見出し画像

【新米パパママにおすすめ】公認心理師が教える/幼児健診の歩き方/1歳半健診編#5手の運動

こんにちは。
幼児健診の歩き方、ナビゲーターののびしろ丸です。
第5弾の今回のテーマは、「手の運動」
手の運動からみた、運動機能面と発達心理面の結びつきについて、話をしていきたいと思います。

手は突き出た(大)脳


と、言ったのは、
ドイツの哲学者カントですが、
その言葉が象徴するように、手の動きとこころのはたらきは、密接な関わりがあります

1歳半健診では、
乳児期に歩行などの粗大運動が完成したあとの、微細運動(手の動き)の発達の確認をします。

コップとスプーン

私が所属する政令市の健診の問診票には、

Q.コップを使って飲めますか?

Q.スプーンをもって自分で食べようとしますか?

手の運動発達面に関する、上記の2つの質問項目があります。

手の全体を使って物をつかもうとする動作は、
生後5~6か月頃から、
親指と人差し指を使って、物をつまむ動作は、
生後7~8か月頃からみられるようになります。

手と口の協応動作

こうした動作に加えて、
コップを使えるようになるには、
コップを傾けて、中にある水分を適量流し込み
ながら飲み込む、という手と口の協応動作
必要とします。
同じように、
スプーンを使えるようになるためには、
スプーンですくった食べ物を落とさないように
口まで運んで飲み込む、手と口の協応動作が
成立していなければなりません。

個人差がありますが、
微細運動の発達によって、
おおむね、1歳前後からコップ、スプーンを
使える機能が整います。

道具の理解と社会性

運動発達面ではコップを
使える機能を獲得していても、
「コップを使って飲む」行為は、
コップをコップとして扱うことによって、はじめて成立します。
つまり、「道具の理解」があることが前提になります。
スプーンも同様です。

この、道具を道具として扱う道具的な関わり、
これは基本的習慣の獲得をみるものであり、
発達心理の視点では、子どもの社会性を評価するポイントでもあります。

器用さではなく

1歳児は、遊びの中で、たくさん手指を動かして道具を使っています。
お子さんが、水遊びで、じょうろを使って
水を汲んで注ぐ姿を見たことはありませんか?
砂場で、シャベルで砂をすくって遊ぶ姿を見たことは?

1歳半の健診では、コップ、スプーンに関する質問は、手指の巧緻性だけを問うものではありません。
上手下手ではなく、食事の場面でコップとスプーンをどう扱うか
それは、発達をみるポイントのひとつなのです。

自分で食べる意欲が大事

コップ、スプーンを使おうとする態度からは、
自分で食べようとする意欲や自発性も読み取ることができます。

お子さんに自分で食べようとする意欲が見られたら、食べやすい工夫をして、その気持ちを支えましょう。

手づかみ食べや、多少の食べ遊びも成長の大事な通過点です。
コップ・スプーンは、お子さんのペースをみながら、徐々に扱えるように、無理なく段階的に移行していくことをお勧めします。

参考文献:遠城寺式乳幼児分析的発達検査法 九州大学小児科改訂新装版 遠城寺宗徳ほか編著

ここまでお読みいただきましてありがとうございます!
執筆の励みになりますので、「こういう内容が聞きたい」などのコメントもいただけたら大変ありがたいです。
どうぞよろしくお願いします。


この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?