるような支援については、できるだけ早く機能するようになることを期待しています」と意見を述べている。

○堤構成員
ありがとうございます。
裁量労働制の適用労働者に対する健康確保に関連して、今回の報告書では、労働安全衛生法の義務内容を踏まえることや、対象者の健康確保の徹底のための措置を充実させるといったこと、それから働き方改革関連法に関連する労働時間状況の把握の仕方を土台とするといったことが盛り込まれたことは大変好ましく、評価をさせていただいています。
一方、裁量労働制の適用労働者は非適用労働者に比べて平均的には労働時間は長くはないという結果ではありますが、長時間労働の割合は若干多いという点や、個々の労働者に関しては長時間労働になりやすい、それから専門型では深夜・休日労働も多いといったような事実もありますので、課題にも書かれているようなITを活用した健康確保の在り方や、働き方に対する労働時間の状況の把握、それから労働者自身が健康管理を行っていけるような支援については、できるだけ早く機能するようになることを期待しています。
また、リスクが発生する場合には、制度的に労働者の不利にならないような形で裁量労働制の適用を一時停止できることにすることについて、うまく機能することを期待したいと思います。
以上です。

第16回 これからの労働時間制度に関する検討会 議事録

労働政策審議会 労働条件分科会 出席者と議題

第176回 労働政策審議会 労働条件分科会 出席者と議題
日時 2022年7月27日10:00~12:00
場所 AP虎ノ門 Aルーム
出席者
<公益代表委員>
荒木委員、安藤委員、川田委員、佐藤(厚)委員、水島委員、両角委員
<労働者代表委員>
梅田委員、北野委員、櫻田委員、東矢委員、冨髙委員、八野委員、世永委員
<使用者代表委員>
 池田委員、鬼村委員、佐久間委員、佐藤(晴)委員、鈴木委員、鳥澤委員、山内委員
<事務局>
鈴木労働基準局長、青山審議官(労働条件政策、賃金担当)、古舘総務課長、松原労働条件政策課長、竹野監督課長、吉村労働関係法課長、田上労働条件確保改善対策室長、岡田過重労働特別対策室長、田邉労働関係法課総括調整官、小川労働関係法課課長補佐、長澤労働条件企画専門官
<オブザーバー>
伊地知復興庁福島国際教育機構準備室参事官補佐
議題
(1)無期転換ルールについて
(2)「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書について(報告事項)
(3)その他

労働政策審議会 労働条件分科会 配布資料

第176回 労働政策審議会 労働条件分科会 配布資料
第176回 労働政策審議会労働条件分科会 資料(厚生労働省サイト)

労働政策審議会 労働条件分科会 議事録<抜粋>

第176回 労働政策審議会 労働条件分科会 議事録<抜粋>
*<>内の委員肩書については労働条件分科会名簿を参考に記載。

・労働条件政策課課長補佐
事務局でございます。資料について御説明させていただきます。
<略>
第2が「これからの労働時間制度に関する基本的な考え方」を整理いただいたものでございます。1つ目でございますけれども、現在の労働時間法制が労使のニーズや社会的要請に適切に対応し得ているのかは、常に検証を行っていくことが必要と指摘いただきました。
その次のポツでございます。労使のニーズに沿った働き方は、これまでに整備されてきた様々な制度の趣旨を正しく理解した上で制度を選択し、運用することで相当程度実現可能であること、まずは各種労働時間制度の趣旨の理解を労使に浸透させる必要があると指摘していただいてございます。
「その上で」ということで、その下のポツでございますけれども、これからの労働時間制度を考える上での視点について3点おまとめいただいてございます。
1つ目が、「どのような労働時間制度を採用するにしても、労働者の健康確保が確実に行われることを土台としていくこと」、2点目が、「労使双方の多様なニーズに応じた働き方を実現できるようにすること」、3点目が、「労使当事者が十分に協議した上で、その企業や職場、職務内容にふさわしい制度を選択、運用できるようにすること」、この3点でございます。
続きまして、第3といたしまして「各労働時間制度の現状と課題」についてまとめていただいてございます。1つ目のポツでございますけれども、働き方改革関連法で導入・改正した時間外・休日労働の上限規制やフレックスタイム制等は、法の附則に設けられた改正の施行5年後の見直し規定に基づき、施行状況等を十分に把握し、検討することが求められるとされてございます。
次が年次有給休暇で、年次有給休暇の取得率向上のための年度当初の取得計画作成の推奨等の一層の取組や、あるいは時間単位での取得について労働者のニーズに応えるような各企業独自の取組の促進の必要性について指摘いただいているものでございます。
次のポツでございますけれども、勤務間インターバル制度につきましては、当面は、引き続き、企業の実情に応じて導入を促進することが必要であること、また、いわゆる「つながらない権利」を参考にして検討を深めていくことが考えられることについて整理いただいているものでございます。
次のページを御覧ください。第4が「裁量労働制について」でございます。こちらにつきましては、適宜本文も御参照いただければと思います。まず、現状認識のところで制度の趣旨についておまとめいただいてございまして、こちら、資料3-2ですと12ページ目でございます。
現状認識とあるところの○のところでございますけれども、「裁量労働制の趣旨は、業務の性質上その遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある業務について、労働時間の状況の把握に基づく労働者の健康確保と、法定労働時間を超える労働について、実労働時間数に比例した割増賃金による処遇以外の能力や成果に応じた処遇を可能としながら、実労働時間規制とは別の規制の下、使用者による実労働時間管理から離れて、業務の遂行手段や時間配分等を労働者の裁量に委ねて労働者が自律的・主体的に働くことができるようにすることにより、労働者自らの知識・技術を活かし創造的な能力を発揮することを実現することにある」という形で趣旨についておまとめいただいてございます。
概要をご覧いただきますと、次に現状と課題とございます。こちらも本文を御参照いただければと思います。13ページ目でございます。2つ目の○でございますけれども、昨年、本分科会でも御報告させていただきました裁量労働制実態調査の結果やそれを用いた回帰分析の結果を整理いただいたものでございます。
ポツのところを御覧いただければと思いますけれども、「裁量労働制適用労働者は概ね、業務の遂行方法、時間配分等について裁量をもって働いており、専門型・企画型ともに約8割が制度の適用に満足している又はやや満足していると回答するなど、裁量労働制が適用されることにも不満は少ない」とされてございます。
その下のポツでございますけれども、「労働者調査による1日の平均実労働時間数は、適用労働者が9:00、非適用労働者が8:39と適用労働者のほうが若干長い」。
その下のポツでございますけれども、「回帰分析によると、労働者の個人属性等を制御した場合には、裁量労働制の適用によって、労働時間が著しく長くなる、睡眠時間が短くなる、処遇が低くなる、健康状態が悪化するといった影響があるとはいえないという結果になった」とされてございます。
また、その下でございます。「専門型では、本人同意が必須ではないが、5割弱の事業場で本人同意が制度の適用要件となっている」とした上で、「回帰分析の結果によると、本人同意のある専門型適用労働者の方が、実労働時間が週60時間以上となる確率が低く、健康状態がよくない・あまりよくないと答える確率も低くなっている」という点について整理いただいてございます。
その下が労使委員会の関係でございますけれども、「回帰分析の結果によると、労使委員会の実効性があると労働者が回答した場合、長時間労働となる確率や健康状態がよくない・あまりよくないと答える確率が低くなっている」としてございます。
また、その下でございます。「回帰分析の結果によると、専門型・企画型双方について業務の遂行方法、時間配分等や出退勤時間の裁量の程度が小さい場合には、長時間労働となる確率や健康状態が悪くなる確率が高くなっており、また、業務量が過大である等の場合には、裁量労働制が適用されていることの満足度も低くなっている」としてございます。
次のポツでございますけれども、「年収が低くなるに従って裁量労働制が適用されていることの満足度が低くなっており、所定労働時間をみなし労働時間に設定している事業場において、特別手当制度を設けていないようなケースもみられる」としてございます。
ここまでが現状と課題でございます。このような制度の趣旨や現状と課題を踏まえ、対応の方向性として4点おまとめいただいてございます。
1点目が「対象業務」、2点目が「労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保」、3点目が「労働者の健康と処遇の確保」、4点目が「労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保でございます。
まず、1つ目の対象業務についてでございます。資料3-2の16ページ目を御覧ください。上から1つ目の○でございますけれども、「裁量労働制の趣旨に沿った制度の活用が進むようにすべきであり、こうした観点から、対象業務についても検討することが求められる」とした上で、その次の○で、「その際、まずは現行制度の下で制度の趣旨に沿った対応が可能か否かを検証の上、可能であれば、企画型や専門型の現行の対象業務の明確化等による対応を検討し、対象業務の範囲については、前述したような経済社会の変化や、それに伴う働き方に対する労使のニーズの変化等も踏まえて、その必要に応じた検討をすることが適当である」と整理いただいてございます。
2点目が「労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保」でございますが、同じく16ページ目の下の○でございます。「労働者が制度等について十分理解し、納得した上で制度が適用されるようにしていくことが重要である」とした上で、「専門型・企画型いずれについても、使用者は、労働者に対し、制度概要等について確実に説明した上で、制度適用に当たっての本人同意を得るようにしていくことが適当である」としてございます。
その次のページでございますけれども、「また、裁量労働制の下で働くことが適切でないと労働者本人が判断した場合には、制度の適用から外れることができるようにすることが重要である」とした上で、「本人同意が撤回されれば制度の適用から外れることを明確化することが適当である」とされてございます。
次に、その2つ下の○、「また」で始まるところでございます。業務に没頭して働き過ぎとなり健康影響が懸念されるような場合などについては、裁量労働制の適用を継続することは適当でないとした上で、「労働者の申出による同意の撤回とは別に、一定の基準に該当した場合には裁量労働制の適用を解除する措置等を講ずるような制度設計を求めていくことが適当である」としてございます。
次に18ページ目でございます。資料3-1の概要では「始業・終業時刻の決定の裁量の必要性の明確化」とあるところでございますけれども、「実態調査結果等を踏まえると、労働者において始業・終業時刻の決定に係る裁量がないことが疑われるケースがみられることから、裁量労働制は始業・終業時刻その他の時間配分の決定を労働者に委ねる制度であることを改めて明確化することが適当である」とされてございます。
ここまでが2つ目のまとめでございまして、3つ目が「労働者の健康と処遇の確保」についてでございます。1つ目が19ページ目の健康・福祉確保措置で、上から4つ目の○でございます。裁量労働制の対象労働者の健康確保を徹底するためには、「他制度との整合性を考慮してメニューを追加することや、複数の措置の適用を求めていくことが適当である」としてございます。
その次がみなし労働時間の設定と処遇の確保で、20ページ目でございます。5番目の○で、「みなし労働時間は、対象業務の内容と、対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度を考慮して適切な水準となるよう設定する必要があること等を明確にすることが適当である」とした上で、「例えば所定労働時間をみなし労働時間とする場合には、制度濫用を防止し、裁量労働制にふさわしい処遇を確保するため、対象労働者に特別の手当を設けたり、対象労働者の基本給を引き上げたりするなどの対応が必要となるものであり、これらについて明確にすることが適当である」とまとめていただいてございます。
4つ目が「労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保」ということで、こちらも本文を御参照いただきますと、21ページ目でございます。最初の○でございますけれども、「裁量労働制の導入時のみならず導入後においても、当該制度が労使が合意した形で運用されているかどうかを労使で確認・検証(モニタリング)し、必要に応じて制度の見直しをすることを通じて、適正な制度運用の確保を継続的に図ることが期待される」とした上で、「使用者は労使協議の当事者に対し、裁量労働制の実施状況や賃金・評価制度の運用実態等を明らかにすることや、労使協議の当事者は当該実態等を参考にしながら協議し、みなし労働時間の設定や処遇の確保について制度の趣旨に沿った運用になっていないと考えられるなどの場合には、これらの事項や対象労働者の範囲、業務量等を見直す必要があることなどを明確にすることが適当である」と整理されています。
ここまでが第4の「裁量労働制について」の概要でございます。
最後に、資料3-1にお戻りいただきまして、第5の「今後の課題」についてでございます。1つ目のポツでございますけれども、働き方改革関連法の施行5年後の施行状況等を踏まえた検討に加えて、経済社会の変化を認識し、将来を見据えた検討を行う必要性について御指摘いただいた上で、その検討に当たっての視点を幾つか御提示いただいてございます。
その下にある4つのポツでございますけれども、1つ目が現行制度を横断的な視点で見直し、労使双方にとってシンプルで分かりやすいものにしていくこと、2つ目がIT技術の活用などによる健康確保の在り方、労働者自身が行う健康管理を支援する方策等について検討すること。その次が、企業が発信した情報をもとに労働者が企業を選択できるようにする観点や、自分の働き方や労働環境が不適切なものになっていないかを労働者自身が確認できるようにするような観点などから、労働時間制度等に関する企業による情報発信を更に進めていくこと、最後でございますけれども、各企業の実情に応じて労働者の意見が適切に反映される形でのコミュニケーションが重要であるため、過半数代表制や労使委員会の在り方についても課題であること、適切な労使協議の場の制度的担保を前提として、労使協議により制度の具体的内容の決定を認める手法も検討課題の一つであるということについて御指摘いただいてございます。
報告書の内容については以上でございますが、最後に参考資料No.6を御覧ください。裁量労働制に関する附帯決議・働き方改革関連法の附則でございます。平成30年に働き方改革関連法案を国会で御審議いただいた際に、衆議院の厚生労働委員会あるいは参議院の厚生労働委員会から、ここに記載されている附帯決議をいただいてございまして、労働政策審議会において裁量労働制について検討することが求められているというのが現状でございます。
事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

・荒木分科会長
<荒木尚志 東京大学大学院法学政治学研究科教授>
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、委員の皆様より御質問、御意見があればお願いいたします。
佐久間委員、お願いいたします。

・佐久間委員
<佐久間一浩 全国中小企業団体中央会事務局次長>
ありがとうございます。
まず、これからの労働時間制度に関する検討会の報告書は、この間の問題点、それから検討材料というのが簡易な形で表記されておりまして、非常に分かりやすい検討会の報告書ではないかなと考えております。
その中で、この検討会の報告書に掲載されている項目、例えば裁量労働とか、非常に重要なテーマが多数あります。これからこういうテーマをどのようなスケジュールで検討していくのか、この分科会でも検討しようとしているのか、雇止めと同じように、項目が結構多くなるとかなりの回数開催していかなければいけないのではないかなと。その辺のスケジュール感を教えていただきたいと思います。
それから、例えば勤務間インターバル制度の関係とか、それから「つながらない権利」というところがあったのですけれども、この勤務間インターバル制度については、過労死等防止対策大綱の目標としても、30人以上の企業で令和7年度までに15%の導入、適用をしていこうと目標があるわけでございます。現状、まだまだ進んでいないため、高い目標だとは思うのですけれども、中小企業の場合ですと、いろんな資料で時間外労働時間は概ね10時間程度になっております。
この勤務間インターバル制度を適用していくには、残業が多いとか超過勤務が多いという中で、まだまだ実施が少ないところもあるかもしれませんけれども、逆に、これも前回申し上げたのですけれども、あまり実態として影響がない事業所もありますので、そういう事業所で、就業規則に盛り込んでいくと、そういった助成措置も用意していただくわけですから、これは率先して普及していくチャンスではないか、とも思います。
それから、「つながらない権利」の関係も、業務時間以外に仕事の関係がメール等で来るのも嫌だなということはあると思うのですけれども、企業側としても各課やチームの一員として行動を求めることと、それから各課やチーム全体に情報を周知していきたいなど、伝えたい情報の種類により異なるのではないか、と考えています。こういう状況がある、ビジネスチャンスとか周辺の環境を教え合う、共有するということも必要だと思うので、そういう情報の内容について、一方的に会社からの情報だけメールを出さないということでなくて、そういう選択というのもあるのではないかなと思ったところでございます。
あと、いろいろな課題がありますけれども、これは先ほどのスケジュール感を教えていただきながら、随時また検討させていただきたいと思っております。
以上でございます。

・労働条件政策課長
事務局でございます。
佐久間委員の御質問についてお答え申し上げます。スケジュール感でございますが、本日、この検討会の報告書を御報告させていただいた段階でございます。本日、委員各位から御意見をいただけるものと考えておりますので、その御意見等を踏まえながら、また分科会長と御相談させていただいて進め方を決めていくということになろうかと思ってございます。現時点で、具体的にいつまでという形で事務局において考えているものではございません。
ただ、先ほど御説明申し上げましたように、国会の附帯決議の中で裁量労働制の検討を本労働政策審議会で求められていることということは念頭に置いて進めてまいりたいと考えておりますし、また、本日御報告申し上げました報告書にもございますように、様々な課題というものがございますので、どのような形で議題を整理して進めていくかということは、また分科会長と御相談させていただきながら考えてまいりたいと思ってございます。
以上でございます。

・鬼村委員
<鬼村洋平 トヨタ自動車(株)人事部労政室長>
御指名ありがとうございます。私のほうからは、1点、裁量労働制の対象業務について意見申し上げさせていただきたいと思います。
参考資料3-3の6ページにもございましたけれども、我が国では生産年齢人口が大幅に減少していくことが確実視されております。今後国力を維持・向上していく上では、働き手一人一人の生産性向上というのは不可欠だろうと考えております。そうした中で、政府のほうでも人への投資の強化に向けて、3年で4,000億円という施策のパッケージなんかも打ち出されていらっしゃると思うのですけれども、こうした生産性向上をやっていこうと思いますといろんな政策を総動員してやっていく必要があるだろうと思います。そうした中には、労働時間法制の見直しというのも当然に入ってくるのだろうと考えております。
手前どもの自動車業界の状況についてこの場を借りて申し上げさせていただきますと、先日も中国のEVのメーカーさんが日本に参入するというような報道もございましたけれども、電動化であるとか自動運転とか、いろんな技術革新等に基づいて大きな環境変化が進んでいると思っています。我々自動車業界も従来の売り切り型のビジネスから事業としても転換していかないといけない、そしてまた技術的にも大きなチャレンジをしていかないといけないと、こんな状況になっていると思います。
これは、すなわち、社内のノウハウを生かしにくくなる状況になると思っていまして、そうしますと、やはり今まで以上に各従業員がそれぞれの自律性を持って能力を発揮していただくということが求められていくのだろうと思っております。
こうした点においては、裁量労働制というのはそうした働き方だとか働く意識への変革を非常に後押ししていただける制度であろうと思っていますので、従来以上にこの裁量労働制を有効活用したいというニーズは業界としても高まっているのだろうと思っています。
他方で、今回、実態調査の結果を見ますと、先ほど御説明もございましたけれども、裁量労働制適用者の約8割は、満足、あるいはやや満足という回答をされている。労働時間のほうを見ますと、適用者のほうが非適用者よりも1日20分程度、少々長いという結果が出たものの、回帰分析の結果によると、健康状態が悪化するといった影響があるとは言えないというようにも出ていたと思います。
こうしたことから、裁量労働制は、きちんと使えば大変有意義な、有効な制度であると思っておりますので、一定の健康管理、健康確保というのは前提としつつも、必要に応じて対象業務を見直して、対象業務を適宜拡大していって、裁量労働制が幅広く活用されるような議論になっていくように考えていますので、引き続きよろしくお願いいたします。
私のほうから以上です。

・鳥澤委員
<鳥澤加津志 (株)泰斗工研代表取締役>
ありがとうございます。このたびは、報告書を取りまとめていただき、誠にありがとうございます。
基本的な考え方に示されたとおり、社会環境の変化が進む中で、労使双方の意識やニーズは大きく変化していることから、多様で柔軟な働き方を進めていくことは非常に重要だと思っています。また、労働者の健康確保を前提とし、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を推進していくことは、生産性向上、人材確保・定着の効果が期待できることから、企業としても高いニーズがあるものと認識しています。
一方で、現在設定されている制度は、様々な目的・要件から多様化・複雑化しており、中小企業からは制度の導入に躊躇する声を多く聞きます。
ですので、今後の課題として、報告書に提示していただいているとおり、「労使双方にとってシンプルで分かりやすいものにしていく」ことをお願いしたいと思います。
また裁量労働制について、一つ一つの業務量が少なかったり、マンパワーが少なかったりする中小企業においては、一人の労働者が複数の業務を行うことが多々ございます。そのため、中小企業でも裁量労働制を運用しやすくなるようにする前提として、健康確保や労使コミュニケーション推進を担保しつつ、現行制度の下で実態把握や検証に努めたうえで、対象業務の拡大について引き続き検討していただきたいと思います。
以上でございます。

・山内委員
<山内一生 (株)日立製作所人事勤労本部エンプロイーリレーション部長>
御指名いただいてありがとうございます。
まず初めに、報告書、膨大な量を取りまとめいただきまして、取りまとめに御尽力いただいた方々に感謝申し上げたいと思います。
私のほうからは、裁量労働制の対象業務の拡大と、あと適正な制度運用、この2点について意見を申し上げたいと思います。
先ほど鬼村委員のほうからもお話が出ましたが、裁量労働制を活用していく必要性について指摘があったと思います。皆さん御承知のとおり、コロナを経験する中で、時間と場所にとらわれない柔軟な働き方を加速する動きが様々な企業で活発になっているかと思います。私どもの電機業界においても、IT業界を含めてグローバル企業との競争は一層激しくなっております。そういう中で、日本においての労働生産性を高めていく、並行して従業員のエンゲージメントも高めていくためには、テレワークの活用や柔軟な勤務制度の導入など、いわゆる勤務の時間と場所の選択肢の拡大について各社とも様々な工夫を進めているところでありまして、裁量労働制の対象業務の拡大については期待する企業が非常に多いのが現状でございます。
いただきました報告書の中には、労使のニーズに沿った働き方は既存制度の適切な運用で相当程度実現可能であると記載いただいております。確かにフレックスタイム制度やテレワーク、ワーケーション制度等の活用で一定程度は実現可能なことはあるかと思います。ただ一方で、フレックスタイム制度は、いただきました参考資料3-2の9ページにあるように、生活と業務の調和を図りながら効率的に働くことを目的とした制度でございます。必ずしも仕事の進め方を働き手の裁量に委ねる業務のみを想定しているものではなく、また、報酬につきましては時間比例の側面があります。
昨今、必ずしも時間と成果が比例しない職務に就く働き手が増えております。これは、先ほど同じように鬼村さんからお話ありました売り切り型のビジネスから、いわゆる課題解決型、提案型のビジネスというのが非常に多くなってきております。いわゆる創意工夫に従事する時間というのが非常に多くなってきておりまして、これも同じく参考資料3-2の12ページにあるように、いわゆる労働者自らの知識や技術を生かし、創造的な能力を発揮することを実現するために、真に時間にとらわれない働き方を可能にするまさに裁量労働制への期待というのは非常に大きいと認識しております。
ただ、報告書に同じように記載があります、少ないながらも本制度に不満を持つ労働者の方々がいるのも事実であります。適切な適用を促すことが重要なのは言うまでもありませんが、正しく運用している企業の活用を一方で阻害するようなことがあると、国力の成長を妨げることにもつながりかねません。ぜひとも同時並行で、対象業務の拡大について検討することを強く要望いたしたいと思います。
あともう一点、制度適用・運用に関して、労使委員会の機能強化について言及されております。労使自治を軸に適正な運用を図っていこうとする方向性についてはそのとおりかと思います。これも参考資料3-3の45ページに労使委員会の実効性に対する認識に関するデータが出ておりますけれども、回答された適用労働者の中に具体的に何をもって実効性がないと回答されたのか、ここら辺が明らかに表現されておりません。
今後議論を進めていく中ではそうした点の分析や実態の深掘り、また好事例の共有などを進めて、実態に即した議論を行っていくことが必要であると感じました。事務局におかれましては、適宜必要な情報の提供をお願いできればと存じます。
以上2点、私からは意見を申し上げました。

・北野委員
<北野眞一 情報産業労働組合連合会書記長>
ありがとうございます。
私からは、報告書において6か月以内に1回行う定期報告に対する負担軽減をはかることが適当とありますが、労使委員会が十分機能していないところや、実質的に裁量がないような働き方をしているところもあります。そのような現状も踏まえますと、定期報告の頻度を減らしていくという方向性については疑問があります。
日常的な労使関係の中で運用状況を把握している事業場であればともかく、制度の運用状況も十分チェックできない事業場、さらには定期報告時しかチェックしないという事業場もあるのではないかと思いますので、そのような事業場において適正な制度の運用が本当に可能なのかということが疑問です。
また、報告書に「企画型が制度として定着してきたことを踏まえ」との記載がありますが、これは現場の労使の尽力によるものだということは重々頭に入れておかなければならないと思っております。
そこで、負担の軽減のほかに、企画型の労使委員会決議や、さらには専門型の労使協定の本社一括届出等の手続の簡素化などについても提言されていますが、労使によるチェック機能の強化を求められているということを踏まえれば、行政によるしっかりとしたモニタリングが不可欠だと思っておりますので、まずはモニタリングを徹底し、安易な規制緩和を行うべきではないと労働者側としては考えております。

・冨髙委員
<冨髙裕子 日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長>
報告の中にもございますように、労働時間制度を考えるに当たりましては、労働者の健康確保が大前提であるということは言うまでもないことだと考えておりますし、これは環境の変化や、働き方の多様化の中でも変わることがないところであると考えています。
実際、労使の働き方のニーズが多様化したり変化する中でも、労使協議等を通じて現行制度を適切に活用することにより、多様な働き方は十分に可能ではないかと考えます。また、働き方改革関連法の施行により、時間外・休日労働の上限規制の着実な施行、職場への定着にしっかり取り組んでいくこと、そして、先ほど佐久間委員からもございましたが、勤務間インターバル制度の普及なども含めて、様々な現行制度の適切な運用を進めることが急務ではないかと考えているところです。
また、裁量労働制に関しましては、先ほど使用者側から様々な御意見がございました。我々も、日常的な労使対話や労使協議を通じて、労使で話し合いながら適切な制度運営に努めているところがあることは把握しております。一方で、裁量労働制実態調査や、我々が聞いている中でも、実質的に裁量がない働き方をしていると思われるような適用労働者がいたり、労使委員会が十分機能していないケースがあったり、また健康・福祉確保措置が相談窓口の設置等、簡単にできるものに偏りが見られるなど様々な課題がございますし、適用労働者の方が長時間労働の割合が高くなっているという実態もございます。
このような実態や課題を踏まえれば、やはりまずは制度趣旨に沿った現行制度の課題を改善すること、また、適切な運用を進めることが重要だと考えております。その観点から考えますと、使用者側から対象業務拡大の意見がありましたけれども、労働側としましては、対象業務拡大の部分も含めて安易に裁量労働制の拡大を図るべきではないと考えています。
以上でございます。

・荒木分科会長
<荒木尚志 東京大学大学院法学政治学研究科教授>
ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
よろしゅうございますか。
本日事務局から説明がありました検討会報告書については、労使ともに一定の評価をいただいたと考えております。次回以降の本分科会では労働時間制度についての検討を進めるということになりますけれども、先ほど事務局から説明がありましたとおり、国会の附帯決議で、裁量労働制については本審議会での検討が求められているということを念頭に置いて進めてまいりたいと考えています。
事務局においては、本日の議論を整理いただくとともに、議論を進めるための論点と必要な資料、この準備をよろしくお願いします。
それでは、この議題については以上とさせていただきまして、また説明者の交代をさせていただきます。<厚生労働省サイトより>

2022年7月27日 第176回 労働政策審議会労働条件分科会 議事録(厚生労働省サイト)

労働政策審議会 労働条件分科会(厚生労働省サイト)

労働政策審議会 労働条件分科会 委員名簿

労働政策審議会は厚生労働大臣の諮問機関であり、委員構成は公労使(こうろうし)同数とされている。公(こう)とは公益側代表(有識者)委員であり、労(ろう)とは労働者側代表委員であり、使(し)とは使用者(経営者)側代表委員となる。

労働政策審議会の分科会の中のでも労働条件分科会は、現在(2022年11月)裁量労働制や高度プロフェッショナル制度などの労働時間制度などの見直しを議論している。裁量労働制などは労使の意見が対立しているため、公益(有識者)委員の発言が重要となる。
厚生労働省が2022年9月27日に公表した「労働政策審議会 労働条件分科会 委員名簿」によると、2022年9月27日現在の労働条件分科会委員は次のとおり。

労働条件分科会 委員名簿<五十音順>
(公益代表)
荒木尚志 東京大学大学院法学政治学研究科教授<分科会長>
安藤至大 日本大学経済学部教授
川田琢之 筑波大学ビジネスサイエンス系教授
黒田祥子 早稲田大学教育・総合科学学術院教授
佐藤厚  法政大学キャリアデザイン学部教授
藤村博之 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授<分科    会長代理>
水島郁子 大阪大学理事・副学長
両角道代 慶應義塾大学法務研究科教授
(労働者代表)
大崎真  全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会中央執行委員
川野英樹 JAM副書記長
北野眞一 情報産業労働組合連合会書記長
櫻田あすか サービス・ツーリズム産業労働組合連合会副会長
東矢孝朗 全日本自動車産業労働組合総連合会副事務局長
冨髙裕子 日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長
八野正一 UAゼンセン会長付
世永正伸 全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長
(使用者代表)
池田祐一 日本通運(株)人財戦略部専任部長
鬼村洋平 トヨタ自動車(株)人事部労政室長
佐久間一浩 全国中小企業団体中央会事務局次長
佐藤晴子 東日本旅客鉄道(株)総合企画本部経営企画部担当課長
鈴木重也 (一社)日本経済団体連合会労働法制本部長
鳥澤加津志 (株)泰斗工研代表取締役
兵藤美希子 (株)大丸松坂屋百貨店人財開発部部長(松坂屋名古屋店担当)
山内一生 (株)日立製作所人事勤労本部エンプロイーリレーション部長

厚生労働省「労働条件分科会 委員名簿」

労働政策審議会 労働条件分科会 委員名簿(PDF)

なお、労働条件分科会長の荒木尚志・東京大学大学院法学政治学研究科教授は裁量労働制や高度プロフェッショナル制度などの見直しを議論した「これからの労働時間制度に関する検討会」(厚生労働省・有識者会議)の座長で「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書もまとめた労働法学者。また、荒木教授は国家公務員の裁量労働制(国家公務員の場合は「最長勤務制」)などを議論している「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」(人事院・有識者会議)の座長も兼務している。

規制改革推進会議 人への投資WG

規制改革推進会議 人への投資ワーキング・グループが2022年10月14日にオンライン会議で開催されたが、議題は「労働時間制度の見直し」「副業・兼業の活用促進」。

厚生労働省が準備した資料1「規制改革実施計画の取組状況について(労働時間制度)」の12頁には労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)労働条件分科会における検討の状況が記載されている。

労働条件分科会における検討の状況
本年7月27日 「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書について報告。
8月30日 「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書を踏まえた議論を開始。
今後も引き続き、労働政策審議会において丁寧に検討を行っていく。

規制改革推進会議 人への投資ワーキング・グループ資料

(参考)労働時間制度に関する検討の論点
1 労働時間制度の課題等について
2 裁量労働制について
• 対象業務
• 労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保
• 労働者の健康と処遇の確保
• 労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保
3 今後の労働時間制度の在り方について

規制改革推進会議 人への投資ワーキング・グループ資料

第1回 人への投資ワーキング・グループ 議事録(PDF)

厚生労働省(青山審議官)
厚生労働省でございます。
では、厚生労働省より本年6月に閣議決定された規制改革実施計画における労働時間制度の見直し、副業・兼業の活用促進について御説明させていただきます。
御紹介いただきました、大臣官房審議官の青山でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
まずは、労働時間制度の見直しについて、資料1に沿って御説明いたします。
2ページに目次がありますけれども、初めに「労働時間制度に関するこれまでの経緯について」、次に2として「『これからの労働時間制度に関する検討会』報告書について」という順で御説明いたします。
3ページを御覧ください。こちらは昨年に規制改革推進会議、当時は「子育て・教育・働き方ワーキング・グループ」でいらっしゃいましたけれども、そちらで御議論されました労働時間制度につきましては、今年6月の規制改革実施計画にて「『これからの労働時間制度に関する検討会』における議論を加速し、令和4年度中に一定の結論を得る。」、また、後ろから3行目ですけれども、「同検討会における結論を踏まえ、裁量労働制を含む労働時間制度の見直しに関し、必要な措置を講ずる」とされておりました。
5ページは、これからの労働時間制度に関する検討会の概要でございます。この検討会は、昨年の7月から16回にわたり裁量労働制を含む労働時間制度全般について御議論いただきまして、今年の7月15日に報告書を取りまとめていただきました。
続きまして、6~7ページはこの検討会の報告書の概要でございますが、まずその構成を御説明いたします。6ページの上の第1が「労働時間制度に関するこれまでの経緯と経済社会の変化」です。第2が「これからの労働時間制度に関する基本的な考え方」、第3が「各労働時間制度の現状と課題」でございます。
7ページに移りまして、第4が「裁量労働制について」、最後に第5として「今後の課題」についてまとめていただいております。
それでは、8ページから11ページまで、報告書の内容について御説明いたします。
8ページは第2の「これからの労働時間制度に関する基本的な考え方」の部分を抜粋しておりますけれども、その説明をいたします。上の1ポツ目にありますとおり、現在の労働時間法制が労使のニーズや社会的要請に適切に対応し得ているのかは、常に検証を行っていくことが必要との御指摘です。
2ポツ目に、労使のニーズに沿った働き方は、これまでに整備されてきた様々な制度の趣旨を正しく理解した上で制度を選択し、運用することで相当程度実現可能になると考えられ、まずは各種労働時間制度の趣旨の理解を労使に浸透させる必要があるとの御指摘でございます。
その上で、これからの労働時間制度を考える上での視点として3点をおまとめいただいています。
1点目が、どのような労働時間制度を採用するにしても、労働者の健康確保が確実に行われることを土台としていくこと。
2点目が、労使双方の多様なニーズに応じた働き方を実現できるようにすること。
3点目が、労使当事者が十分に協議した上で、その企業や職場、職務内容にふさわしい
制度を選択、運用できるようにすることでございます。
続きまして、下の方ですが、各労働時間制度の現状と課題をまとめております。
かいつまんで御説明しますと、9ページの上の方ですが、年次有給休暇につきましては、
1つ目のポツで取得率向上のための年度当初の取得計画作成の推奨などの一層の取組、あるいは2つ目、時間単位での取得について、労働者のニーズに応えるような各企業独自の取組の促進の必要性等についての御指摘をいただいております。
その次がその他になりますけれども、これも1つかいつまんで御説明しますと、一番上にある勤務間インターバル制度については、その施行状況等を十分に把握した上で検討を進めていくことが求められるとされております。
続きまして、その下の方で、裁量労働制について、対応の方向性として4点をおまとめいただいております。
まず、「(1)対象業務」でございます。現行制度の下で制度の趣旨に沿った対応が可能か否かを検証の上、可能であれば、企画型や専門型の現行の対象業務の明確化等による対応を検討し、対象業務の範囲については、経済社会の変化やそれに伴う働き方に対する労使のニーズの変化等を踏まえて、その必要に応じて検討することが適当であるとされております。
続きまして、「(2)労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保」でございます。1つ目のポツに、専門型・企画型のいずれについても、使用者は労働者に対して制度概要等について確実に説明した上で、制度適用に当たっての本人同意を得るようにしていくことが適当である等とされております。
対象労働者の要件につきましては、1ポツ目に企画型の対象労働者の要件の着実な履行確保を図るため、職務経験等の具体的な要件をより明確に定めることが考えられるとされております。下の方の業務量のコントロール等を通じた裁量の確保につきましては、2つ目のポツに始業・終業時刻その他の時間配分の決定を労働者に委ねる制度であることを改めて明確化することが適当である等とされております。
10ページに移りまして、「(3)労働者の健康と処遇の確保」でございます。健康・福祉確保措置につきましては、3つ目のポツになりますが、他制度との整合性を考慮してメニューを追加することや、複数の措置の適用を求めていくことが適当である等とされております。
(4)労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保」でございます。1つ目のポツに、みなし労働時間の設定や処遇の確保について、制度の趣旨に沿った運用になっていないと考えられる等の場合には、これらの事項や対象労働者の範囲、業務量等を見直す必要があること等を明確にすることが適当である等と整理されております。
11ページに「今後の課題等」とありますが、これは労働時間制度全体の課題でございます。
1つ目のポツにありますとおり、多様な人材の労働参加や働き方そのものの変化を受け止める制度として労働時間法制を考えていく際、各制度の対象となると考えられる労働者像を明確にすることが必要とされているほか、2つ目のところに、シンプルで分かりやすい制度にしていくこと等について御指摘をいただいております。
以上が検討会報告書の内容でございました。
最後に、12ページを御覧ください。現在の状況でございますが、今年の7月27日に労働政策審議会労働条件分科会におきまして、先ほど御説明した検討会報告書の報告を行いました。その後、8月30日から、この報告書の内容を踏まえた労使での御議論をいただいている最中でございます。
審議会における主な検討の論点は下に記載している事項でございますので、御参照いただければと思います。
御説明は以上ですが、13ページ以降は参考といたしまして、各労働時間制度の概況や適用割合の状況、裁量労働制に関する附帯決議や制度概要ですので、御参照いただければと思います。
労働時間制度については以上でございます。<略>

菅原委員
御丁寧にコメントいただきまして、どうもありがとうございます。
裁量労働制にしても高度プロフェッショナル制度にしても、実態として使い勝手がよくない、制度が使われてない状況です。様々な事務手続の煩雑性を払拭して簡素化するなどの工夫はしていただいていると思います。
個人的見解ですが、実態をみれば労働基準法の中では求められている裁量的な働き方や高度プロフェッショナルの働き方の制度化に限界があり、例えば労働契約法、民法に近い発想で制度化する等の工夫が必要では。ただ、そうなると、今度は雇用者ではなく業務請負などで整理されるのだと思いますが、雇用者でありながら、個別契約概念を持つ。ジョブ型雇用はまさにそういうものに適しているもなので何か工夫できないか。また、自律した個人は、健康管理に関しては基本自己管理ということを前提に、使用者がきちんと自己管理をサポート、例えばいつでも産業医や心療内科にかかれる等のツールを用意し自ら自由な働き方を望む高度な人材に対する制度設計をした方がよいのではないかと思います。
以上でございます。

第1回 人への投資ワーキング・グループ
議事概要

追記:資料「裁量労働制の対象業務について」

第182回 労働政策審議会 労働条件分科会が2022年11月8日に開催されたが、その資料2-1「裁量労働制の対象業務について」。そこには第179回 労働条件分科会での対象業務に係る委員の主な発言が記載されている。

第179回 労働条件分科会での対象業務に係る委員の主な発言
労働者側委員からの御発言

○裁量労働制が適用されると、通常の労働時間管理を外れ、みなし労働時間制になり、正確な労働時間の把握がさ れない事案が増えるのではないか。対象業務を拡大するようなことになれば、労働時間が正確に管理されない労 働者の数が増えるのではないかということを大いに懸念。長時間労働を助長し、労働時間法制の原初的な使命で ある労働者の健康確保の観点から問題がある事案を増やしかねないと考えられ、裁量労働制の安易な拡大につい ては反対。
○フレックスタイム制など柔軟な働き方を可能とする制度のもとで、業務遂行方法も含めて工夫して取り組んでい るところもあり、裁量労働制を拡大する必要はないのではないか。
使用者側委員からの御発言
○以下の業務を裁量労働制の対象にすべきではないか。
・車両メーカーにおいて、車両開発とITサービスを組み合わせて、車両の使用状況や故障・修繕実績等のデータを一元的に管理する管理システムを開発提案する業務
・システム開発会社において、ITシステム、あるいはハードの製品とITシステムを組み合わせた製品やサービスを、顧客から潜在的ニーズを探りながら、オーダーメイドで提案する業務
・機械メーカーの生産ラインにおける作業改善計画を立案(P)、計画に基づいて改善施策を試行(D)、結果を測定(C)、測定結果を踏まえて改善点を洗い出し、本格実施(A)する業務
・人事部門で働き方改革推進の施策を企画・立案(P)するとともに、経営層や社員に説明の上で施策の実施(D)を行い、経営層や従業員からの意見を踏まえて改善してチェックし(C)、改善を重ねて実行に移す(A)PDCAを回す業務
・金融機関において、顧客に対し、資金調達方法や合併・買収等に関する考案及び助言をする業務

第182回労働条件分科会資料「裁量労働制の対象業務について」

今回の使用者側委員が求める裁量労働制対象業務に(少し具体的な印象もあるが)2015年の改正労働基準法案と2018年の働き方法原案と変わらずPDCAと。なお2015年の改正法案は継続審議に。その改正法案の内容を一部修正し働き方法案が2018年に国会上程。だが、問題が発覚したため裁量労働制の箇所は削除。

2015年の国会に上程された改正労働基準保安の概要(厚生労働省サイトより)

追記:資料「ヒアリングの概要」

2022年11月8日に開催された労働政策審議会(第182回)労働条件分科会には資料2-1「裁量労働制の対象業務について」だけではなく資料2-2「ヒアリング結果の概要」が準備されており、そこには第179回 労働条件分科会(9月27日)において使用者側委員より発言のあった業務のうち精査を必要とする業務について10月に実施した関係団体および企業へのヒアリング結果をまとめたものが記載されてあった。

資料2-2「ヒアリング結果の概要」
Ⅰ.関係団体からのヒアリング概要

・金融機関における、合併、買収等に関する考案及び助言をする業務(いわゆるM&Aアドバイザー業務)も資金調達方法を考案する業務も、従来の労働集約的な業務ではなく、自らの知識・経験を活かした知識集約型の、繁閑に応じて自律的に動くことができる業務であると一般的には考えられる。

・ある程度の期間(場合によっては年単位)が必要な業務であり、その中でチームや個人の役割が決まる。最終的な期限を念頭に、各個人が自身に割り当てられた役割のもと裁量を持って業務を遂行している。

・1つの案件について、2~3名などのチームで行うことが一般的。

・M&Aアドバイザー業務も資金調達方法を考案する業務も、専門部署に所属する場合には、在籍中に他の仕事をすることはないと考えられる。

・勤務時間は、案件の進捗に合わせて対応事項が決まるため、通常の業務と比べ繁閑の差が激しく、案件を担当している間は数か月忙しくなることも想定されるが、案件次第で閑散期もあると認識している。

・現状は、労働時間の対価に賃金を払っていると考えられるが、今後は業務によっては成果に賃金を支払うという流れを加速させていくことも必要と考えられ、労働時間と成果が必ずしも連関するわけではないM&Aアドバイザーのような業務は、そのような業務の1つと考えられる。専門性を有するアドバイザーの経験に基づいた企画立案・遂行などのアウトプットに対して賃金を支払うことがより適する場合もあると考えられる。

・また、資金調達方法を考案する業務も、資金調達のスキームを考案する業務であるため、案件ごとにリスクを把握する等の能力、将来のキャッシュフローに係る分析能力やリスクに応じたスキーム構築等の専門性が必要。

・M&Aアドバイザー業務も資金調達方法を考案する業務も、スキル・専門性や成果に対して賃金を支払うという考え方が検討されるべき業務であると思う。

Ⅱ.企業からのヒアリング概要について
・ M&A アドバイザー業務も資金調達方法を考案する業務も、始業・終業時刻は業務の状況に応じて一定の自由度をもった働き方ができる業務ではある。業務の遂行方法の裁量については、大きな方向性やスケジュールは上司に相談するが、その中で具体的にどのよう
に業務を遂行するかについては裁量を持てる。

・M&A アドバイザー業務は企業価値算定の知識や、法務、会計、税務の知識、各種業界への知見を必要とするところであり、専門性の高い分野である。

・資金調達方法を考案する業務の専門性については資金調達支援業務の種別ごとに異なるが、一般的にはキャッシュフローへの理解、デット・ファイナンスやエクイティ・ファイナンスへの知識、各業界への知見や会計の知識等が必要。

・評価においては成果が重視されており、案件獲得数や提案の内容、収益への寄与等に対する達成状況で評価されている。

・業務には繁閑の差があるが、それほど長時間の時間外労働は発生していない。

・資金調達方法を考案する業務に配属されるために特段必要な資格はないが、配属後、証券アナリストは取得するよう強く推奨している。また、アセット・ファイナンスに関しては宅建等の不動産関係の資格を取得することを推奨している。

第182 回労働条件分科会資料「ヒアリングの概要」

追記:第183回 労働政策審議会 労働条件分科会

第183回 労働政策審議会 労働条件分科会が2022年11月29日に開催されたが、議題は(1)「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部を改正する件案要綱」について(諮問)、(2)労働時間制度について、(3)その他。

毎日新聞(デジタル版)は「厚生労働省で、裁量労働制の対象拡大に向けた議論が大詰めを迎えている。29日に開かれた厚労相の諮問機関、労働政策審議会の分科会では、経団連が対象の拡大を求める一方、長時間労働につながりかねないと連合は反発している。2018年に成立した働き方改革関連法では、厚労省側のミスで裁量労働制の拡大が法案から削除された経緯がある。厚労省は年内にも結論を出したい考えだ」(毎日新聞デジタル版『裁量労働制、「対象拡大」議論が大詰め 連合は反発、経団連は悲願」2022年11月29日配信)と報じた。

また、毎日新聞(デジタル版)は「企画型(裁量労働制)を拡大するには法改正が必要となるが、専門型(裁量労働制)ならば省令改正で対応できるという。こうした点も念頭に、厚労省幹部は『与野党の議論が紛糾する国会会期中は避け、来年の通常国会が始まる前の年内には一定の結論を出したい』とする」(毎日新聞デジタル版『裁量労働制、「対象拡大」議論が大詰め 連合は反発、経団連は悲願」2022年11月29日配信)とも報じている。

裁量労働制は、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ労使で決めた時間を労働時間とみなす制度。労働者の裁量で働く時間を管理できる。弁護士や証券アナリストなど19業種を明示した「専門型」と、事業の内容を例示した「企画型」の2種類がある。厚労省の21年度調査によると、導入する企業の割合は専門型2・0%、企画型は0・4%にとどまる。

29日の分科会では、経済界選出の委員が「労働時間と成果が必ずしも比例しない業務に適した仕組み。能力発揮の有力なツールになる」と拡大を求めた。しかし、労働団体側の委員は「適用された労働者は長時間労働の割合が高く、健康確保の観点から問題がある」と反論する。

経団連は企画型の対象拡大を重視する。具体的には、システム開発会社でのITシステムなどの開発提案や、人事部門での働き方改革の企画や改善、金融機関での企業の合併・買収方法などの顧客への助言などの業務だ。

もともと企画型の対象拡大は、18年成立の働き方改革関連法で一部の営業職で実現するはずだった。ところが、法案の根拠となった厚労省の調査データに多数のミスが見つかり、法案から削除された。かねて裁量労働制の拡大を求めてきた経団連にとっては悲願ともいえる。

企画型を拡大するには法改正が必要となるが、専門型ならば省令改正で対応できるという。こうした点も念頭に、厚労省幹部は「与野党の議論が紛糾する国会会期中は避け、来年の通常国会が始まる前の年内には一定の結論を出したい」とする。【奥山はるな、石田奈津子】

毎日新聞デジタル版『裁量労働制、「対象拡大」議論が大詰め 連合は反発、経団連は悲願」

*経団連などが裁量労働制(企画型)の適用を求める五つの業務例

毎日新聞デジタル版『裁量労働制、「対象拡大」議論が大詰め 連合は反発、経団連は悲願」

追記:第184回 労働政策審議会 労働条件分科会

第184回 労働政策審議会 労働条件分科会が2022年12月6日に開催されたが、議題は(1)労働時間制度について、(2)解雇無効時の金銭救済制度について。

資料1(労働時間制度に係るこれまでの労使の主な御意見)の1ページには最慮労働制対象業務拡大に関する論点と労働側意見と使用側意見が記載されている。

裁量労働制について
(1)対象業務
検討の論点

まずは現行制度の下で制度の趣旨に沿った対応が可能か否かを検証の上、可能であれば、企画型や専門型の現行の対象業務の明確化等による対応を検討し、対象業務の範囲については、経済社会の変化や、それに伴う働き方に対する労使のニーズの変化等も踏まえて、その必要に応じて検討することが適当ではないか。

労働者側委員からの御発言
・裁量労働制が適用されると、通常の労働時間管理を外れ、みなし労働時間制になり、正確な労働時間の把握がされない事案が増えるのではないか。仮に対象業務を拡大するようなことになれば、労働時間が正確に管理されない労働者の数が増えることを大いに懸念。長時間労働を助長し、労働時間法制の原初的な使命である労働者の健康確保の観点から問題がある事案を増やしかねないため、裁量労働制の安易な拡大については反対。
・フレックスタイム制でも業務の遂行方法も含めて工夫して取り組んでいるところもあり、裁量労働制を適用する必要はないのではないか。
・現状、様々な不適切な運用が見られるため、まずはここをしっかりと改善すべきではないか。裁量労働制の本旨を逸脱したような不適切な運用改善を徹底し、実効性を高めていくことが先決であり、安易な拡大は反対。
・「労働時間と成果が比例しない」ことは対象業務拡大の理由として適切ではないのではないか。

使用者側委員からの御発言
・昨今、課題解決型・提案型のビジネスなど、必ずしも時間と成果が比例しない職務が増えてきた。真に時間にとらわれない働き方を可能とする裁量労働制が広く活用されることを期待している。一方、少ないながらも裁量労働制の適用に不満を持つ方がいることも事実であり、適正な運用を図りつつ、対象業務の拡大を検討する必要があるのではないか。
○フレックスタイム制では報酬が成果ではなく労働時間の実績に応じて支払われる一方で、裁量労働制は成果を重視した制度で成果主義
的な処遇と親和的な仕組みであるため、裁量労働制の対象業務の拡大とフレックスタイム制の活用は切り離して議論する必要があるの
ではないか。
・平成29年に本分科会で示された働き方改革関連法案要綱において企画型の対象業務へ追加することとされていた「課題解決型開発提案業務」と「裁量的にPDCAを回す業務」の必要性はむしろ高まっており、裁量労働制の対象にすべきではないか。
・「金融機関において、顧客に対し、資金調達方法や合併・買収等に関する考案及び助言をする業務」は、専門性が極めて高く、労働時間と成果が比例しない性質のものであることから、まさに裁量労働制の対象にふさわしいのではないか。また、当該業務については、顧客等との調整を主に行うフロント部署が拾ったニーズに対して専門性を発揮して提案内容を考案する業務であり、顧客都合により裁量が持てないということはない。また、チームで仕事をすることがあるものの、各担当者が上司の具体的な指示の下に業務遂行するものではなく、それぞれの専門性を発揮して個別に担当業務に当たっている。

第184回 労働政策審議会 労働条件分科会
資料1(労働時間制度に係るこれまでの労使の主な御意見)

資料1「労働時間制度に係るこれまでの労使の主な御意見」(PDF)

追記:第185回 労働政策審議会 労働条件分科会

第185回 労働政策審議会 労働条件分科会が2022年12月13日に開催。議題は(1)労働契約制度及び労働時間制度等について、(2)担保法制の見直し(事業(成長)担保制度の導入等)について(報告事項)。

なお、参考資料1は「金融機関における一定の業務の内容等について」

金融機関における一定の業務の内容等について
第183回労働条件分科会(令和4年11月29日)における使用者側委員の御発言概要(抄)

○金融機関の一定業務のうち、合併・買収、事業承継の考案及び助言を行う業務、これは顧客企業等の調査分析を行い、買収先、後継者の選定、経営統合後あるいは承継後の体制整備に関する戦略づくり、それから、取引や資金調達のスキーム構築等についての提案、その実現に向けた業務であります。
○資金調達方法に関わる考案及び助言の業務、これは典型的なものから非常に難易度の高いもの、幅広くございます。ただ、私どもが想定をしておりますのは、企業の財務指標から企業の信用をベースに貸付を行うといったような類いのものを想定しているわけではございません。将来キャッシュフロー予測の結果を踏まえて計画、実行するような高度な資金調達方法であり、いわゆるプロジェクトファイナンスと呼ばれるものが代表例でございます。
○プロジェクトファイナンスの場合には、プロジェクト自体から生まれる将来キャッシュフロー、それから、中長期的にわたるリスクを正確に予測する高い専門性が求められます。また、その専門性に関しては、常に変化をする市場環境、それから、事業性評価、さらに新たに人権とか環境といった新しいリスクにも対応する必要性があり、陳腐化することも考えられません。

第184回労働条件分科会(令和4年12月6日)における使用者側委員の御発言概要(抄)
○金融機関については、銀行と証券会社を想定しており、また、対象労働者については資金調達方法や合併・買収等に関する考案及び助言に直接関わる者のみを対象とすることを要望しております。
○M&A等の案件を進める上で、工程によっては顧客都合に左右されるケースもありますが、案件全体を通して見ると、働き手が自身の裁量をもって働いています。M&Aを例にとると、M&A戦略づくりや取引スキームを考案する工程や、交渉がまとまったあとに売り手企業のデューデリジェンスを行う工程等では基本的に裁量をもって働いているとも聞いています。
○M&Aによる事業収益への影響やプロジェクトの将来キャッシュフローの正確な予測など、上司でさえ答えをもたないものが多くあり、まさに業務の性質上、適切に遂行するには遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要のある業務です。

第185回労働条件分科会 参考資料1「金融機関における一定の業務の内容等について」

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