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野崖

佐佐木政治  1956年10月8日 ノート「詩集 青い枯れ葉」より

橋を渡ると突然崖っぷちへでた。
岩壁の下に広い国道が走り鉄柵がある。
その下に 木曽川が青黒く流れる。

ふと見上げると 
頭上にけやきの大木がかかり
そこから離れた小さな枯れ葉が
ぼくをこえ
鉄柵をこえて 
しきりに渓谷へ落ちて行く。

かいてんしながら落ちる葉は
西日にかがやいている。

送られつ
送りつ果ては
木曽の秋           (芭蕉)
心細いよ
木曽路の旅は
笠に木の葉が
舞いかかる。         (民謡木曽節の一節)

※上記引用も父のノートに認められたものです。

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昭和31年、当時25歳の文学青年だった父が書いた詩です。
A5サイズの大学ノートはすっかり色褪せ、日に焼けています。
彼の文字とともに紹介していきます。

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