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リレーストーリー「どすこいスパイ大作戦#12」

第12話「再会」

DNAナビゲーターに導かれ、黒豹丸の居場所を探す蒙古龍。

ん、次は左か。

万年筆の小さなモニターに映る、矢印が指し示す方向へ足を向けていく。

やがてある扉の前へ―――
そこには、「ここから先は従業員専用」と書かれたプレートがかかっていた。
ここで諦めるわけにはいかない。
取手を回してみる。

ガチャガチャ

開かない。

力士パワーでもって、ここはバーンとぶち破りたいところだが、ここは東京スカイツリー。
手荒な真似は出来ない・・・。

蒙古龍は慌てない。
髷の中に指を入れると―――

「レッドスネークオープナー」

小声で呟きながら細い赤い針金のようなものを取り出した。

「レッドスネークオープナー。先端から鍵穴に入れていくと自動で奥まで入って、鍵を開ける侵入サポートアイテム。その名前は、開発者の父親がその昔日本で見たとあるマジック芸人の舞台に感動してつけた、と言われている」

と、小声で説明すると、その先端を鍵穴に刺し入れた。
すると・・・

カチッ

音がしてドアの鍵が開いた。
そっと身を忍ばせる蒙古龍。
ドアの向こうは、外とは打って変わって薄暗い廊下。
「DNAナビゲーター」の矢印はまっすぐ前方を指している。
先を急ぎ、薄暗い廊下を突き進む。
ナビゲーターのバイブレーションが徐々に激しくなって来た。
黒豹丸に近づいている証拠だ。

進む蒙古龍。
激しくなるバイブレーション。
さらに進む蒙古龍。

ドン

突き当たり。
そこには、エレベーターのドア。

黒豹丸はこの中に⁈

よく見ると、エレベーターのドアにほんの少しの隙間。
ナビゲーターを床に置くと、蒙古龍はその細い隙間に両手の指を滑り込ませる。

むうううぐうううー

蒙古龍の腕の筋肉、胸の筋肉が盛り上がる!
口が歪んで首筋に太い筋が浮かび上がる。
顔がどんどん赤くなって、食いしばる歯からギリギリという音が聞こえる。

グギッ

エレベーターの扉が少し開いた。
さらに力を込める蒙古龍。

ギギギギギギッッッ

扉が徐々に開く。

ぐわっ!バーン!

扉が開いた。
すると目の前に黒豹丸がの姿が!

黒豹丸関!
助けに飛び込もうとする蒙古龍。

「ダメだ、危ない!」

黒豹丸の叫び声に、ビクッとして立ち止まる蒙古龍。

「足元!足元見て」

一歩先は真っ暗闇。
どういうことだ⁈
エレベーターが無い⁈
顔を上げて再び黒豹丸の方に視線を向ける蒙古龍。
よく見ると、黒豹丸は・・・

ロープでぶら下がっている⁈

ロープを目で辿ると、これは、エレベーターの床下?

「エレベーターの天井は開けられてしまうことがあるから安心出来ない。でも、床を開ける奴はいないからな」

エレベーターの床下からぶらぶら吊り下がりながら、得意気に説明する黒豹丸。
これでは、ケータイのチェックが出来ないのも納得。

「で、黒豹丸関、何か明日の爆破の情報は掴んだんすか?」
「ああ」
「爆弾は、爆弾はどこに?」
「それはな」

ビーーーー

とその時ブザーのような音が聞こえた。

グイーーン

エレベーターが動き出した!
少しずつ黒豹丸の体が浮かび上がっていく。
しかし、まだ爆弾に位置が聞けていない。

「エイッ!」

蒙古龍は廊下の縁を蹴った。
そして、

グワッシ!

黒豹丸の腰に抱きついた。

「おうふっっ!」

思わず声を漏らす黒豹丸。
さすが角界腕相撲大会2年連続優勝の腕の力はハンパ無い。
力士2人分の体重がかかってもびくともしない。

「爆弾は、どこなんですか?黒豹丸関」
「爆弾じゃない」
「えっ?」
「敵の武器は爆弾ではなかったんだ」
「じゃあ、一体?」
「レーザーだ!」
「レーザー?」
「明日、ライトアップイベントがあるだろ」
「そう言えば、そんな告知を見ました」
「そのレーザーライトの機械の中に、破壊レーザーが紛れ込んでいるんだ!」
「なんですって⁈」
「なんとしても今日中に見つけ出さないと」

ウィーン 

エレベーターは上昇を続ける。
その下に人知れず、ぶら下がる2人。

果たして、破壊レーザーを探し出すことが出来るのか⁈

(つづく)


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