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本の紹介|『ゲームの父・横井軍平伝』 枯れた技術の水平思考で任天堂を支えたものづくりの天才


長久手市の行政書士、酒井洋一です。

普段は相続・遺言のお手伝いや不動産のお仕事をしています。

noteでは、専門的なコラムや私が普段考えていること、趣味のことなどを綴っています。



ゲームの父・横井軍平伝 任天堂のDNAを創造した男 / 牧野武文


小さな頃からゲームが好きでした。
初めは小学1年生の時のお年玉で買ったゲームボーイ。
いまだに我が家では現役で稼働しています。

我が家のゲームボーイ

本書の主人公である横井軍平さんは任天堂でこのゲームボーイを開発したゲーム界の巨匠であり、ゲーム&ウォッチなど数々のヒット作を生み出した天才です。
枯れた技術の水平思考(使い古された技術を別視点で転用する)」という概念を生み出し、ゲーム本来の楽しさを追求した伝説の人です。
残念ながら1997年に交通事故により他界されています。

もし最高のゲーム機をひとつ挙げろといわれたら、迷わずゲームボーイを挙げます。
それくらい幼少期の心に突き刺さり、魅了し、いまだ現役で所持しているほど心をつかんで離さないのです。

幼少の頃の我が家ではゲームは悪とされていたのでファミコンも買ってもらえず、スーパーファミコンが出た頃に親戚からファミコンを譲ってもらったのがいい思い出です。
その後はその反動か、ゲームにのめり込みます。

ゲームボーイとファミコン以外にも、
スーパーファミコン
ゲームボーイライト
ゲームボーイカラー
スーパーゲームボーイ
プレイステーション
プレイステーション2
セガサターン
NINTENDO64
ゲームキューブ
ドリームキャスト
ワンダースワン
ネオジオポケット
ゲームボーイアドバンス
ゲームボーイアドバンスSP
ニンテンドーDS

と所持していたゲーム機はかなりの数になります。

所持までせずとも触っただけなら
PCエンジン
メガドライブ
ゲームギア
3DO REAL
ネオジオ
バーチャルボーイ
3DS
Wii
xbox
プレイステーション3

とこちらもかなりのもの。

気づいた人もいるかもしれませんが上記のラインナップ、Nintendo Switchプレイステーション5などの最新ゲーム機が含まれていません。
そうです、ある時からゲームをやらなくなってしまいました。

本書にも書かれていますがコンピュータゲームがどんどん複雑化し、映像美を求め出し、僕がゲームに求めていたワクワクが感じられなくなったことが要因の一つでもあります。
そしてそのことと、横井軍平さんがコンピュータゲーム開発から離れていったこととが重なっていたことに衝撃を覚えると共にある種の納得も感じたのです。

僕は今どちらかといえば、コンピュータゲームよりもアナログなボードゲームに興味があります。
コンピュータゲームは発展し、今やゲーム内で通信対戦は当たり前になりました。
しかしそれは全て一つのゲームの中、画面の中で行われるものです。
かたや画面の外で手や体を動かして遊ぶボードゲーム。
コンピュータゲームに対してある意味メタな現実世界で、人と向き合って遊ぶことができます。
そこにゲームが持つ本来の楽しみ、ワクワク感があると思っていますし、横井軍平さんもずっとそれをテーマに開発をされていたというのが図らずも自分の感覚に近くて印象に残りました。


「枯れた技術の水平思考」

横井軍平さんを語るときに必ず出てくるこのフレーズ。
「最新技術ではなく、使い古された技術の別の使い道・価値を考える」という、ものづくりやアイディア出しの際に横井軍平さんが得意とした思考法です。
最先端技術を駆使したから面白いものが生まれるわけではなく、使い方というアイディアこそが面白いものを生み出すのです。

日本企業というのはどんどん海外進出しています。それは、安い労働力で安く作らないと負けるから海外に進出しているわけです。私に言わせれば、そうではない。安く作らないと売れないというのはアイディアの不足なんです。だから、日本国内で作っても高く売れるだけのアイディアを考えたらいいじゃないかというのが私の意見です。それは決して難しいことをしなくても、実に他愛もないことで実現できるのです。

本書24ページより

例えば子供たちは、与えられた遊びに留まることなく、こうやって遊んだほうが面白いと言わんばかりに自分たちで違う遊び方を編み出し、ルールを作り、世界を構築します。

思い出してください。
子供の頃、そんな風にして遊びませんでしたか?
自分たちのアイディアだけで作った世界、それには無限の価値があるのです。

また、最先端技術は遊びの本質ではないということを横井軍平さんはこんな言葉で表現されています。

私はいつも「試しにモノクロで雪だるまを描いてごらん」と言うんです。黒で描いても、雪だるまは白く見えるんですね。リンゴはちゃんとモノクロでも赤く見える。

本書143ページより

ファミコンやゲーム&ウォッチ、ゲームボーイの世界では、一生懸命新しいゲームを考えるという姿勢があったんです。向こうが碁を考えたら、こちらは将棋だというようなね。ところがある程度までいったら、やることがなくなってきた。そうすると、テレビゲームは、色をつけたら新しさが出るんではないかという動きになった。でも、これは作る側からいったら、落ちこぼれなんですね。アイディアをひねり出すんじゃなくて、安易な方へと流れている。

本書144ページより

これ以上に納得できる言葉があるでしょうか。
歴史にifは無いと言いますが、この人が今も生きていたらどんな世界ができていたのだろう、どんな楽しい遊びができていたのだろうと思わずにはいられません。

本書では横井軍平さんが任天堂でどのような半生を送り、どのような製品を世に出し、その時どんなことを考えていたのかを著者によるロングインタビューを元に書かれています。

著者の意見も多分に入るものの、それは全くの第三者が私見を述べるのではなく、近くでその人となりを見、話したからこそ感じ取れる空気感・雰囲気のようなものの言語化なんだと思います。

ゲームとは何か?
遊びとは何か?
そして、本当に価値のあることとは何なのか?
横井軍平さんの言葉と半生を通し、そんな原点に立ち返らせてくれる良書でした。

余談ですが、次に旅行に行くときは絶対にゲームボーイをお供にしようと思います。



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