見出し画像

夏目漱石 門 2 読書感想

夏目漱石 門 2

宗助は、週に6日働く身分になっていた。つい数年前は、親の仕送りで悠々と暮らしていた。働くことで己を失うことを毛嫌いしていた。お金は十分にあった。
宗助は、日曜日う街へ出かけて、様々な品物を手に取るけれど、懐具合が悪く、妻への土産も元に戻す。
いわゆる落ちぶれた感がどこかする。
崖の下の家に住む宗助とお米。崖の上からそこの住民の弾くピアノの音が聞こえてくる。崖の上と下の対比。
崖の上にいた宗助が、今は下に住んでいる。
これから物語はどう進むのだろうか?
 
文学表現

勝手では、清が物を刻む音がする。湯か水をざあと流しへ空ける音がする。「奥様これはどちらへ移します」と云う声がする、「姉さん、ランプの芯を切る鋏はどこにあるんですか」と云う小六の声がする、しゅうと湯がたぎって七輪のひへかかった様子である」

この五つの文が、秀逸なのは、音がする。声がする。こうした重ね方が、文章にリズムを生んでいる。そして最後の文だけは、想像した映像を書き連ねている。まるで読者をその場面に誘うかのようである。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?