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裁量労働制など労働時間制度を議題に労働政策審議会分科会開催(厚生労働省)

厚生労働大臣諮問機関の労働政策審議会(労政審)労働条件分科会(第177回)が本日(2022年8月30日)開催。議題は「無期転換ルールについて」「労働時間制度について」。

第177回 労働政策審議会 労働条件分科会 資料

本日(2022年8月30日)公開された資料の一つに「労働時間制度に関する検討の論点(案)」があるが、そこには次のように記載されている。

労働時間制度に関する検討の論点(案)
1 労働時間制度の課題等について
2 裁量労働制について
・対象業務
・労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保
・労働者の健康と処遇の確保
・労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保
3 今後の労働時間制度の在り方について

これからの労働時間制度に関する検討会 報告書

労働時間制度について厚生労働省有識者会議「これからの労働時間制度に関する検討会」で議論されてきたが、今年7月15日に厚生労働省は「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書を公表している。この報告書については前回の労働政策審議会(労政審)労働条件分科会で報告されている。

これからの労働時間制度に関する検討会 報告書(PDF)

これからの労働時間制度に関する検討会 報告書(概要)(PDF)

追記:経団連労働法規委員会で厚労省審議官講演

経団連(日本経済団体連合会)は2022年7月26日、労働法規委員会をオンライン開催し、厚生労働省の小林洋司厚生労働審議官が「労働行政の動向」と題して講演。その後、小林審議官と経団連委員との間で意見交換。

意見交換では「多数の委員から、自律的な働き方を推進する観点から、裁量労働制の対象業務を拡大すべきとの意見が出された。これに対し、小林氏は、『期待が大きいことを十分承った。労使双方にとって意味のあるものとなるよう、建設的な議論を進めていきたい』と応じた」とのこと。

追記:第179回 労働政策審議会 労働条件分科会

厚生労働大臣諮問機関の労働政策審議会(労政審)労働条件分科会(第179回)が本日(2022年9月27日)開催。議題は「労働時間制度について」「労働契約関係の明確化等について」。

第178回 労働条件分科会が2022年9月13日に開催されたが、議題が「資金移動業者の口座への賃金支払について」「労働基準法等に基づく届出等に係る電子申請の状況について」だったので、「労働時間制度について」が議題となるのは8月30日に開催された第179回 労働条件分科会以来のことになる。

なお、配布資料によると、第179回 労働条件分科会では裁量労働制の「対象業務」と「労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保」といった論点が議論された。

労働時間制度に関する検討の論点(第179回 労働条件分科会 資料)
1 労働時間制度の課題等について
2 裁量労働制について
• 対象業務
• 労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保

• 労働者の健康と処遇の確保
• 労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保
3 今後の労働時間制度の在り方について

裁量労働制について
対象業務

まずは現行制度の下で制度の趣旨に沿った対応が可能か否かを検証の上、可能であれば、企画型や専門型の現行の対象業務の明確化等による対応を検討し、対象業務の範囲については、経済社会の変化や、それに伴う働き方に対する労使のニーズの変化等も踏まえて、その必要に応じて検討することが適当ではないか。

労働者が理解・納得 し た上での制度の適用と裁量の確保
対象労働者の要件
• 企画型の対象労働者の要件の着実な履行確保を図るため、職務経験等の具体的な要件をより明確に定めることが考えられるのではないか。
• 専門型でも、裁量労働制の下で働くにふさわしい労働者に制度が適用されるようにする観点から、そのような労働者の属性について、必要に応じ、労使で十分協議・決定することが求められるのではないか。
• 賃金・評価制度の運用実態等を労使協議の当事者に提示することを使用者に求める等、対象労働者を定めるに当たっての適切な協議を促すことが適当ではないか。
本人同意・同意の撤回・適用解除
• 専門型・ 企画型いずれについても、使用者は、労働者に対し、制度概要等について確実に説明した上で、制度適用に当たっての本人同意を得るようにしていくことが適当ではないか。
• 本人同意が撤回されれば制度の適用から外れることを明確化することが適当ではないか。
• 労働者の申出による同意の撤回とは別に、一定の基準に該当した場合には裁量労働制の適用を解除する措置等を講ずるような制度設計を求めていくことが適当ではないか。
業務量のコントロール等を通じた裁量の確保
• 裁量が事実上失われたと判断される場合には、裁量労働制を適用することはできないことを明確化するとともに、そのような働かせ方とならないよう、労使が裁量労働制の導入時点のみならず、制度の導入後もその運用実態を適切にチェックしていくことを求めていくことが適当ではないか。
• 裁量労働制は、始業・終業時刻その他の時間配分の決定を労働者に委ねる制度であることを改めて明確化することが適当ではないか。

9月27日に開催された第179回 労働条件分科会の資料「労働時間制度に関する検討の論点」には「まずは(裁量労働制度)現行制度の下で制度の趣旨に沿った対応が可能か否かを検証の上、可能であれば、企画型や専門型の現行の対象業務の明確化等による対応を検討し(裁量労働制度)対象業務の範囲については、経済社会の変化や、それに伴う働き方に対する労使のニーズの変化等も踏まえて、その必要に応じて検討することが適当」とあるが、7月15日に公表された「これからの労働時間制度に関する検討会 報告書」には「まずは(裁量労働制度)現行制度の下で制度の趣旨に沿った対応が可能か否かを検証の上、可能であれば、企画型や専門型の現行の対象業務の明確化等による対応を検討し、(裁量労働制度)対象業務の範囲については、前述したような経済社会の変化や、それに伴う働き方に対する労使のニーズの変化等も踏まえて、その必要に応じて検討することが適当」と記載されていた。つまり、これからの労働時間制度に関する検討会 報告書にあった「前述したような」との記述は第179回 労働条件分科会資料 労働時間制度に関する検討の論点では削除されたが、それ以外については一字一句変わらない内容になっていた。

これからの労働時間制度に関する検討会 報告書(本文)
第4 裁量労働制について
2 具体的な対応の方向性
(1)対象業務
○ 現行では、専門型については法令で限定列挙された業務から労使協定で、また、企画型については「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」から労使委員会決議で、それぞれ対象業務の範囲を定めることとされている。裁量労働制の趣旨に沿った運用とするためには、労使が制度の趣旨を正しく理解し、職場のどの業務に制度を適用するか、労使で十分協議した上でその範囲を定めることが必要である。
○ 対象業務の範囲については、労働者が自律的・主体的に働けるようにする選択肢を広げる観点からその拡大を求める声や、長時間労働による健康への懸念等から拡大を行わないよう求める声がある。事業活動の中枢で働いているホワイトカラー労働者の業務の複合化等に対応するとともに、対象労働者の健康と能力や成果に応じた処遇の確保を図り、業務の遂行手段や時間配分等を労働者の裁量に委ねて労働者が自律的・主体的に働くことができるようにするという裁量労働制の趣旨に沿った制度の活用が進むようにすべきであり、こうした観点から、対象業務についても検討することが求められる。
○ その際、まずは現行制度の下で制度の趣旨に沿った対応が可能か否かを検証の上、可能であれば、企画型や専門型の現行の対象業務の明確化等による対応を検討し、対象業務の範囲については、前述したような経済社会の変化や、それに伴う働き方に対する労使のニーズの変化等も踏まえて、その必要に応じて検討することが適当である。

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