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日本版FTEM@JSC(日本スポーツ振興センター)

「育成」に関して、標準と考え得るものがネット上に公開されているので、紹介したいと思います。

日本スポーツ振興センター(日本のスポーツ振興を目的として設置、文部科学省所轄)が、アスリート育成パスウェイを整理するために開発したのが「日本版FTEM」です。

独立行政法人 日本スポーツ振興センター(JAPAN SPORT COUNCIL:JSC)では、アスリート育成パスウェイ「子どもがスポーツに触れてからトップアスリートになるまでの道すじ」ととらえています。

日本版FTEM:アスリート育成パスウェイとは?

JSCには「国際競技力の強化」という使命がありますから「トップアスリートになる」ことをゴールとするのは当然と言えるでしょうが、「育成」はトップアスリートになるためだけに行うものではないと考えます。JSCでも、その目指していることとして次のように述べており、「身体活動/活動的な生活習慣」⇒健康や、「スポーツへの参加」⇒スポーツ文化ともつながったものと位置づけています。

JSCが目指していること
私たちは、スポーツを実施するねらいには大きく分けて「身体活動/活動的な生活習慣」、「スポーツへの参加」、「国際競技力の強化」の3つがあると考えています。JSCでは、それぞれのねらいに違いはあっても、一つのアスリート育成パスウェイによってつながっているものと考えています。
私たちは、アスリート育成パスウェイ全体を様々な視点から捉え、スポーツに関わる関係者が競技や組織の垣根を越えてコミュニケーションをとり、より良いスポーツ環境が整備されることを期待しています。

日本版FTEMとは?

では、「アスリート育成パスウェイ」はどのような構造から成り立っているのでしょうか?

オーストラリアでは、アスリート育成パスウェイを育成の過程に合わせて、F(Foundation)T(Talent)E(Elite)M(Mastery)の段階的に分けた「FTEMフレームワーク」を開発し、それを活用してスポーツの振興やアスリートの育成を行っています。
JSCでは、このFTEMフレームワークをもとに、科学的な根拠に基づいた普及・発掘・育成・強化を推進するため、日本の競技スポーツの基盤を踏まえた「日本版FTEM」を開発しました(衣笠ら, 2019)。

FTEMとは何だろう?

次に、各段階の概要を見ていきたいと思います。

Foundation:土台となる遊び・動作・スポーツ
「F」の段階は、遊びや運動、スポーツを通して様々な動作を獲得してから、特定の競技に専門化し、競技大会に参加するまでの、3つの段階(F1~F3)に分かれています。この段階での取組みは、「国際競技力の強化」や「身体活動/活動的な生活習慣」の基礎となります。

Talent:スポーツタレントの顕在化と育成及び実績
「T」の段階は、中央競技団体から将来性を見出される段階から強化指定を受けるまでの、4つの段階(T1~T4)に分かれています。
この段階では、タレント発掘・育成(TID)スポーツ科学教育プログラム等、TID専門家やコーチ、競技団体、保護者から意図的なプログラムが数多く展開されます。

Elite:シニア代表への選出と成功
「E」の段階は、シニア日本代表から、国際競技大会でメダルを獲得する段階までの、3つの段階(E1~E3)に分かれています。
この段階では、国際舞台で活躍するための支援(スポーツ医科学支援や助成金等)が増大します。また、アスリートが競技面以外の要因(就職等)により離脱することを防ぐためにデュアルキャリアに関する支援も必要とされています。

Mastery:シニア代表での継続的な成功
「M」の段階は、世界最高峰の国際競技大会またはプロスポーツの大会で、複数サイクル(4年1周期以上)に渡って持続的な成功を収める段階です。

それぞれの段階について詳しく見ていこう!

さらに、競技別パスウェイモデルとして自転車(BMXレーシング)パラ水泳トライアスロンスキー・フリースタイル(エアリアル)の例を見ることができます。

バレーボールではどのような育成パスウェイを構築できそうか、議論していきたいですね。ご意見をお寄せください。

▶︎布村忠弘のプロフィール

バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。