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【Session5】奥浅草で開催!対話型アート鑑賞と花束をつくるワークショップ

開催日時:2024年1月
場所:奥浅草SNAP(東京都台東区)
参加者:6名

看板を手書きしてくれました!

WSがもたらした再会と新たな出逢い

 このWSを初めて良かったと感じることはたくさんあるのですが、その一つが懐かしい友人との再会です。
 大学を卒業してから疎遠になっていた友人がSNSの告知ポストを見つけてWSに参加してくれたのです。
 WS後にお礼も兼ねて食事をしていると、友人が勤めている先にもWSができるスペースがあるということで、早速お写真を拝見しながらお話を聞かせてもらいました。
 見せてもらったお写真に広がるのは、カフェも併設されたなんだか、とっても、お洒落な空間。
 ここでWSができたら素敵!と思いました。
 さらに、幸運なことにそのスペースでは毎月、お花屋さんによるWSも開催されているというのです。
 私が花やチセさんのお力をお借りして開催しているWSの構成を活かして新たな場所でWSが開催できるかもしれないと思いました。
 それから間も無くして、友人の勤める奥浅草「SNAP」で花屋さん「Reeflow」のリエさんをご紹介いただき、WSの開催が決定しました。
 この「SNAP」は地域との結びつきを大変大事にされている場所なので、「浅草にちなんだ作品があるといいですね」というご要望が。
 浅草…浅草…。
 さぁ、一体、どのような構成にしようかなとワクワクした気持ちで準備に取り掛かりました。

◎アイスブレイク

 アートカードを使用して、定番化している「もう一人の自分」を選んでいただきました。
 これはただ、新しい内容を考えることが面倒なのではなく、まずは自分の内面と向き合っていただくという作業に適しているので、取り入れています。
 自分のことって、聞いて欲しい様で、言い出しずらいですよね。
 それをカードの「もう一人の自分」に託してみると案外、すっと胸の内をお話できたりするのです。

「もう一人の自分」を選んでいるところです

◎対話型アート鑑賞

1枚目 オーギュスト・ルノワール「シャトゥーの舟漕ぎたち」を鑑賞

シャトゥーの舟漕ぎたちを鑑賞中。


2枚目 三代目歌川豊国、二代目歌川広重「江戸自慢三十六興 猿若街顔見世」を鑑賞

江戸自慢三十六興 猿若街顔見世を鑑賞中。

情報量モリモリの日本画の前では誰もが名探偵になる!?

 リクエストのあった、浅草にまつわる作品。
 とても悩みましたが、2月はちょうど歌舞伎座で「猿若祭二月大歌舞伎」の上演もあったので、浅草・猿若町の風景と歌舞伎にゆかりのある浮世絵を扱うことにいたしました。
 浮世絵を扱うのは初めてのことでしたので、参加者の方々の反応が楽しみでした。
 1枚目の西洋画から浮世絵とかなりギャップがあったと思います。
 浮世絵はやはりみなさん自分の持っている知識と結びつけて鑑賞されるので、「これはなんだろう?」とやや謎解きの様になりました。
「西洋画より絵画の中の情報量が多いですね」と発言してくださった方もいました。
 まさに、その通りで浮世絵は「盛りだくさんの内容でお届けしております」というガチャガチャ感がたまらないのですが、これもまた一つの大きな発見だったかと思います。
 解説の際には、歌川広重の「名所江戸百景・猿わか町よるの景」もお見せして、視点を変えて「猿若町」の様子をお楽しみいただけるよう、工夫しました。

◎実践としてのイメージワーク・花束制作

 今回は2024年3月3日まで、アーティゾン美術館で開催中の「マリー・ローランサン 時代をうつす眼」展のご紹介も兼ねて、マリー・ローランサンが描いた人物に持たせる、または贈る花束をイメージして制作いただきました。
 アーティゾン美術館のミュージアムショップで販売していたポストカードを各2種類ずつ購入しておき、お気に入りの一人を選ぶところから始めました。
(事前にポストカードの使用については念の為、美術館の広報室へ許可を取りました)

マリー・ローランサンのポストカード


 前回の鏑木清方の美人画の回の時は、ポストカードを選ぶ順番を決めていなかったので、今回はポストカードを選ぶ順番を決めるくじ引きとして、予め名札の用紙の裏に密かにナンバリングしておきました。
 
 私がポストカードを選ぶ時に気をつけたことは、極力花が描かれていないものを選んだという点です。

 また、今回のイメージワークでも注意点は下記の2点でした。
1、自分の好きな花を選ぶのではなく、絵の中の人物が好きな花、絵の人物に似合う花を選ぶこと
2、まずは全体の配色や表情など描かれている人物と対話してイメージを広げること

 対話が済んだら、リエさんが用意してくださったカラフルなお花の中から自分で花を選ぶところから始めます。

お花を選んでいます。


 ちなみに、リエさんには当日までどのようなポストカードを購入したかはお伝えしませんでした。リエさん自身もあまり絵画の雰囲気に寄せないように仕入れたいということだったので、お花の仕入れは完全にリエさんのセンスへお任せしました。
 みなさん、そんな色とりどりのお花を前で片手にポストカードを持ちながら、かなり悩まれていました。
 花を選び終わると、リエさんが束ね方を教えてくださり、今回はラッピングやリボンまで自分でイメージして選びました。

お花を束ねていきます。


 ラッピングは白かグリーンのどちらか、リボンはたくさんの種類があり、それぞれの組み合わせでまた大きくイメージが異なりました。
 

リボンもたくさん!

みんなちがって、みんないい。

 ポストカードは同じものを2枚用意していたので、同じ絵柄に対して2種類の花束が生まれたのですが、やはり、それぞれ、描き出す人物の背景やイメージが異なっていてとても面白い結果になりました。
 みなさんでそれぞれの花束を鑑賞したのですが、その時間は互いの感性を讃え合う拍手やコメントが溢れていて、まさに正解も、間違いもない、感じたままの感性を体現できている、ひとり、ひとりの感性が讃えられている時間を過ごすことができてとても幸せでした。
詳しいお写真はInstagram @sakanatsuk1 で紹介しております。

ポストカードの女性のストーリーを発表してくれたEさん。思わずみなさんから拍手が!

【イメージワークの感想】

「普段、絵を見てその人の心情を想像することはあってもその人に花束をつくってあげられるとしたら、と何か働きかける想像をしたことがなかった。絵との新しい繋がり方ができたと感じました」

「自分の中ではこれだ!となったけど同じポストカードの方の発想が全然違っていて自由ですごいと思いました」

「それぞれ自分にしか作れない作品をみなさん作っていたのでとても良かったと思いました」

「思うようにできないところもあったけど、楽しくできて、もっとやってみたいと思いました」

「 同じ絵でも作られる作品が異なる楽しさがありました」

【対話型鑑賞のご感想】

「人によってこんなに絵の捉え方が違うんだと面白く感じました」

「初めて体験しましたが他の人が感じている事を聞けて自分の感覚を広げてもらった気がします」

「自分だけでは気付けない視点がいっぱいではっとさせられました」

「浅草に関わる絵を出してくれて嬉しかったです」

「美術館で絵を見る時に初めに情報(年代やタイトル、希少性)を見てしまうので、じっくりと向き合う新鮮さがありました」

お花屋さんのお仕事に心惹かれて 

 イメージワークを行う中で印象的だったのは、リエさんが「この作業は私たち花屋の仕事に似ています」と仰っていたことです。
 お花屋さんは日々、誰かのためにイメージを膨らませて花束をつくっているから、ということだそうです。
 言われてみるとそうだなあと思うと同時に、短い時間でイマジネーションを働かせ、サクサクとブーケを束ねていくお花屋さんてすごいなあ感心してしまいました…。

うっとりする美しさです。

 まだまだ未熟な私のWSはご縁を紡いで一歩一歩進んでいます。
 今回は嬉しい再会を経て、リエさんやご参加くださった方々との新しい出会いがありました。「また次回もやりましょう」と言っていただけたので、ぜひ、継続できる様に努めたいと思います。

*「SNAP」を運営しているquarterbackさんのHPにてWSの様子をご紹介いただいています。
https://q-b.co.jp/blog/2024/02/1893.html

*「SNAP」についての詳細はこちらをご覧ください

*お花屋さん「Reeflow」の詳細はこちらをご覧ください


Vol,6へつづく




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