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ライフとワークに関する徒然ノート

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働く女性研究者が妊娠・出産・子育てと仕事について考えていることを書いています。
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#子育て

さよならができなくて

さよならができなくて

去年の11月の終わり、会議でバンコクに行った時、キラびらかなホテルが並ぶスクンビットの歩道橋で路上生活をしている母と子供を何組も見た。

20歳前後でバックパッカーをしていたときの私は、そういう母子にお金を渡すとき、心のどこかで「子どもにあげるんだよ。子どもに美味しいものを食べさせてあげるんだよ」と思っていた。

でも子どもを2人持つ母親になった38歳の私は、そのお金でお母さんが何か美味しいものを

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子どもたちと過ごす時間について

子どもたちと過ごす時間について

4月にはいまさら?という雰囲気のなか通っている保育園を中心に地区レベルで流行りまくっていたインフルエンザにかかり、クラスの半分以上が感染した上の子がまず発熱し、先日2歳になったばかりの次男が続いて発熱した。ここ半年くらい、風邪以外で大きな病気をせずに保育園に通えていたので、平日5日間休み+前後土日4日間の計9日間を、手強い2歳&3歳の年子と過ごす事になった。子どもたちは、熱が出ても元気で、マイペー

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same same but different

same same but different

上の子は2月で3歳に、下の子は3月で2歳になる。二人とも早生まれで、同じ両親の元に生まれて来ているが(だからなんだというかんじだが、血液型も同じである)、性質も発達も外見も、全くちがう。

下の子は先天性の心臓血管の異常を持って生まれ、6ヶ月のときに手術をした。喘息予備軍と言われ、風邪を引くとすぐぜこぜこした呼吸をして、ひどくなると病院に行き、吸入、レントゲン、点滴をされる。でもそれ以外は、本当に

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過ぎていく時について

過ぎていく時について

大正の最後の年に生まれたおじいちゃんは、横須賀の南の方の家に一人で住んでいる。

お正月、長女の旦那(義理の息子)であるところのうちの父が行くと、棚の奥から古い、重いお酒を2本出して来て、「俺はもう長くないし、これお前が持って帰れ」と言った。たぶんもう十年以上もそこにあったやつだ。

父はそれを皆が集まる叔母宅に持ち帰った。それは誰かから貰ったもので、古く、重く、父もそこにいた誰もが飲まないタイプ

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ワークライフバランスについて語るって、すごく難しいね?っていう話

ワークライフバランスについて語るって、すごく難しいね?っていう話

学内のダイバーシティ推進部署が開催するワークライフバランスに関するランチ会に参加して思ったことは、この手のことに関して、異なった関心と立場の人間が比較的大勢(10−20人)で話すことの難しさと虚しさだった。

難しさの一つの理由は、そもそも「ライフ」自体が高度に個人的で、それゆえ一過性のイベントではお互いに理解し合えない程度に多様であるということ。

個人の体験談ベースの話題提供では、「体験談ー共

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