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執筆実績:中小企業の人材不足が深刻化! 原因と対策を考える

日本社会が人口減少時代に突入したといわれており、人手不足の状態に陥っている業界も出てきており、以前にも増して深刻な状況となっております。
特に中小企業の人手不足や、求人を行っても人が集まらない、集まった中に採用したいというようないい人材がいないといった人材不足はこれまでにないような事態となっています。
しかし、そうなってしまうような状況には必ず原因があります。
過去からの延長線上に現在があり、過去の失敗から現在を見直し、未来を明るいものに変えていくことができます。
中小企業の人材不足の原因と対策について考えていきたいと思います。

中小企業の数は年々減少している

中小企業の人材不足を考える前に、中小企業が置かれている状況について確認してみましょう。
まず、中小企業の数自体が年々減少しているというところに注目できます。総務省の統計によると、1999年には約480万あった中小企業が、2014年には380万になっており、約15年の間に100万社の中小企業がなくなっていることがわかります。
これは合併や経営者高齢化などによる廃業など様々な要因によるもので、中小企業の置かれている状況は厳しいものであるということができる数字です。
これに加えて、地方を中心とした少子高齢化による労働人口の減少が、この状況に追い打ちをかけます。
地方出身の子供が大学進学などで上京すると地方へ戻ってこないという状況が続いており、地方からの人口流出なども大きな原因です。
こうした状況から、地方の中小企業では、求人をかけてもいい人材が集まらない人材不足に陥り、仕事を回せなくなる等の事態に陥ってしまっているものと考えられます。

人材不足を嘆く前に、中小企業にはどのような魅力があるのか?

確かに統計上も中小企業の置かれている状況は厳しいものであることはわかりますが、中小企業の経営者の皆様は、自社が従業員にとってどのような魅力があるのか説明ができますでしょうか?
労働者の側にも、入社する会社を選ぶ権利があります。それと同時にどこに住むのかを選ぶ権利があります。
中小企業に人が集まらないということは、労働者である若い人や働く人が中小企業を選んでいないという目を背けてはいけない現実があります。
経営者として人が集まらないとただ嘆くのではなく、人がいるのに中小企業には人が来ないという現実をまず受け入れる必要があります。
そうでなければ、2019年現在の全国の有効求人倍率は1.6という高い水準を維持しているということの説明がつきません。
中小企業は労働者から避けられているということをまず認識すべきです。

「大企業でも人手不足が起きている」 → 「中小企業へ人材が来ない」の悪循環

業界の大手企業でも、新卒者や中途採用者の採用を積極的に行うようになりました。
新卒者においては秋採用や通年採用を行っているような会社も出てきていますので、大企業も採用活動を積極的に行っております。
その背景にはやはり大企業も人材不足を認識しており、2020年新卒者の採用人数を増やすと回答している企業が多くあります。
大企業と中小企業ではやはり給与や福利厚生の面で、中小企業は劣勢に立つことは明白です。
そのため多くの人材が大企業に流れてしまっているため、中小企業に優秀な人材が来ないという悪循環に陥っているということが現在の中小企業の人材不足を招いている大きな原因と言えるでしょう。

中小企業の労働生産性は?

大企業に給与や福利厚生面で勝てないということであれば、何か他のメリットを打ち出して人を集める必要があります。
労働生産性という考え方をご存知でしょうか?
製造業であれば、作ったものを高く販売することができれば、労働時間当たりの稼働金額がよくなります。
例えば、3時間かけて一人で作ったものを3000円で販売できたら、時間当たりの労働生産性は1000円になります。二人で作れば500円になります。
同じものを6000円で販売することができれば、労働生産性は2倍になります。
労働生産性が高い状態であれば、従業員がよく稼働しているとみなされ、収益が改善されていきます。
中小企業は大企業の下請けの仕事を受託することが多いため、販売価格を比較的自由に決められる大企業よりは労働生産性が悪いといわれています。
2000年代に入り、大きな不況を経験した日本では、大企業でも安売りを行ったことで労働生産性は長い間向上しませんでした。
上記の説明より、長時間労働を行うと労働生産性は悪化します。長時間労働を行ったことで大企業も中小企業も長い間「稼げない仕事」をしてきたといえます。
大企業は、近年の働き方改革などの施策により、労働生産性が改善されてきたといわれていますが、中小企業はいまだ2000年代と同様の水準となっています。
しかし、この労働生産性には従業員数の要素もあることも忘れてはいけません。大企業は多くの人で労働生産性を計算する必要がありますが、従業員数の少ない中小企業では少しでも販売価格が改善すれば、大企業よりも容易に労働生産性を改善させることが可能となります。

従業員の工夫で作り上げる労働生産性の改善

提供するサービスや製造するものを少しでも高く販売することができるようになれば、人の少ない中小企業の経営は改善されるでしょう。
同時に、かけられる人への給与も出すことができるようになり、より優秀な人材を集めることができるようになります。
中小企業の苦境の原点は、主に大企業の下請けや安易な安売りなどの受け身になるような経営を行ってしまっていたことによるものが考えられます。
例えば、大企業の下請けに終始してしまうと、経営者であっても大企業に雇用されている人と変わりがありません。
販売する製品やサービスの価格決定権を大企業に渡してしまうことになります。
そうなると大企業としては、自社の従業員よりも安く使える下請け業者ということで、大企業側の労働生産性の向上に役立ってしまうことになります。
これではいつまでたっても中小企業の労働生産性は改善されないままであるということも十分に理解できるのではないかと思います。

大企業と同じように働かされ、給与は中小企業ということであれば、何かメリットがない限り、大企業へ人が集まり、中小企業には人が来ない状況は変わりません。

では、中小企業でも行える取り組みはどのようなものがあるでしょうか?
リモートワークや在宅勤務などは、大企業と比較すると中小企業のほうが、導入が進んでいるといわれています。
また、多くの部署が関連して一人では決められないことの多い大企業と比較して中小企業は自分が主体となって事業を進めることができます。
こうしたことは経営者の修業期間を求めている人を求めるということも必要かもしれません。
ゆくゆくはこうしたところから、事業譲渡などに話も発展していくことになります。
いづれにしても現在の中小企業の経営者に必要な視点は「細切れの労働力の活用」と「稼ぐ力をつけること」であるということが言えます。

外国人技能実習生による専門作業

こうした稼ぐ力を磨くためにはある程度現業作業を専門作業として専門家に任せて経営に専念する必要がどうしても出てきます。
そんな時に、外国人技能実習生による専門的な仕事の委託ということも可能であることを覚えておくといいでしょう。
外国人技能実習生は、技能実習計画に届けられた仕事しか原則として行うことができません。それは逆にその内容のものであれば、専門的に行う作業となります。
ある一定の量の製品やサービスを定期的に売りさばくためにはやはり稼ぐ力はどうしても必要になります。
今の中小企業が苦境に苦しんでいる背景には、こうしたまともな経営を行ってこなかったということが言えます。
そんな状況を少しでも改善し、未来への突破口を見つけるために外国人技能実習生の活用を一つの方法と言えるでしょう。

今までの中小企業は経営者が従業員だった

中小企業の社長などは多くの場合、親から事業を引き継いだり、誰も経営を引き受ける人がいないなどの理由で、経営に携わったことのない人が経営に入るということも珍しくありません。
その場合、今まで経営を行ったことのない人が経営者になると今までのやり方をそのまま行い日々の業務に忙殺されてしまい、長期的なビジョンが失われてしまうということです。
営業や販売促進、利益率の向上など社長として行わなければ会社の未来はないという仕事も多く存在しますが、従業員として実作業に関わっているとそうした未来を創る経営の仕事がないがしろになってしまいます。
そうならないためにも、製造や一部業務を外国人技能実習生に移管を行い、経営を考えるということも中小企業として人材不足に対応する方法であると考えられます。
社長も従業員と同じ仕事をしてしまっては、やはり稼ぐ力が失われてしまうかもしれません。

外国人技能実習生活用による中小企業の国際化

外国人技能実習生を活用することで、中小企業が国際化していくということは悪いことばかりではありません。
日本でお世話になったということで、母国に帰り、同じような業種の企業を立ち上げた際に海外の協力会社となってくれる可能性もあります。
海外に販売をしたいと考えている際に、母国に帰った外国人技能実習生による代理店の設立なども検討できるでしょう。
大企業と比較すると中小企業の海外での販売力は、大きな資本を投入できない都合上、どうしても劣勢となります。そんな時には外国人技能実習生として受け入れた人材を母国で活用するということも考えられます。
そのためには、外国人技能実習生と良好な関係を構築する必要があります。低賃金労働などを強要しては絶対にいけません。

中小企業にも多くの希望の種はある

大企業と比べると何かと劣悪な労働環境が話題となる中小企業ですが、少ない従業員数による意思決定の速さや、経営者の手腕が業績に反映が起こりやすいなど大企業にはないメリットも多くあると感じます。
将来、自分で事業を行いたいと考えている人に求人をアピールすれば多くの相乗効果が生まれるのではないかと思います。
中小企業の数の減少は、大企業に頼ってきた中小企業が淘汰されているだけに過ぎないと感じます。
これからは自分で生き抜いていく中小企業が勝ち残っていくのではないでしょうか?


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